女性がいびきをかく原因
女性がいびきをかく原因として、大きく分けて以下の2つが考えられます。
- ・女性特有の原因
- ・男女共通している原因
それぞれについて、どのような原因があるか詳しく解説しますので、ご参照ください。
女性特有の原因
女性特有の原因は、生理関連やライフスタイル、年齢など様々な原因が挙げられます。以下の表をご参照ください。
原因 | 詳細 |
---|---|
生理前症候群 | ・エストロゲンとプロゲステロンが生理周期によって増減することで体調に変化をきたす ・ホルモンバランスが崩れることで自律神経が乱れ、イライラしたり不眠症になったりする ・自律神経の乱れは睡眠時の気道を塞ぐこともありいびきをかきやすくなる |
多嚢胞性卵巣症候群 | ・卵巣内で男性ホルモンが増加することで成熟していない卵子が卵巣内に溜まってしまう ・不妊症の一種とされている ・多嚢胞性卵巣症候群の特徴として、男性ホルモンの影響による肥満や血糖値の上昇が挙げられる ・肥満により脂肪で首が圧迫されることでいびきをかく ・多嚢胞性卵巣症候群の人は睡眠時無呼吸症候群を併発している可能性が高い |
妊娠 | ・妊娠中は胎児を守るため脂肪が付きやすくなる ・脂肪が首周りにつくことでいびきをかきやすくなる ・睡眠時無呼吸症候群に注意 |
出産後~育児 | ・産後のホルモンバランスの乱れにより情緒不安定になる ・特に第一子の場合は慣れない育児が始まり緊張やストレスを感じやすい ・子どもの世話に夜間起きることも多く、睡眠バランスが乱れる ・以上のことから自律神経が乱れることでいびきをかきやすくなる |
更年期 | ・女性ホルモンの分泌が不安定になることから情緒不安定、顔のほてりなどが見られる ・女性ホルモンは気道の筋肉を広げる働きがあり、男性よりも気道が広がりやすい ・更年期により女性ホルモンの働きが弱まることで気道が塞ぎやすくなるため、いびきをかきやすい |
男女共通している原因
続いて、男女に共通してみられるいびきの原因について、以下の表をご参照ください。
原因 | 詳細 |
---|---|
肥満 | ・BMIが25以上の場合を肥満と定義する ・肥満は首周りに脂肪が付くことで気道が狭くなりいびきの原因となる ・主に男性は上半身に脂肪が付きやすいとされている |
アレルギー性鼻炎 | ・花粉やホコリなどのアレルギー物質が鼻や口から侵入し、鼻~喉の粘膜を刺激して腫れることで空気の通り道が狭くなりいびきをかきやすくなる |
あごの骨格が小さい | ・あごの骨格が小さい人は、気道も狭くなりやすい ・気道が狭くなると空気の通り道が塞がれやすくなることからいびきをかきやすい |
口呼吸 | ・口が開いて呼吸しており、舌が気道まで下がりやすい ・口の筋肉が緩んでいる ・上記の理由からいびきをかきやすい |
疲労・ストレス | ・疲労やストレスは自律神経を乱し、交感神経を優位にする ・身体が休息を取るよう過剰に働きかけるため全身の筋肉が緩むことでいびきをかきやすくなる |
就寝前の飲酒 | ・アルコールにより全身の筋肉が緩む ・舌の筋肉が緩むことで気道を狭め、いびきの発生につながる |
いびきは睡眠時無呼吸症候群の可能性もある
いびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状です。いびきの他に以下の症状が見られる場合は、受診をおすすめします。
- ・無呼吸がある(いびきをかいたり止まったりを繰り返している。いびきが止まっているときは無呼吸の可能性がある)
- ・夜間トイレに起きる
- ・しっかり寝たつもりでも起きたときに倦怠感がある
- ・日中強い眠気を感じる
上記は、睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下することで起こす症状です。
体内に必要な酸素が届かないことで、脳はなんとか酸素を送ろうと常に働いています。寝ているつもりでも脳が休めていないため、自律神経が乱れ、心不全や脳梗塞などの重大な病気を引き起こす危険性が高いです。
いびきの他に気になる症状がないか確認して、心配な場合は受診しましょう。
女性の睡眠時無呼吸症候群に関して、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
いびきの治療方法5選
いびきの治療方法には、以下の5つが挙げられます。
- ・レーザー治療
- ・手術
- ・日常生活の見直し
- ・CPAP(シーパップ)
- ・マウスピース
どのようないびきに適応される治療方法なのか、適応に必要な条件など詳しく解説します。
レーザー治療
レーザー治療は、喉にある口蓋垂や扁桃腺などの組織に照射して縮小することで、空気の通り道を拡大していびきを治す方法です。
もともと喉の組織が大きい人に適した治療方法といえます。舌が落ちて気道を塞いでいることでいびきをかいている場合には、レーザー治療では治せないため、別の治療方法が適応されます。
手術
