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【寝汗がすごい】寝汗が過剰にでるメカニズム、原因と対策をご紹介

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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寝汗がすごいメカニズムとは?

寝汗がひどい男性のイラスト
人間はスポーツやエクササイズ、緊張などによって汗をかきますが、発汗のメカニズムを言語化して説明できる人はそこまで多くないのではないでしょうか?
特に睡眠中はほとんど動かないにも関わらず、すごい量の寝汗をかいてしまったら不安になりますよね。

結論から言えば、異常な量の寝汗は背景になんらかの病気が隠れている可能性もあるため注意が必要ですが、ある程度の寝汗であれば異常ではなく、むしろ正常な生理現象と言えます。
異常な寝汗かどうか判断するためにも、まずは正常な寝汗のメカニズムを理解しておくことが重要です。

そこで、ここでは汗がどのようにできているのか、正常な寝汗のメカニズムについて詳しく解説します。




汗はどのようにできている?

結論から言えば、汗は人の汗腺と呼ばれる部位から分泌されます。
また、汗腺はエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2つに分類され、それぞれ担っている役割が異なります。

全身の至る所に存在するエクリン汗腺の主な役割は体温調節であり、気温が高い時や体を動かした時に汗を分泌します。
環境温度の影響を受けて深部体温が変動する動物を変温動物と呼びますが、人間は環境温度に関わらず深部体温をある一定の温度に保つ能力を持つ恒温動物です。運動や長時間暑い場所にいたことで深部体温が上昇してしまうと、深部体温の過剰な増加を防ぐためにエクリン汗腺から汗が分泌され、熱を放散することで深部体温を一定に保つようにしているのです。

また、エクリン汗腺は交感神経によって支配されているため、精神的緊張に伴う交感神経の活性化でもエクリン汗腺が刺激され、汗が分泌されます。
エクリン汗腺から分泌された汗は比較的サラサラしていて、汗そのものにもほとんど臭いはありませんが、汗で濡れた衣服などを放置しておくと水分をもとに雑菌が増殖し、臭いの原因となります。

それに対し、アポクリン汗腺は耳の裏や首筋、脇の下など限られた部位にしか分布せず、分泌される汗の主な役割もはっきりと分かっていません。アポクリン汗腺からの汗は、特有の臭い(いわゆるワキガ臭)がすることがあります。これは、アポクリン汗腺からの汗に多く含まれる脂質やタンパク質が表皮常在菌によって分解され、臭いの元である3メチル2へキセノイン酸と呼ばれる物質が発生するためです。

この2つの汗腺から汗が分泌されるわけですが、睡眠中の寝汗はエクリン汗腺から分泌された汗になります。
睡眠中は緊張しているわけでもなく、運動しているわけでもないのに、なぜエクリン汗腺から汗が分泌されるのでしょうか?

寝汗をかくメカニズム

結論から言えば、人が寝汗をかくメカニズムは良質な睡眠を得るためです。

人の体温と睡眠はどちらも脳の「視床下部」と呼ばれる部位で連動してコントロールされていて、深部体温が低下することで深い睡眠を得られることが分かっています。そもそも人の睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つの睡眠相が存在し、深い睡眠はノンレム睡眠の事を指します。

レム睡眠中、身体は眠っていて十分に休めますが、脳は半分起きていて記憶や情報の整理を行なっているため、比較的眠りの浅い時間帯になります。それに対し、レム睡眠以外の時間帯をノンレム睡眠と言い、身体も脳も共に眠って疲労回復を行なっているため、比較的眠りの深い時間帯になります。
正常な睡眠であれば、就寝直後から一気にノンレム睡眠に入り、1〜2時間程度の間隔でノンレム睡眠とレム睡眠を1晩あたり4、5回交互に繰り返して、時間の経過とともに徐々にノンレム睡眠の眠りも浅くなっていき、起床に向かっていきます。

深い睡眠相であるノンレム睡眠の時間を確保するためには、睡眠中に深部体温を低下させる必要があり、そのために寝汗をかいているのです。
逆に、睡眠直前の運動や入浴、飲酒は深部体温が低下しにくくなるため、睡眠の質が低下すると言われています。




寝汗がすごい!その原因は?

