「いびき」とは?
そもそも、「いびき」とはどのような現象なのでしょうか。「いびき」とは、睡眠中に鼻や喉が詰まることで呼吸に加わる音のことを言います。具体的には、鼻や喉等の気道と呼ばれる空気の通り道が狭くなり、無理やり空気を通そうとすることで気流が乱れて鼻や喉が振動することで出る音のことをいびきと呼びます。つまり、正常な状態ではない時にいびきが出ることをここで強く意識して欲しいと思います。
いびきは慢性的な酸欠の証拠
祖父母等の年代の方々の中には、いびきとはよく眠っている証拠だという人もいますが、質の低い睡眠であることが様々な研究結果から分かっています。上述のメカニズムの通り、気道が狭くなってしまうことで空気が正常に通らないという問題から発生した疾患の一つで、身体全体が慢性的な酸欠状態に陥っている証拠であると言えます。
男性と女性の「いびき」の原因における違い
さて、上述の内容から、いびきが発生するメカニズムは認識できたと思います。それでは、なぜ男女でいびきに違いが出るのかを説明していきます。一般的に、女性よりも男性の方が良くいびきをしているイメージがありますよね?理由は、いびきが出やすい特徴に当てはまるケースが女性よりも男性に多いからです。
また、男性の方が大きないびきをかきやすい理由として生活習慣病との関連があります。大きいいびきをかく人は、高血圧・狭心症・認知症・うつ病・心筋梗塞・狭心症・がん・脳梗塞、加えて糖尿病などの合併症を起こしやすい事が分かっています。女性と比較すると男性にこれらの生活習慣病が多いケースからも男性の方が大きいいびきをかきやすい傾向にあることが分かります。
男性がいびきをかく原因
男性がいびきをかく原因には次のようなものがあります。
- 肥満
- 首が太く、短い
- 飲酒や喫煙
- アレルギーなどによる鼻づまり
- 扁桃腺の肥大による気道の狭まり
- 加齢の影響
原因1. 肥満
太っている人は、舌や喉にも脂肪がつきやすく気道が狭くなります。
肥満によるいびきや睡眠時無呼吸症候群(sas)との関連性については「肥満体型の人はなぜいびきをかくの?SASとの関係性も解説!」で詳細を解説しています。
原因2. 首が太い、短い
首が小さく太い場合、気道の周りにも脂肪がつきやすいため、軌道が狭くなりやすい傾向にあります
原因3. 飲酒や喫煙
男性は、女性よりも飲酒と喫煙をしている傾向があります。アルコールを摂取することで、筋肉が弛緩させ舌根が沈み込むため気道が狭くなりやすく、喫煙することで、軌道の粘膜に炎症や腫れ、むくみを引き起こすため気道が狭くなりやすいのです。
原因4. アレルギーなどによる鼻づまり
アレルギーなどにより鼻づまりが生じると、鼻に原因のある「鼻いびき」の症状が生じやすくなったり、鼻詰まりにより口呼吸となりやすくなったりします。
鼻づまりの原因となるアレルギーには次のようなものがあります。
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- 慢性的な鼻炎
鼻いびきの治療法などについて詳しく知りたい方は、「鼻いびきにお悩みの方必見!原因別の治療法をご紹介!【近年注目の治療法】」をご覧ください。
原因5. 扁桃腺の肥大による気道の狭まり
扁桃腺の肥大が生じると、気道が狭まり、喉いびきが生じる原因となります。
扁桃腺手術の費用など、いびき治療のコストについてはいびきメディカルクリニックのいびきの手術費用はどのくらいかかるのか?相場を知って参考にしようをご覧ください。
原因6. 加齢の影響
加齢の影響によって、いびきをかいてしまう場合があります。年齢を重ねて40代〜50代になると、全身の筋肉が衰え始めます。
喉周辺の筋肉も同様にして衰えて緩むことで、気道を塞ぐ原因となるのです。
また、加齢は夜中に何度も目覚めてしまう中途覚醒なども引き起こします。年齢を重ねることによる睡眠への影響について詳しく知りたい方は、いびきメディカルクリニックの「中途覚醒とは?夜中に目覚める・熟睡できない原因と対策についてご紹介!」をご覧ください。
男性よりも女性の「いびき」が少ない原因
ここでは、なぜさらに踏み込んで、なぜ女性の方が男性と比較するといびきが小さい傾向にあるのかを分析していきたいと思います。その科学的根拠の一つに「女性ホルモン」が関係しています。女性ホルモンは舌を支えるオトガイ舌筋という筋肉を緊張させる作用があるため、気道が広がりやすい特徴があります。そのため、空気の出入りが正常になりやすくいびきに繋がりにくい特徴があるのです。
女性ホルモンの影響
また、女性は、閉経後にいびきをかきやすくなる理由でもあるのです。これも上述の女性ホルモンが関係しています。女性ホルモンが活発な時期には、筋肉を緊張させる作用が強く働いているおかげで十分な気道を確保できますが、閉経後には、ホルモンバランスの崩れから、気道を広げる力が弱くなることもあるのです。加えて、脂肪の付き方にも男女差があります。男性は上半身に女性は下半身に脂肪がつきやすいことが研究で明らかになっています。これも女性が男性よりもいびきをかきにくい理由の一つです。
