舌根沈下とは
いびきを引き起こす舌根沈下とは、重力によって舌が喉元に落ち込み、気道を塞いでしまう症状のことです。
に睡眠時などの無意識状態に発生することが多く、活動時の緊張が解け筋肉が緩むことによって、発症する人がいます。
また、この症状は誰でも発生するものではありません。
例えば、老化が進み筋肉量が落ちている人や、運動不足の人、他にもお酒を飲んだまま寝てしまう人など、複数の要因で発生してしまうのです。
舌根沈下はいびきを発生させる大元の理由なので、早急な解決が求められます。
いびきの症状がひどくなると、気道が塞がることによって発生する呼吸困難や窒息といった大問題に発展するかもしれません。
もしも「寝起きに喉が痛いなぁ」「家族からいびきがうるさいって文句を言われる」という人がいるなら、仕方がないと無視しないでください。
本記事では、舌根沈下のメカニズムや対策をご説明しているので、検討してみてくださいね。
舌根沈下のメカニズム
根沈下が発生する理由は、無意識化における舌の筋肉のゆるみが原因です。
しかし、これは誰にでも発症するわけではないので、発生のメカニズムについて理解していきましょう。
まず人間の舌は、画像上側のように気道から顎まわりにかけて、広範囲の筋肉を使って動かしています。
このとき、舌根部は気道近くまで取りついているので、呼吸時には一部酸素を肺に届ける役割を担っているのです。
健康な人が仰向けで就寝したとしても、画像上部のように気道を塞ぐことはありません。
一方、加齢や運動不足などによって筋肉の衰えが見られると、画像下のように舌の筋肉が重力に負けて気道を塞いでしまいます。
その結果、気道が小さくなり呼吸時に舌と気道がぶつかり合うことで、いびきのような「ガーガー」という音が発生してしまいます。
いびきが発生すると気道の粘膜を傷つけ、免疫力の低下などを引き起こすことも多くあります。
睡眠の質も落ち、身体に必要な酸素を取り込みにくくなるので、早めの対策を心がけてくださいね。
また、いびきをかく人の中には、睡眠時無呼吸症候群が発症している人もいます。
この病気について詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
舌根沈下による症状
いびきや睡眠時無呼吸症候群といった睡眠トラブルが発生する「舌根沈下」ですが、具体的にどのような症状を引き起こすのでしょうか。
ここでは、舌根沈下によって問題化する4つの症状をご紹介します。
中には、紹介する症状によってすでに体調不良が続いている人もいるでしょう。
今の自分に近しい症状が発生していないかチェックしてみてください。
呼吸困難
舌根沈下に伴うトラブルで最も多いのが、呼吸困難です。
睡眠中に舌の筋肉が気道を塞ぐことから、健康的な人に比べて身体に取り入れる酸素量が減ってしまいます。
また、空気を吸うことでさらに舌が落ち込み、気道が塞がって呼吸ができなくなってしまう場合があることをご存じでしょうか。
これは睡眠時無呼吸症候群と言い、中には1分近く呼吸が止まってしまうこともあります。
呼吸困難になると寝ているにも関わらず、倦怠感を感じたり、頭痛を感じたりと、日常生活に悪影響を生み出すのが特徴です。
生きるために必要な呼吸を阻害してしまうため、早急な解決を心がけましょう。
チアノーゼ
チアノーゼとは、血液の中に含まれる酸素量が減って、皮膚が青く変色する症状のことです。
必要量の酸素を肺に取り入れることができれば、血液中に酸素が運び込まれ、皮膚を健康な色で維持できます。
しかし、血中の酸素量が低下すると、少しずつ青みがかっていくのが特徴です。
血管は人間の身体全体に張り巡らされており、毛細血管も含めると皮膚近くまで血液が循環しています。
まわりの人よりも、青白い顔をしている人や顔色が悪い人は、チアノーゼを発症しているケースがあるので注意してくださいね。
血圧・意識レベルの低下
