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いびきと病気

【どちらが先?】いびきをかくから疲れが取れない?疲れているからいびきをかく?

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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「いびきで疲れが取れない」ケースも
「疲れでいびきをかく」ケースもある


それぞれ起こる理由が異なるためどちらが先とは言えません。

そもそも、いびきの原因には「一時的な原因」と「慢性的な原因」があります。
一時的な原因の1つが「疲れ」で、疲れがたまっているといびきをかく可能性が高いです。一方、慢性的な原因には「肥満」や「鼻炎」などがあります。

「いびきの原因」

一時的な原因 疲れ、お酒、風邪など
慢性的な原因 ・肥満
・アルコールやタバコ
・アレルギー性鼻炎
・睡眠時無呼吸症候群
・アデノイド
など

「いびきで疲れが取れない」「疲れでいびきをかく」のうち、どちらが先とは言えませんが、互いに影響を与え合う可能性はあります。例えば、肥満が原因でいびきをかくのが常態化すると、疲れが取れないため疲労が蓄積し、いびきをかきやすい状態となるのです。

いびきで疲れが取れないのは何故?

では何故、いびきをかくと疲れが取れないのでしょうか。
思い返してみてください。いびきを毎日のようにかく方は「寝ているときによく途中で目が覚めてしまう」という現象に心あたりがあると思います。

それは、いびきが努力性の呼吸を促してしまい低酸素状態に追い込み、脳の覚醒反応を引き起こすためです。
いびきをかいている際の脳波を分析すると、浅い睡眠となっており、深い睡眠を取れていません。つまり、いびきは眠りを妨げて疲れが残る原因となるのです。

疲れでいびきをかくのは何故?

反対に、疲れでいびきをかくのは何故でしょうか。

そもそもいびきは、気道が狭くなり気道の粘膜や軟口蓋が振動するために起こります。気道の広さは筋肉によって調整されているのですが、疲れがたまっているときに睡眠を取ると、調整している筋肉が通常よりも緩みやすくなっているのです。つまり、気道の広さを調整している筋肉が緩むことで気道が狭くなり、いびきを増強する原因となります。

いびきをかきやすい人にはこんな特徴が!


いびきをかきやすい人は、次のような特徴があります。

  • ・肥満や短くて太い首をもつ
  • ・アルコールやタバコの摂取が頻繁
  • ・あごが小さい
  • ・口呼吸

いずれかに該当していないか、いびきの原因となっていないかを確認し、いびき疲れ解消のヒントにしてください。

肥満や短くて太い首をもつ

肥満で脂肪が蓄積しているのは、お腹周りや腕や足などだけではありません。いびきに直接影響する部位である「気道」の周囲にも脂肪が蓄積します。特に、上気道(鼻~のどまでの気道)に脂肪がつくと、いびきの悪化は必至です。

また、肥満は寝るときの「姿勢」にも悪影響を及ぼします。いびきをかく方は、「横向き」になると舌の落ち込みで気道が塞がされずに空気の通り道が確保されるため、いびきの軽減効果があります。しかし、肥満になると横向きの姿勢が取りづらいため、気道が狭くなりやすい「仰向け」となりやすく、いびきを悪化させる原因となるのです。このように肥満はいびきを悪化させるため、結果的にいびき疲れを助長してしまいます。

アルコールやタバコの摂取が頻繁

嗜好品であるアルコールやタバコの摂取は、いびきの悪化原因の1つです。

まず、アルコール摂取では気道を広げる筋肉が緩み、鼻が詰まりやすくなることで口呼吸になりやすくなります。口呼吸になると舌が落ち込むため、より気道が狭くなってしまいます。

また、タバコを摂取すると、煙によって口蓋扁桃などが腫れ、気道を狭くします。女性は特に喫煙の影響を受けやすいとされています。また、副流煙でも生じるため、身近な方に喫煙者がいる場合も注意が必要です。

あごが小さい

あごが小さい方の特徴として、気道が狭い方が多くなっています。加えて、あごが後ろに下がった構造の場合、舌も後ろに位置するため気道を狭めるため、いびきをかきやすいです。対処法として、あごの外科手術で根本的に改善を図ったり、マウスピースをして症状を和らげたりする方法があります。

