いびきをかく原因
いびきとは、睡眠中の呼吸によって発生する異常音のことを指します。
通常、人間の呼吸は気道中を空気がスムーズに出入りすることで行われています。当然、異常な音は発生しません。
しかし、さまざまな理由で気道が狭まってしまうと、通った空気によって粘膜の振動が起こり、「ガー」や「ゴー」といった異常音を発生させます。これが、いびきの正体と原因です。
そして、いびきをかきやすい人には次のような特徴があります。
肥満体型の人
肥満体型の人は喉の周りに脂肪がつきやすく、気道が狭まる傾向にあるそうです。
気道が狭まることで、呼吸する際に喉の筋肉が振動するため、イビキの原因となると言われています。
あごが小さくて奥まっている人
あごが小さくて奥まっている人は下顎が後方に引っ込んでいるため、舌が気道を塞ぎやすくなります。
また、あごの位置によっては上顎も後方に移動し、鼻からの呼吸も妨げられてしまうそうです。
首が太くて短い人
首が太くて短い人は、首の筋肉が張りやすかったり首の角度が低くなったりする傾向にあるため、気道を圧迫しやすく、いびきの原因になると言われています。
中年の男性(女性は閉経後)
中年の男性(女性は閉経後)は、加齢に伴って喉の筋肉が弛緩しやすくなり、いびきをかきやすくなると言われています。
女性は閉経後にホルモンバランスが変化するため、男性同様にイビキの症状が出てくるそうです。
喫煙者
タバコの煙によって喉や鼻の粘膜が刺激されることで、炎症を起こしやすくなると言われています。
炎症によって気道が狭まることが、喫煙者のイビキの原因だそうです。
寝酒をよくする
寝酒が多い人は、アルコールによって喉の筋肉が弛緩しやすくなるそうです。
緩みによって喉の開口部が狭まる傾向にあるため、イビキの症状が出てしまうと言われています。
仰向けで寝る
仰向けで寝る人は、重力の影響で舌やあごが後方に落ちやすくなる傾向にあります。
後方に落ちてしまうと気道を塞ぐ原因となり、イビキの発症につながるそうです。
口呼吸をしている
口呼吸をしている人は、鼻呼吸をしている人よりも空気の流速が速くなると言われています。
その結果、喉の振動が強まりイビキを出しやくなるそうです。
いびきが及ぼす生活と病気への影響
ですが、どうして睡眠中にいびきをかいているだけにもかかわらず、治す必要があるのでしょうか?それは、いびきを放置するととても危険な疾患につながる恐れがあるからです。
睡眠時無呼吸症候群や脳梗塞などの病気を引き起こす
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まる、すなわち無呼吸状態に陥ることによって中途覚醒が繰り返されてしまう疾患です。
発症すると睡眠時はほぼ毎回大きないびきをかき、中途覚醒が繰り返される度に睡眠が阻害されてしまうため、慢性的な睡眠不足や日中の強い眠気などの症状を引き起こします。
この疾患が危険な理由は、命を落としかねない危険な合併症を次々と引き起こすことにあります。
例えば、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も呼吸が止まってしまうため、その度に脳は足りない酸素を補おうと全身の血流を活発にして酸素不足を補います。この状態が慢性化すると発症するのが高血圧です。
他にも、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病や肥満の悪化などの生活習慣病を引き起こし、最悪の場合は脳卒中や心筋梗塞といった命を落としかねない危険な疾患の原因になります。
このように、いびきは睡眠時無呼吸症候群につながる可能性が非常に高いため、放置は厳禁です。発見したらすぐに医療機関を受診し、治療をはじめることが大切です。
日常生活で起こりうる影響とは
いびきの音によって一緒に寝ている人の睡眠を妨害されると、イライラやストレス、不満などの感情が生じ、配偶者や家族関係にひびが入ることがあります。
また、いびきは睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害と関連しており、睡眠の質を低下させることがあると言われています。その結果、集中力や記憶力、判断力などの認知機能に影響することが考えられ、仕事や学業のパフォーマンスを低下させてしまうことがあるそうです。
いびきを即効で治す方法5選
では、万が一いびきを発症してしまった場合、すぐさま効果が期待できる即効性のある治し方はあるのでしょうか?