手術は、喉の組織を切り取ることで空気の通り道を広げ、いびきを改善する方法です。
レーザー治療と同様に、喉の組織が大きい人や子どもでアデノイド(鼻の奥~喉にできるリンパ組織のかたまり)ができていることで、いびきをかいている人に適応されます。
手術は入院が必要なこと、傷の痛みが1週間程度続くことなど、日常生活に支障が出る治療方法となるため、医師と相談して最適な治療方法なのか確認しておきましょう。
日常生活の見直し
いびきは、日常生活を見直すことで改善できることも多くあります。例として、以下を参照ください。
- ・肥満にならないように食事に気を付ける
- ・運動を取り入れストレス解消や肥満予防を行う
- ・ストレスを溜めこまないよう自分なりの解消方法を見つけておく
- ・寝るときは横を向いて寝る
- ・寝る前は飲酒しない
上記は今すぐにでも実践できるものばかりです。
肥満や疲労・ストレスなどがいびきにつながる場合が多いため、日常生活で意識するだけで改善が見込めます。
自分の生活習慣を見直して、いびきを解消しましょう。
CPAP(シーパップ)
CPAPは、持続陽圧呼吸療法といわれる、睡眠時無呼吸症候群の治療方法です。
寝るときに鼻にマスクを装着し、機械が空気を送り出すことで舌が気道を塞ぐのを予防し、いびきを解消します。
CPAPを使用するには、睡眠時無呼吸症候群と診断されている人であること、重症度が中等度以上であることなどの条件があります。
また、CPAPは一時的に舌が落ちないようにしているだけで、根本的な治療方法ではありません。舌が落ちてしまう原因(肥満やアルコール摂取、喫煙、精神安定剤の服用など)を取り除くことが重要です。
マウスピース
マウスピースは、歯科医師に自分の歯の形に合わせてマウスピースを作成し、寝るときに装着することで舌が気道に落ちるのを防止していびきを解消する方法です。
睡眠時無呼吸症候群の軽症の人が対象になる治療方法であり、作成には以下の条件があります。
- ・睡眠時無呼吸症候群と診断されていること
- ・診断した医師からの紹介状があること
上記を満たしている場合、保険適用でマウスピースが作成できます。また、「睡眠時無呼吸症候群ではないけど、いびき治療のためにマウスピースを作成したい」という方は、自費での作成が可能な歯科医院もあります。
歯科医院によっては、睡眠時無呼吸症候群と診断された人のみ対象としているところもあるため、確認しておきましょう。
不眠症・いびきの改善に役立つ方法4選
不眠症やいびきの改善の役立つ方法を、以下の4つ紹介します。
- ・ストレスを溜めないようにする
- ・食生活・ライフスタイルを改善しよう
- ・寝る前の飲酒は控えよう
- ・いびきを予防するグッズを使おう
日常生活で意識することで、不眠症やいびきが改善する方法ばかりです。
最後はいびき予防にとっておきのグッズを紹介しますので、ご参照ください。
ストレスを溜めないようにしよう
ストレスは、脳が身体を休めようと全身の筋肉を緩める作用が強く働くことでいびきをかきやすくなります。
また、ストレスを感じることで交感神経が優位になり、疲れているにもかかわらず眠れなくなる危険性もあります。
ストレスを感じたら、解消できる自分なりの方法を探してみましょう。
以下には、ストレス解消におすすめの方法をご紹介しますので、ご参照ください。
- ・汗ばむくらいの運動をする(ウォーキング・ストレッチ・サイクリングなど)
- ・リラックスあるいはスッキリする音楽を聴く(風や水などの自然音や好きなアーティストの曲など)
- ・友人や知人と会う
- ・ゆっくりお風呂に入る
それぞれストレスを解消する方法は異なります。自分に合う解消方法を見つけておくと、ストレスを感じたときに安心です。
食生活・ライフスタイルを改善しよう
夕食は外食や総菜で済ませるという人は、肥満になりやすく、いびきの原因になります。
夕食の時間や献立などに注意して、バランスのよい食事を心がけましょう。
また、食生活以外にも改善することで不眠症やいびきが解消できることもあります。以下の例をご参照ください。
- ・起きる時間を一定にする
- ・眠気を感じたら布団に入るようにする
- ・寝る前にスマートフォンやタブレットを見ない
- ・寝室を快適な温度や明るさに調節する
- ・寝具を寝心地のよいものにする
上記のようにライフスタイルを見直すと、不眠症やいびきが改善されますので、試してみてください。
寝る前の飲酒は控えよう
寝る前の飲酒は、全身の筋肉を緩めることでいびきをかきます。
また、摂取時は程よく眠気を感じて寝つきがよいように思いますが、アルコールを分解した際に出る物質が脳を刺激して動きが活発になります。結果、眠りが浅くなり十分な休息がとれません。
寝つきをよくするための飲酒は、質のよい睡眠にはつながらないため、見直しましょう。
個人差はありますが、アルコールが分解されるまでおよそ3~4時間かかると言われています。
寝る時間から逆算して、布団に入るころにはアルコールが抜けているように意識して、早めの時間に適量の飲酒がおすすめです。