あごが小さい方は、睡眠時無呼吸症候群となりやすいため早めにクリニック等を受診して改善または緩和を図ると良いです。

口呼吸

口呼吸、つまり、口を開けた状態で呼吸をすると、舌が落ち込んで気道を狭めてしまいます。口呼吸となる原因はさまざまあり、アルコールの摂取、鼻詰まり(鼻炎などによる)、アデノイドなどがあります。つまり、何らかの原因によって鼻呼吸が妨げられると口呼吸となりやすいです。

普段の生活から口呼吸を行っているだけで、睡眠時無呼吸症候群につながるリスクがあるため、いびきやいびき疲れ対策のみならず、病気予防としても口呼吸は避けましょう。

いびきの放置は危険!もしかしたら病気の徴候かも?


疲れや慢性的な原因でいびきをかく場合以外にも、病気の徴候としていびきをかいているケースがあります。多くの方がいびきをかいているため軽視しがちですが、病気が原因の場合もあるため注意しましょう。ここでは、原因となり得る以下の病気をご紹介します。

  • ・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • ・鼻やのど周囲の病気
  • ・脳卒中

どれも早期発見が大切な病気です。あるときから「いびきが酷くなった」などの心当たりがある方はクリニックなどへの受診を検討しましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている際に呼吸が一時的に止まる症状を繰り返す病気です。
医学的な定義として、10秒間無呼吸または低呼吸(弱い呼吸)が1時間に10回以上繰り返す症状がある場合に「睡眠時無呼吸症候群」とされます。また、脳が原因で発症するケースもありますが、上気道の閉塞によって起こるケースが多くなっています。

睡眠時無呼吸症候群では、無酸素状態を1時間のうちに何度も繰り返すため、寝ながら強度の高い運動をしているようなものです。睡眠で疲れが取れるように、早めに受診しましょう。

鼻やのど周囲の病気

鼻やのど周囲にて気道を狭めるような病気を発症すると、いびきが見られる可能性が高いです。具体的に、鼻中隔湾曲症(鼻の孔を隔てている組織が湾曲する病気)やアデノイド肥大(鼻とのどの間にあるリンパ組織が肥大化する病気)、副鼻腔炎、扁桃炎などの病気があります。単純に鼻が詰まっているためいびきをかいている可能性もありますが、これらのような病気に罹患している恐れがあるため、受診をおすすめします。

脳卒中

脳卒中は、脳の血管に異常が起こることで発症する病気です。障害を受けた部位によっては、舌の落ち込みや呼吸に異常を起こし、それに伴っていびきをかく症状が見られる場合があります。

いびきは、脳卒中のリスクを上げると言われています。血液中の酸素量が減り、心臓や脳の負担が大きくなるためです。「いびきぐらい気にしなくてもいいだろう」と放置してしまうと、脳卒中のような思わぬ病気を引き起こすかもしれません。油断をせず、早めの対策を心掛けましょう。

改善したいなら日々の生活改善から!


いびきを改善したい方は、まずクリニックの受診が大切です。地域密着型のクリニックもあり、病院と異なって気軽かつ少し時間を取って相談できるでしょう。そのうえで、日々の生活から改善を図るとよいです。

疲労が根本的な原因の場合は、一時的のため疲れを取ることでいびきは改善されます。しかし、疲労などの一時的なもの以外によって、いびきが引き起こされている場合が問題です。ここでは、慢性的な原因によっていびきが引き起こされている場合の改善策をご紹介します。

肥満の改善

気道周囲に脂肪が蓄積することで、空気の通り道を狭めてしまいます。また、肥満では快適な呼吸を行える「横向き」の姿勢で寝るのを妨げるため、いびきに対して天敵の1つとも言えるでしょう。

肥満の改善には、適度な食事コントロール(糖質制限など)、有酸素運動を中心とした運動が有効です。ダイエットを試みる際、短期間で痩せようとしがちですがリバウンドしては意味がありません。長期的に見て、適度なダイエットを行い、いびきやいびき疲れの改善を目指してください。