ここでが、効果が期待できる直し方を5選ご紹介します。
方法1. 舌の筋肉トレーニング
舌のトレーニングを日々行うと、口腔内における舌の位置が正しい位置に修正されます。そして、それが定着することで睡眠時の舌の落ち込みを予防し、CPAPによる気道の拡張を妨げるのを防ぐことができます。
また、舌のトレーニングは舌やその周辺の筋肉を鍛えることにつながり、睡眠中の口呼吸予防にも効果を発揮します。
したがって、治療効果アップやいびき予防には、舌トレーニングなどの方法も効果が見込めるということになります。
舌のトレーニング
1.舌の前後運動
まず、舌を前に突き出して5秒間キープ。その後、舌の先を上の歯の裏に付けそのまま後ろに引き込み、再度5秒間キープ。この動作を3セット繰り返す。
2.舌の上下運動
1の運動を終えたら、次に口を開けて舌を上顎全体に押し付けるイメージで、10秒間キープ。同じように下顎全体にも舌を押し付け、さらに10秒間キープ。この動作を3セット繰り返す。
3.舌の回転運動
次に、口を閉じたままで歯の表面と歯茎を舌で舐めるようにして、ゆっくりと舌を回す。この動作も3回繰り返す。
4.舌とあごの運動
口を大きく開けながら、「あーいーうーえーおー」と声を発し、口と顔の筋肉が動くように意識しながら動かす。このとき無理をして動かすと、舌やあごを痛めてしまう恐れがあるので、無理のない範囲で行う。
5.頬の運動
最後に、口を閉じて頬を大きく膨らませたら、5秒間キープ。その後頬をすぼめて、同じように5秒間キープ。これを3セット繰り返す。
あいうべ体操
1.「あー」と言いながら口を大きく開ける
まず、「あー」と声を発するときのように、口を大きく開く。普段よりも大きく開くよう心がける。
2.「いー」と言いながら口を大きく横に広げる
次に、首に筋が張るくらいの強さで、口を横に広げる。
3.「うー」と言いながら口を前方に強く突き出す
次に、口をすぼめてしっかり前に突き出す。
4.「べー」と言いながら舌を突き出し下に伸ばす
あごの先を舐めるようなイメージで、舌をできるだけ下まで伸ばす。
方法2. 寝る体勢を横向きにする
いびきを抑える方法として、横向き寝も一定の効果が見込めます。
先ほども説明したように、いびきは気道が狭まることが要因で発生しますが、仰向けで寝ると舌の落ち込みが促進されていびきが発生しやすくなります。そのため、いびきを抑えるには横向き、もしくはうつ伏せで寝ることが医療機関でも推奨されています。
ただ、寝ている間は無意識に寝返りをうつため、横向き寝の姿勢を長時間維持するのは難しいのが現状です。
そんなときは、横向き寝のしやすい枕に変えたり、うつ伏せでも苦しくないように寝具を見直したりするのが良いでしょう。また、同じ寝具を長年使い続けていると、肩や腰に負担がかかり、睡眠の質の低下にもつながります。いびきを抑え、快適な睡眠を手に入れるために、適切な寝具選びが重要になります。
下記のいびきメディカルクリニックのコラム記事でも、いびきを治すのに有効な方法について解説しています。
いびきの治し方10選!いびきの原因を知って対策をしよう
方法3. 生活習慣を見直す
生活習慣の見直しによって、いびきの原因のひとつとされる肥満や喫煙、飲酒などを解消し、いびきを減らせるそうです。
また、生活習慣の見直しは、心血管系や代謝系の健康にも良い影響を与えるとされています。このように、いびきを改善する方法として、生活習慣の見直しを取り入れることは、いびきの予防や改善、および全身への健康増進への期待につながると言われています。
方法4. いびき防止グッズ・医療装置を使う
即効性が期待できるいびきの治し方については、いびき防止グッズや医療装置を使うのも効果的です。
下記では、代表的ないびき防止グッズや医療装置をご紹介します。
CPAP
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法:Continuous Positive Airway Pressure)とは、CPAP装置本体から鼻に装着したマスクを通して持続的に空気を送ることで気道を広げ、寝ている間にいびきや無呼吸が起きないようにする治療法です。現在、日本国内や欧米で最も普及している治療法で、多くの医療機関で実施されています。
