いびき「プシュー」と抜ける音がする原因
この「プシュー」といういびきの音は上気道という肺までの気道が閉塞されることで生じるものです。
睡眠時は身体の力が弛緩している状態です。
手、足、体幹など力が抜けてリラックスした状態で、身体に力が入っていたり強張っていたりする方はおおむねいないと思います。
実はまさにこのいびきが発生する上気道を支える一部組織や筋も同じように、弛緩した状態になるのです。
この時、口蓋垂(いわゆるのどちんこ)が弛緩し、重力も手伝い、喉の奥にある扁桃に落ちくぼみます。
このようにして空気の通り道が一部ふさがれた状態になることで、繰り返される呼気が口蓋垂を押し上げる際に出る摩擦や振動の音がいびきということになります。
以上が誰にでも起こりうるいびきの発生するメカニズムです。
変な音がするいびきをかく人の特徴4選
いびきをかく人は肥満傾向がある方や心身ともに感じているストレス、加齢、飲酒や睡眠薬、精神安定剤の服用による筋弛緩など多くの要因があります。
ですが他にもいびきをかきやすい人の要因はあります!
1つずつご紹介しますので、自分に当てはまるかどうかぜひ今一度振り返ってみてください。
・肥満傾向
咽頭部(喉のあたり全般から上気道まで)に脂肪がついてしまい、空気の通り道である上気道が狭くなるため、いびきをかきやすくなります。
・筋力低下
高齢や老化、女性なら更年期以降の多く見られます。
筋力低下は足腰だけでなく、咽頭部にある内外筋の筋力低下が見られます。そうなるとやはり口蓋垂や上気道周辺を支える筋力が不安定になり、上気道が狭くなることがあります。
・外的要因による筋弛緩
飲酒や睡眠薬、精神安定剤を服用する方は、しない方に比べて筋弛緩が起こりやすい傾向があります。そういった場合、咽頭部周辺や口蓋垂も同じように弛緩状態になるので空気の通り道がふさがれ、いびきをかきやすくなるのです。
・骨格が細い、顎が小さい
肥満傾向にあるような体格のしっかりした方の方がいびきをかくと言われていますが、現在はそれだけが要因ではありません!
顎の骨格が細いなど身体の構造の影響もあります。顎が小さい、顎が下方へ下がっているなどの特徴を持つ方は横になり寝入った場合、口蓋垂が喉奥に落ちやすいのでいびきをかきやすいようです。
顎が下がり気味ではなくても、口を開けて寝ている人などは顎が下がる傾向にあるのでやはり同じようにいびきをかきやすくなります。
「プシュー」や破裂音のいびきは原因によって命に関わる危険性あり!
いびきが起こるメカニズムはご紹介しました。
以上を踏まえて「プシュー」と抜けるような音や爆発するような音、それ以外の「ガー」「グォーッ」のように変ないびきの音がする場合は、注意が必要になります。
これは上気道から呼気が上がってきて外に吐き出される際、口蓋垂や扁桃周辺が塞がっている状態のところを、無理やり抜け道をつくっているときの摩擦音です。
逆を考えれば吸気も体内へと入っていけない状態になり、この状態が続くと脳が低酸素状態となって脳疾患を起こす可能性もあります。
単なるいびきだから…と軽視せず、自分がどのようないびきをかいているか、まず知ることから始めてみてください。
いびきの種類は大きく分けて3つ!
いびきの種類は大きく分けて、単純いびき症、上気道抵抗症候群、睡眠時無呼吸症候群の3つです。
いびきをかく当人が見分けるのは難しいので、可能なら一緒に寝ている方にチェックしてもらうといいかも知れません。
またちゃんと寝ているはずなのに日中眠気が強く、睡眠時にいびきをかいている場合は、上気道抵抗症候群もしくは睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう。
単純いびき症の場合は比較的安心なのですが、上気道抵抗症候群と睡眠時無呼吸症候群に関しては、注意が必要になります。
判断基準は、
- 1. 睡眠時に呼吸しているか怪しい低呼吸が1時間に5回以上あるか
- 2. 10秒以上無呼吸があるか
の2つがわかりやすいので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
単純いびき症
判断基準1.と2.どちらも該当なしの場合はこちらが疑われます。
単純いびき症は様々ないびきの音がありますが、上気道抵抗症候群や睡眠時無呼吸症候群と大きく異なる点は3つあります。
- ・無呼吸や低呼吸(呼吸数が少ないこと)があったりなかったりする
- ・睡眠中はいびきをかいていても、日中眠くなることなく覚醒状態を維持できる
- ・目覚めの段階がすっきり!