舌根沈下によって必要量の酸素が肺に取り込めないと、血液中の酸素量が減り、血圧が低下してしまいます。
血圧の低下は、貧血やめまいなどを引き起こすのが特徴です。
中でも、起床時などに立ち上がると、血圧低下によって意識を失ってしまうケースがあります。
血圧の急激な変化は、心臓を含める内臓器官に大きなダメージを蓄積していくのをご存じでしょうか。
現在の生活で、寝起きに貧血やめまいを感じているなら、こちらも早急な解決が必要です。
四肢の冷感
呼吸によって取り入れられる酸素は、血圧を正しく維持し、人間の新陳代謝を高める力を持っているのをご存じでしょうか。
しかし、舌根沈下によって必要な酸素が肺に取り込めなくなると、血圧低下により血の流れが遅くなります。
その結果、全身の代謝量が落ち、体温を維持できなくなってしまうのです。
とくに四肢など、心臓から遠い部位は大幅に代謝量が落ちてしまうため、寝起きなどに冷たさを感じてしまう場合もあります。
四肢の冷感は、筋肉の萎縮など様々なトラブルに発展する場合があるので、注意してくださいね。
舌根沈下になりやすい人
様々なトラブルを引き起こす舌根沈下ですが、どのような人が発症しやすいのでしょうか。
舌根沈下は、筋肉の衰えと口呼吸していることが原因で発生するため、次のような人は注意してください。
- ・老化が進んでいる人
- ・運動不足の人
- ・飲酒量が多く酔ったまま寝ている人
- ・鼻づまりといったアレルギー症状がある人
舌根沈下は他にも発症する要因が複数あります。
また、舌根沈下になりやすい人は、総じていびきをかきやすいのが特徴です。
いびきをかきやすい人の原因について、こちらの記事で詳しくご説明しているので、併せて参考にしてみてください。
舌根沈下の改善トレーニング
舌根沈下は睡眠時の無意識化で発生するため、自身で対策できないと考える人もいるでしょう。
確かに、老化などによって発症する舌根沈下などは自身でケアが難しいかもしれません。
ですが実は、舌の筋肉が衰えて発症する舌根沈下であれば、日常的なトレーニングで解消できるのをご存じでしょうか。
ここでは、舌根沈下対策に効果的な5つの運動をご紹介します。
日常的に運動を継続し、いびきをかかない生活を取り戻しましょう。
舌のトレーニングが舌根沈下に効果的な理由
舌根沈下は筋肉の衰えで発症してしまうことから、舌の筋肉量を改善できれば、舌が喉元に落ち込まずに維持できます。
筋肉量が落ちていない若い頃は、睡眠中も筋肉が維持され、舌根沈下が起きるということはありません。
また、若い身体は代謝量にも優れ、太りにくいのも舌根沈下を発症しづらいポイントです。
しかし、人間は加齢により運動量や代謝量が減少します。
とくに運動不足な人は、減少スピードがはやく、あっという間に舌根沈下になる土台が整ってしまうのです。
つまり、若い頃の筋肉量を取り戻すことができれば、舌根沈下対策が可能となります。
前後運動
舌の前後運動は、舌根部や伸縮性を高めるトレーニングに効果的です。
まず大きく口を開き、舌を前に突き出し、その状態で10秒間キープしてください。
今度は逆に、喉側へと舌を入れ込み、10秒間キープします。
トレーニングは、1日3セットを目安にチャレンジしてみましょう。
普段使わない部分の筋肉を動かすので、最初は筋肉痛を感じますが、それは筋肉に効果が出ている証拠です。
毎日継続すると、睡眠中に舌根沈下が起きにくくなりますよ。
上下運動
舌の上側、下側を鍛えるトレーニングです。
口を閉じた状態で、舌を上顎に強く押し付け、10秒間キープしてください。
今度は逆に、下顎の方に舌を押し付け、こちらも10秒間キープします。
トレーニングは、1日3セットを目安にチャレンジしてみましょう。
前後運動では鍛えられない部分の筋肉を使うので、組み合わせてトレーニングすれば、高い効果を発揮しますよ。
回転運動
舌全体を満遍なく鍛えるトレーニングです。
口を閉じた状態で、舌先を歯茎と唇の間に差し込みましょう。