アルコールやタバコなどの嗜好品を避ける

アルコールやタバコなどの嗜好品は、いびきの原因になり得ます。どちらも共通して、気道を狭くする可能性があるため、いびきに悩んでいる方は必ず避けるべきです。アルコールとタバコは、それら自体に疲労を蓄積する性質があります。アルコールは、肝臓にストレスを与えることで疲労感を生じさせます。また、タバコは高い濃度で含まれている「一酸化炭素」によって酸素の取り込みが阻害されてしまうため、疲れやすくなるのです。

今までの習慣を変えることは大変ですが、毎日少しずつ摂取量(本数)を減らし、快適な睡眠で疲れが取れるようになりましょう。

鼻呼吸を普段から意識する

口呼吸を行うと舌が落ち込むため、いびきをかきやすくなります。口呼吸が習慣化している方は、普段の生活から意識することが大切です。もし、鼻炎などによって鼻呼吸が困難な方は、クリニックや病院を受診して治療を行うようにしましょう。

口呼吸ではなく鼻呼吸を行うメリットに「空気抵抗の少なさ」があります。鼻呼吸を行う方が、空気が肺に送られるときの抵抗が少ないため、換気がしやすく快適に睡眠できるのです。普段から鼻呼吸を意識し、疲労軽減を目指しましょう。

すぐにでもできるいびき疲れ対策


完全にいびきをかかなくするには、根本的な原因の解決が必要なため時間を要します。しかし、一時的にでもいびきをかかないようにして、いびき疲れを生じないようにしたいでしょう。

そんな方に向けて、すぐにでもできるいびきをかかないようにする対策法をご紹介します。どなたでも実践できるため、いびきやいびき疲れの対策にお役立てください。

横向きで寝る

仰向けで寝ると舌がのどの奥に落ち込むため、気道は狭まります。横向きで寝て、呼吸しやすい状態で寝られるように対策しましょう。

しかし、横向きで寝るのはあくまで一時的な対処です。人は寝ているとき、無意識に何度も寝返りをします。そのため、寝る前にいくら意識をしようとも、仰向けになる場合があるためいびきをかいてしまうのです。

グッズを使用する

近頃は、いびき対策グッズが数多く販売されています。個人の状態や原因に応じたグッズを使用すると、すぐにでもいびきを軽減して、睡眠でしっかり疲れを取れるようになるかもしれません。

【グッズ例】

  • ・鼻腔拡張テープ:鼻腔を広げて鼻呼吸をしやすくする
  • ・口閉じテープ:口呼吸が習慣化している方が、鼻呼吸を行うようにする
  • ・あご下のサポーター:仰向けで寝る場合、あごが下がり気道が狭くならないようにする
  • ・マウスピース:舌が落ち込まないようにしたり歯ぎしり予防になったりする

以上のようなグッズを活用して、いびきやいびき疲れ対策を行ってみましょう。

枕の高さを調節する

いびき改善には、「気道の広さ」がポイントです。枕が高すぎたり低すぎたりすると上気道を狭めるため、適切な高さの枕を選ぶか、道具を用いて高さを調節する必要があります。枕の高さは、以下のポイントを目安にしてください。

  • ・立っているときの頭~肩にかけての形状をキープできているか
  • ・頭や肩など、体重が偏っていないか(圧迫感がある部位がないかを確認)
  • ・枕が高くてあごが下がったり、枕が低くてあごが上がったりしていないか

これら3つの目安をポイントに、枕の高さを調整しましょう。また、枕を長く使用すると少しずつ凹んで低くなるため、定期的なチェックが必要です。

いびきやいびき疲れは原因を知ると対策できる!

いびきやいびきによって疲れが取れない状態は、原因を把握することで対策ができます。
しかし、病気の徴候である可能性もあるため、「近頃いびきが酷くなった」「他にも症状がある」など心当たりのある方は、まずは気軽に相談できるクリニックを受診してください。

よくある質問

Q.いびきをかくと疲れが取れないのは何で?

A.いびきは低酸素状態を引き起こし、脳の覚醒を促してしまうためです。

Q.いびきが何らかの病気の徴候の可能性は?

A.睡眠時無呼吸症候群や脳卒中、鼻やのど周囲の病気(アデノイドなど)の可能性があります。

参考文献

  • ライター・監修者
  • ライター・監修者の新着記事
睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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