この3つが該当する場合は、主に単純いびき症だと判断されます。
上気道抵抗症候群
判断基準1.と2.両方、またはどちらかのみ該当する場合はこちらが疑われます。
上気道抵抗症候群は、睡眠時無呼吸症候群の一歩手前の軽症型状態を示します。
単純いびき症よりは注意が必要だけれども、睡眠事務虚空症候群ほど大きく心配することはないとされる症状です。
だからと言って、放っておくと睡眠時無呼吸症候群にならないとも限りません。
ちゃんと寝ているのに息苦しさで中途覚醒を繰り返すことで睡眠が細切れになっている場合など、日中眠くなることがあります。
こうなると、たとえ上気道抵抗症候群でも睡眠時無呼吸症候群と同様の治療や対処が必要になることがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
判断基準としてあげた1.睡眠時に呼吸しているか怪しい低呼吸が1時間に5回以上あるか、2.10秒以上無呼吸があるかの両方が該当する場合。
この症状こそ睡眠時無呼吸症候群といえます。
睡眠時無呼吸症候群の方は名の通り、睡眠中に呼吸が止まっていることから脳が酸欠状態になりやすく、最悪の場合脳疾患を起こしやすいと言われています。
「プシュー」といった隙間から抜ける音や「グォッ」などの破裂音のようないびきをかいている方は特に要注意です。
そのいびき音がたつときには、上気道をはじめとして体内の呼気がスムーズに吐き出されず、口蓋垂と扁桃周辺の咽頭部にはかなりの抵抗がかかった状態になります。
そうすると次に負担がかかるのは脳や心臓です。
体内の酸素が欠乏することで高血圧や不整脈のように二次症状が発生すると、心疾患や脳梗塞など命に関わる病気を招いてしまう恐れがあります。
また睡眠時無呼吸症候群の方で過去に多く見受けられるのは、日中の急な眠気による事故です。
これは「マイクロスリープ」というもので、自覚のないほんの一瞬の眠りのことです。
この症状は当人には全く自覚がなく、気が付いたら運転していた車がガードレールに突っ込んでいた、などのことが実際に起きています。
重症の睡眠時無呼吸症候群の方は、泥酔状態の人と比べて車のハンドル操作ミスが高いと報告されています。
引用元 :舛谷仁丸,睡眠時無呼吸症候群 ほんとは怖い「いびき」の話
万が一、人が亡くなるような事故になっていたら、今後の人生に大きく影響を与えてしまうこともあるのです。
睡眠時無呼吸症候群だと思われる方、また自身では判断がつかないという方は、一度専門のクリニックを訪れ検査をしてもらい、原因を調べてみるのもいいでしょう。
いびきを防ぐ対処法
いびきを防ぐ対処法で一番有効なのは、専門クリニックを訪れていびきの原因調べ、各個人に合わせた対処法を指導してもらうことです。
原因がわかれば自身でできる対処法がどれだけ効果を得られるかの検討もつきますし何より継続的に取り組めるかと思います。
いびきをたてる方の特徴でもお話ししましたが、例えば肥満の場合には食事指導で症状改善が見込めることがあるといいます。そういったアドバイスをもらうだけでも、専門クリニックを訪れるメリットは大きいですよ。
また加えて、自身でできる対処法も以下でご紹介します。
いびき専門クリニックで早期治療改善!