夜、就寝中に寝汗をかく男性のイラスト
「睡眠中にすごい量の汗をかいた!」「朝起きたら下着がびしょ濡れ!」
誰しも1度はこのような経験をして、不安を感じたことがあるのではないでしょうか?

ある程度の寝汗は生理現象ですが、過剰な量の寝汗は放置せずに原因をしっかりと突き止めて適切な対策を取るべきです。寝汗がすごいという症状は、身体になんらかの異常が生じているシグナルの可能性があるからです。具体的には、過剰なストレス、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられ、最悪の場合がんなどの命に関わる病気の可能性もあります。
ここでは、過剰な寝汗の原因について詳しく解説します。

ストレス

過度なストレスは、過剰な寝汗の原因となります。

過度なストレスを感じると、体温の調整に関与している自律神経が乱れてしまうからです。自律神経とは交感神経や副交感神経の総称で、2つのバランスが乱れてしまうと、うまく体温の熱放散を行えなくなり、深部体温を下げることができなくなるため、夜間に異常な寝汗をかく可能性があります。

ホルモンバランスの乱れ

特に女性の場合、ホルモンバランスの乱れは、過剰な寝汗の原因となります。

女性ホルモンが乱れると、連動して自律神経も乱れてしまい、ストレスと同様の機序で寝汗をかきます。女性ホルモンのバランスが乱れる妊娠や出産、閉経などのイベントがある場合、注意が必要です。
特に、閉経後に女性ホルモンのバランスが乱れ、自律神経をうまくコントロールできなくなることで様々な症状が現れる疾患を「更年期障害」と言い、ひどい寝汗の原因になるだけでなく、眩暈や動悸、ほてりなどの症状が現れることもあります。

PMS

PMSは、過剰な寝汗の原因となります。
PMS(Premenstrual Syndrome)とは月経前症候群のことで、その名の通り、月経前の女性ホルモンの乱れが原因で様々な症状を引き起こす疾患です。

女性ホルモンのうち、「プロゲステロン」と呼ばれるホルモンは体温を上昇させる効果を持ち、寝汗の原因になるため、生理のたびに多量の寝汗をかく場合はPMSを疑う必要があります。症状は、生理が始まってからしばらくすると自然に改善することが多いです。

不適切な睡眠環境

不適切な睡眠環境は、過剰な寝汗の原因となります。

睡眠中に深部体温が下がりにくいような高温多湿の環境で寝てしまうと、深部体温を下げるために多量の発汗を引き起こすからです。具体的には、厚すぎる衣服、過度な暖房、過度な加湿、吸水性や吸放湿性がよくない寝具の使用などが挙げられます。
これらは簡単に改善することができるため、寝汗にお悩みの方は一度睡眠環境をチェックすることをお勧めします。

異常な病気の発症

すごい寝汗を認める場合、異常な病気を発症している可能性があります。

体内で炎症性サイトカインを多量に発生させるような病気や、代謝を亢進させるような病気は体温が上昇しやすくなるからです。具体的には、結核などの感染症、甲状腺機能亢進症、悪性リンパ腫、がんなどが挙げられます。これらの病気であれば、早期発見、早期治療が好ましいため、気になる方は一度医療機関を受診することをお勧めします。




寝汗がすごい時の対策

ベッドで安眠している女性のイラスト
寝汗がすごい場合、多くは深部体温が下がりにくい状態にあることが原因です。

そのため、深部体温が下がるように、それぞれの原因に応じた対策が必要になります。具体的には、ストレスの軽減、規則正しい生活習慣、適切な寝具や就寝環境などが挙げられます。
また、場合によってはがんなどの命に関わる病気の可能性もあるため、早期から適切な対策を取ることをお勧めします。
ここでは、それぞれの対策法をご紹介します。