その状態で、グルグルとは全体をなぞるように、右回転10回、左回転10回を行います。
こちらのトレーニングも、1日3セット行うと効率よく筋肉が付きますよ。
また、高速で舌を動かしすぎると歯で舌を傷付ける場合があるので、ゆっくりなぞりつつ回転させるのがおすすめです。
顎の運動
舌の運動は、舌を動かすだけではなく、顎を動かすことによって鍛えることが可能です。
口全体を鍛えることができれば、より舌根沈下が起きにくくなります。
このトレーニングでは、大きな動作を行いつつ「あいうえお」をゆっくり発音してください。
発音時は、筋肉が動くことを意識しつつ実施するのが効果的です。
4~5回繰り返し行えば、じんわりと顎の側面に温かみと疲れを感じるでしょう。
頬の運動
頬の筋肉を鍛えておけば、舌の筋肉を支える効果を生み出し、舌根沈下が発症しにくくなります。
まずは口を閉じ、口の中に空気を溜めるように大きく膨らませます。
その状態で10秒キープできたら、次は顔を”ひょっとこ”のようにすぼめてください。
こちらも10秒キープしたら、3回程度繰り返して行うと効果的です。
舌根沈下が改善しないならクリニックに相談しよう
中には、様々な対策にチャレンジしたけど、効果を実感できないと悩んでいる人もいるでしょう。
それなら、耳鼻咽喉科など、舌根沈下を含む睡眠トラブルに対応してくれるクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
現在の悩みや普段の生活を医師に話せば、あなたの生活に合った舌根沈下対策を紹介してもらえます。
また、あなた自身で対策できない時は、マウスピース治療やCPAP治療などを受けることも可能です。
「今すぐ改善したい」「舌根沈下で毎日がつらい」というときには、クリニックに相談した方が効率的な場合があります。
日々の悩みを解決し、清々しい朝を迎えたいという人は、お近くのクリニックを探してみてはいかがでしょうか。
もしクリニック探しを行われる場合は、事前に口コミ情報を集め、評価を比較しておくのをおすすめします。
しっかりとあなたの悩みを聞いてくれるクリニック探しは、正しい診断を受ける重要事項ですので、頭に入れておいてくださいね。
まとめ
睡眠中のいびきを誘発する「舌根沈下」は、老化や運動不足、飲酒など複数の原因で発症します。
また、仰向けで眠ることで喉の筋肉が気道を塞ぎ、呼吸困難やチアノーゼといったトラブルを発症させる可能性もあることが分かりました。
中には、すでに舌根沈下が原因でいびきの症状が大きくなっている人もいるでしょう。
それなら、自身で舌のトレーニングを行ったり、クリニックに相談したりしてみてはいかがでしょうか。
睡眠という人間に必要な活動を阻害する舌根沈下を解消するため、本記事の情報を参考に、いびき対策を検討してみてくださいね。
よくある質問
Q.舌根沈下が起きるのはなぜ?
A.舌根沈下は主に次のような原因で発症します。
・老化が進んでいる
・運動不足
・飲酒量が多く酔ったまま寝ている
・鼻づまりといったアレルギー症状がある
また、他にも睡眠時の寝方や、その人の体型など複数の要因が関係します。
このような原因は、舌の筋肉を衰えさせるだけでなく、睡眠時に筋肉が緩みやすくしてしまうのが特徴です。
悪いときには、呼吸困難やチアノーゼといった大きなトラブルに発展する場合もあるので、自身で対策するかクリニックに相談することをおすすめします。
Q.舌根沈下はどうやって改善するの?
A.舌根沈下を対策したいなら、舌のトレーニングもしくはクリニックに相談がおすすめです。
舌のトレーニングでは、次に示す5つを組み合わせつつ継続すれば、筋肉の衰えを改善できます。
・前後運動
・上下運動
・回転運動
・顎の運動
・頬の運動
また、クリニックに相談すれば、マウスピース治療やCPAP治療が受けられるので、いびきによる症状の辛さや健康の状況に応じてどちらを優先すべきか検討してみてくださいね。