CPAP治療を適切に行うことで、睡眠中のいびきや無呼吸が徐々に減少し、熟睡感が得られるようになります。また、治療を継続することで日中の眠気が少なくなる、夜中に目覚める回数が減る、血圧が低下するといった効果も期待できます。
CPAP療法についてより詳しく知りたい方は、「【本当に治る?】CPAPとは?メリットデメリットを解説
」をご覧ください。
マウスピース
マウスピースとは、歯にはめ込む装置で、装着することで下あごが4〜7mm前に出されます。
これによって、舌根を引き上げられて気道が拡がり、空気の通りが良くなっていびきが緩和されます。
マウスピースの効果やメリットなどをより詳しく知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
ナステント
ナステントは鼻にチューブを挿入することで、睡眠時の気道の確保を行います。
装着する器具は柔軟性が高いシリコーン樹脂を使用しているため違和感が少なく、マウスピース同様軽症のいびきや無呼吸に対して一定の効果が見込めます。
方法5. 睡眠環境の改善
睡眠環境の改善は、いびきの原因となる喉や鼻の狭窄防止につながると言われています。
具体例としては、枕の高さや寝姿勢を調整したり、加湿器や空気清浄機を使ったりすることでなどがあげられます。
また、睡眠環境を改善することで、いびきによる睡眠の質低下の予防にもなるそうです。
静かで快適な睡眠環境を作ることによって、深い睡眠を得ることができるため、睡眠環境の改善はいびき改善に有効とされています。
【根本治療】いびき治療専門の医療機関を受診する
ここまで、いびきに対して即効性のある治し方について解説してきました。どれもいびきに対しては一定に効果を発揮しますが、これらの方法はいびきを根本的に治療しているわけではありません。
いびきは、さまざまな要因で気道の狭窄や閉塞が起こることが大元の原因です。ゆえに、この気道の狭まりをもとから解消しない限り、いびきを本当の意味で治療したことにはならないのです。
そのため、いびきの根本的な治療をするには、医療機関での受診が必要だと言われています。
【いびきの最新治療法】パルスサーミア
近年、さまざまないびき治療法の開発が進んでおり、その中のひとつであるパルスサーミア治療は高く評価されています。
パルスサーミアは、喉(口蓋垂や軟口蓋)の粘膜にレーザーを照射し、膨らみを取り除くことで気道を広げ、いびきを改善する最新のレーザー治療(外科手術)です。
これまで、レーザーを用いた外科手術と言えば、施術時の強い痛みや出血、術後の副作用、ダウンタイムなどがあり、患者にとってかなりストレスが大きいものでした。
しかし、パルスサーミアは特殊なレーザーを使用しているため、照射した粘膜の出血はなく、痛みもほぼありません。また、術後のダウンタイムも数日で済むので、スムーズに日常生活に戻ることができます。
パルスサーミア治療について詳しく知りたい方は、いびきメディカルクリニックへお問合せください。当院では、治療前の無料カウンセリングを実施しているので、施術に関する疑問や不安、費用、施術スケジュールについて専門のスタッフに詳しく聞くことができます。
まとめ
今回は、いびきに対して即効性が期待できる治し方について解説しました。
いびきに対してすぐに実行でき、かつ効果が見込める方法として、下記の3つがあります。
・舌のトレーニング
・いびき予防グッズの使用
・横向き寝
これらは、いびきに気づいたらすぐに実行ができ、一定の効果が見込める方法です。ただし、いびきを根本的に治療することは難しいのが現状です。
いびきの治療には、CPAPをはじめとした医療機関での専門的な治療が必要です。
そうとは言うものの、上記の3つの方法はいびき治療の効果を向上させたり、いびきを予防したりすることは大いに期待できます。
「最近いびきをかき始めた」という人は、ぜひ今回の記事を参考にして、いびきの予防や治療を行うようにしてください。
また、いびきの根本治療ができるクリニックとしては、「いびきメディカルクリニック」がおすすめです。
いびきメディカルクリニックでは、切らないパルスサーミア治療を導入しているので、メスを入れる手術に抵抗がある方でも安心して治療を受けられるでしょう。
この記事を読んで、いびき治療に興味を持った方はぜひ参考にしてみてくださいね。