「いびき専門クリニックに行くほどじゃないよ」
そう感じる方が多いかも知れませんが、先に述べたようにいびきの原因を知るために行く、と考えてぜひ検討していただきたいです。
原因がわかれば対処できますから、一度受診するといいですね。就寝中にも血圧が上がりやすく、ストレスがかかるので糖代謝異常となりがちで、高血圧や糖尿病を引き起こすこともあります。寝ながら体を使うのでお腹が空き、食べ過ぎから太りがちとなり、睡眠不足からうつ病や不安症の引き金にもなり得ます。このような健康面、社会面のデメリットがありますので、軽く考えないでほしいですね
引用元 :ドクターズファイル『療法人社団GMC銀座コレージュ耳鼻咽喉科』
このように専門医の方が述べられているように、いびきを軽視せず、一度どのようなものなのか気楽に相談がてら訪れてみるのもいいかもしれません。
基本的に診察は問診と視診から始まるそうなので病院が苦手な方も気構えなくても大丈夫。
睡眠時の状態の検査も自宅で行えます!
専用の機材を希望日に自宅へ届けてもらい、睡眠状態を検査するのだそうです。
検査内容は睡眠中の呼吸状態と酸素飽和度の2つ。酸素飽和度の数値で睡眠時無呼吸症候群の可否を調べられるようです。
またいびきは睡眠障害としての扱いのため、処置はおおむね保険診療だそうですよ。
睡眠時無呼吸症候群のいびき治療法の定番はこれ!
持続陽圧呼吸療法と呼ばれる、CPAP(シーパップ)療法が多いようです。
現在はCPAP療法を継続して行うことが賢明であるとされ、体質的ないびきの原因の対処療法を行いながら用いられています。
CPAP療法はもちろん自宅で睡眠時に使用します。
四角い機会を通して鼻と口を覆うマスクから上気道を塞ぐ口蓋垂やその周辺の組織を広げるために、圧力をかけた空気を送り込みます。こうすることで塞がれていた気道に空気の通り道を確保できるというしくみです。
多くの方がCPAP法にていびきが改善しているようです。
こちらも保険診療で使用できるので、専門医と相談し導入するのもいいかと思います。
自分でできるいびき対策法!
自分でできるいびきの対処法は以下の3つです。
・横向きに寝る:
仰向きに寝ると重力により口蓋垂が喉奥へ落ちてしまいますが、横向きだと改善することがあります。
・体位が動かぬよう、背中に丸めたタオルを入れる:
手間がかかりますが、縫いつけると固定されるので安心です。テニスボールを縫いつけるのも手ですよ。こうすることで寝返りをうっても自然ともとの体位の戻り仰向けに寝た際の重力を受け気道を塞ぐのを防ぐことができます。
・枕に傾斜をつける:
頭頂部が高い位置にあれば重力により口蓋垂が落ち込まずに済むので、気道の確保が見込めます。
いびきが発生するメカニズムはお話した通り。
口蓋垂が落ち込むことによる気道の閉塞を防ぐことができれば、いびきは起きません。治療法とされているCPAP法も、気道を塞がないようにすることが目的でした。
どんな人にも必ず効果が出るとは言い切れませんが、一度試してみるといいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
多くの方が疑問に思う点をとりあげてみました。
ここまでの内容を以下にまとめてみます。
- ・いびきには種類があって、問題のないものと病気が併発するものがある
- ・いびきをかく人の特徴は①筋力低下②外因的筋弛緩③肥満傾向④骨格・顎が小さい
- ・寝ているのに日中眠気がある場合は、専門クリニックで原因と対処法を知る
- ・自分でできるいびき対処法も効果あり
- ・いびきによる睡眠不足の治療は保険対象!
意外と見過ごしやすく大事にすることのないいびきですが、パートナーにいびきの指摘を受けた時や、日中寝ているのに眠いという方はぜひ一度、いびきに対して向き合ってみることをおすすめします。
いびきに悩む方々が健やかな生活を送るきっかけとなれたら幸いです。
よくある質問
Q.いびき音の危険は?
A.吐き出す空気を塞いでいるものが外れたような破裂音や大きく細切れのいびきの場合、高血圧や糖尿病になりやすい、もしくはなっている傾向があります。放っておくと、脳疾患や心疾患につながる場合があるので一度専門医に相談するのがいいでしょう。
Q.いびきがうるさい どうしたらいい?
A.喉頭蓋(のどちんこ)が重力によって落ち込み気道を塞いでいることが原因です。寝る体位は仰向けではなく横向きにして、枕には傾斜をつけると改善することがあります。