いびきを予防するグッズを使おう
様々ないびきを予防するグッズが販売されています。以下に一例をご紹介します。
グッズ名 | 特徴 | 価格相場 |
---|---|---|
ナステント | ・鼻にチューブを挿入し空気の通り道を確保することでいびきを予防する ・医師の処方箋が必要 ・取り扱っている店舗が限られている |
7本入り約3,500円 |
抱き枕 | ・細長い枕で抱き着くように寝ることで身体が横向きになりいびきをかきにくくする ・抱き心地によって個人差がある ・まっすぐな円柱状や身体の形に合わせて曲がっておるものなど様々な形がある |
約2,000円~7,000円 |
鼻詰まりを解消するテープ | ・プラスチックの棒が入ったテープを鼻に貼付することで鼻からの空気の通り道を広げ、いびきの解消が可能 ・風邪やアレルギーで鼻詰まりが見られる人にも効果的 |
約500円~1,200円 |
口呼吸を予防するテープ | ・寝ている間口を塞ぐことで鼻呼吸を促し、いびきを解消する ・口臭予防にも効果的 ・男性は髭を剃ってから装着するとよい |
約700円~2,900円 |
いびきの解消や快眠につながるグッズであり、身近に用意できるものもあるため、気になるグッズを試してみましょう。
不眠症は女性ならではの原因も考えられる
不眠症の原因には、女性ならではのホルモンバランスの関係やライフスタイルの変化によって起こる場合があります。
以下の時期は、不眠症の原因になりやすいです。
- ・生理周期にともなうホルモンの影響
- ・妊娠・出産・育児にまつわるライフスタイルや身体の変化
- ・更年期によるホルモンバランスの乱れ
下記コラムでも詳しく解説していますので、ご参照ください。
生理周期にともなうホルモンの影響
女性の身体は、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの働きにより、生理を起こしたり妊娠したりしています。
それぞれのホルモンの働きは、以下の通りです。
ホルモン名 | 働き |
---|---|
エストロゲン | ・生理後から排卵日にかけて分泌されるホルモン ・受精卵の着床を助ける ・肌のつやがよくなる ※この時期は、身体の調子がよいと感じる人が多い |
プロゲステロン | ・排卵日から生理前に分泌されるホルモン ・体温を上げる ・いらいらしたり、眠気が強くなったりする ※PMS(生理前症候群)と呼ばれる時期であり、体調不良や情緒不安定になる人がいる |
上記のホルモンのうち、プロゲステロンは体温を上昇させる働きを持っていることから、眠りにくいと感じる人がいます。人は体温が上昇した後、下降したタイミングで眠気を感じるからです。
妊娠・出産・育児にまつわるライフスタイルや身体の変化
妊娠中は、大きくなったお腹や頻尿、腰痛、胎動などで眠れないと感じる人が多いです。
貧血を指摘されている場合は、むずむず脚症候群を起こす人も多く、夜間布団に入ると足がむずむずして眠れないと感じることもあります。
また、出産後は赤ちゃんのお世話で昼夜関係なく起きなければならず、睡眠パターンが変化することや「自分が寝ている間に赤ちゃんに何かあったらどうしよう」と不安を感じて眠れなくなる人もいるでしょう。こちらは、妊娠から通常の身体に戻るために、急激にホルモンの変化が起きて情緒不安定になることにより不眠になりやすいといえます。
更年期によるホルモンバランスの乱れ
更年期とは、女性ホルモンの分泌が減少し、生理が停止したり、ほてったりイライラしたりなどの症状が見られる時期を指します。
女性ホルモンの分泌が減少することで自律神経が乱れ、精神的に不安定になることから不眠になりやすいです。
また、ほてりや発汗により途中で目が覚めて眠れない場合もあります。
更年期による症状に悩んでいる人は、婦人科に相談しましょう。
まとめ
女性のいびきや不眠症の原因や解消方法などについて解説してきました。
女性ホルモンによる周期的な問題でいびきや不眠症に発展することも考えられるため、自分にどのような原因が当てはまるのか確認しておきましょう。
また、いびきは睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられるので、いびき以外に無呼吸や日中の強い眠気、起床時の倦怠感などの症状がある場合は、受診をおすすめします。
よくある質問
Q.女性でいびきをかく原因は何ですか?
A.生理前や妊娠・出産・育児中・更年期など、女性ホルモンやライフスタイルによって様々な原因が考えられます。その他、肥満やあごの骨格が小さいなど体型によってもいびきを引き起こします。
Q.女性でいびきを治すにはどうしたらよいですか?
A.いびきを防止するグッズの使用や寝る前の飲酒を控えるなど、日常生活を見直すことで改善できる場合があります。
いびきに悩まされる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。疑いがあれば、医師による検査や診断により適切な治療を受けましょう。