ストレスを溜めない

ストレスを溜めないことで、寝汗を改善できる可能性があります。

ストレスの緩和によって自律神経のバランスが安定し、睡眠中の体温調整が適切に行われるようになるからです。そのためには、適度な運動、就寝の2~3時間前の入浴などがオススメです。ストレスは寝汗以外にも身体や精神に様々な悪影響を与えるため、普段から自分に合ったストレス発散法を知っておくことが重要です。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活を送ることで、寝汗を改善できる可能性があります。

生活リズムを整えることで、乱れた女性ホルモンや自律神経のバランスを安定させることができるからです。具体的には、日々の起床時間や就寝時間を整える、規則的な食生活を送る、寝る前の運動や飲酒を控えるなどが挙げられます。規則正しい生活を送ることは、寝汗以外にも生活習慣病や精神疾患の発症予防にもなるため、是非実践してみましょう。

吸水性や吸放湿性の高い寝具を選ぶ

吸水性や吸放湿性の高い寝具を選ぶことで、寝汗を改善できる可能性があります。

寝汗による寝具のベタつきが改善することで熱を放散しやすくなり、深部体温が下がりやすくなるからです。具体的には、吸水性、吸放湿性が高い綿や麻、シルクなどの素材のパジャマを選ぶのがお勧めです。
また、速乾性の高いシーツや寝具を選ぶこともお勧めです。寝具や衣服を変えるだけで寝汗が改善でき、さらには睡眠の質も改善する可能性があるため、是非一度試してみてください。

適切な就寝環境で眠る

適切な就寝環境で眠ることで、寝汗を改善できる可能性があります。

寝汗の原因となる高温多湿な環境を少しでも改善することで、深部体温が下がりやすくなるからです。季節に応じた適切な冷暖房の使用、多湿に対する除湿機の使用などがお勧めです。

医療機関を受診する

医療機関を受診することで、寝汗を改善できる可能性があります。

寝汗の原因の中には、体内で強い炎症を引き起こしたり、代謝を異常亢進させたりしてしまうような病気が隠れている可能性もあり、専門的な医療機関での検査や治療が必須となります。具体的な病気には、風邪や腸炎などの比較的軽症な病気もあれば、結核などの重度の感染症、甲状腺機能亢進症、悪性リンパ腫、がんなど命に関わるような病気も挙げられます。
たかが寝汗と考えて、これらの病気の発見が遅れては元も子もありませんので、気になる方は必ず医療機関を受診しましょう。




まとめ

問診中の医者と患者のイラスト
この記事では、寝汗がすごいと悩んでいる方に向けて、寝汗のメカニズムや原因、対策について解説しました。

寝汗をかくことによる熱放散によって睡眠中の深部体温を低下させることができ、それに伴って良質な睡眠を得ることもできます。そのため、ある程度の寝汗は正常な生理現象と言えますが、あまりにも過剰な寝汗は自律神経や女性ホルモンが乱れている、もしくはなんらかの病気の可能性もあるため注意が必要です。睡眠環境や寝具、生活習慣を整え、それでも原因が判断しにくい場合は、一度医療機関への受診をお勧めします。

寝汗を改善し、良質な睡眠と健康的な日々を取り戻しましょう!

よくある質問

Q.すごい量の寝汗にはどのような原因がありますか?

A.異常な寝汗の原因は、ストレスやホルモンバランスの乱れ、不適切な寝具の使用や就寝環境などによって睡眠中の深部体温が下がらないからです。
場合によっては、感染症やがん、悪性リンパ腫、甲状腺機能亢進症などの命に関わる病気の可能性もあるため、気になる方は医療機関への受診をお勧めします。

Q.寝汗をかくと睡眠にどのような影響がありますか?

A.汗をかいている場合、深部体温が下がらず睡眠の質が低下する可能性があります。 体温と睡眠の関係については、「【深部体温が重要?】体温と睡眠の質について」の記事で詳しく解説されていますので、是非参考にしてください。

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