その他、女性のいびきについて詳しく知りたい方は「【いびきに悩んでいる女性必見】いびきの原因や治療方法について解説」の記事をぜひご覧ください。
男性の「いびき」を放置するリスク
まず、最も大事なことは、「いびきを放置すること、慢性的な酸欠状態を放置すること」につながるということです。いびきをかいている時は、眠りが浅いレム睡眠。これまで上述の通り、いびきのメカニズムから、気道が十分に確保されていないために起こる現象であることからも、眠りが深い証拠ではないことが分かります。レム睡眠とノンレム睡眠には、眠りの深さだけでなく、体内で行われる活動や性質も大きく異なり、レム睡眠が多くなることで、次のようなリスクを引き起こします。
- 疲労感が取れない
- 日中にひどい眠気に襲われる
- パフォーマンスの低下
また、慢性的にいびきをかく人は、睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)の可能性が十分に考えられます。睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)とは、眠っている間に呼吸が止まってしまい、過眠や高血圧を引き起こす「病気」のことを言います。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため目が覚めます。その繰り返しにより睡眠の質の低下を招きます。従って、脳も体も酸欠状態に陥るため、眠りの質が非常に悪い証拠になるのです。
睡眠時無呼吸症候群(sas)の治療は、いびきメディカルクリニックのパルスサーミアがおすすめです!パルスサーミアの口コミなど詳細については、【インタビュー記事】パルスサーミアは本当に効果があるのか!?で解説しています。
一方、普段はいびきをかかないにも関わらず、たまにだけいびきをかくケースがあります。このようないびきは「発散性いびき」と呼ばれ、お酒を飲んだ後や風邪をひいて喉が腫れている時、花粉症で花が詰まっている時などに起こりやすい特徴があります。従って、たまにかくいびきは心配する必要があまりない事が多いのです。
睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)とは
改めて、睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)について詳しく説明したいと思います。本疾患の主な症状のなかに「いびきをかく」という症状があります。従って、睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)とは、いびきの種類の一つの名称ではなく、本疾患の症状の一つにいびきがあるのです。SASとは、Sleep apnea syndromeのことで睡眠中に頻繁に呼吸が止まることを指します。無呼吸とは、10秒間以上呼吸が停止することを示しますが、呼吸が浅くなるだけでも睡眠時無呼吸症候群と診断されることもあります。本疾患は、上述の通り、酸素の供給量の低下から合併症を引き起こし、生活習慣病を悪化させます。
睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)の症状一覧
睡眠時無呼吸過眠症候群(SAS)の主な症状一覧は下記の通りです。
- ・ 夜中にいびきをかく
- ・ 夜中に何度も目が覚める
- ・ 寝苦しい、寝汗をかく
- ・ 頭が痛い、ズキズキする、身体が重いと感じる
- ・ 熟睡感がない、すっきり起きられない
- ・ 昼間に強い眠気がある、だるさ、倦怠感がある
睡眠時無呼吸症候群について詳しく知りたい方は、いびきメディカルクリニックのの記事をご覧ください。
検査方法と診断方法
検査方法には、自宅でできる簡易検査と専門の病院やクリニックで一晩入院して行う精密検査の2パターンがあります。自宅の検査では、手指や鼻の下にセンサーを付けて血中の酸素濃度や呼吸の状態を調べます。入院して行うものは、睡眠ポリグラフ検査(PSG)のことを示し、精密機械で睡眠の状態と呼吸の状態をモニターします。
また、睡眠時無呼吸症候群(sas)に用いられるAHI(Apnea Hypopnea Index)と呼ばれる指数があります。AHIとは、睡眠睡眠1時間あたりの無呼吸、低呼吸の回数を示すものであり、一定の基準と比較することで、睡眠時無呼吸症候群の診断を行います。
「睡眠時無呼吸症候群の診断指数について解説」では、AHIについてより詳しく解説しています。
治療法と対策
睡眠時無呼吸症候群(sas)の一般的な治療法は、鼻マスクを着けて呼吸に伴い出入りする空気回路を大気圧よりも高い状態に保ちながら眠るCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法やマウスピースを利用した対症療法が中心です。 しかし、対症療法は、睡眠時無呼吸症候群(sas)の根本的な治療にはならないため、永久的に医療機器を使い続ける必要があります。
そこで、睡眠時無呼吸症候群(sas)の根本的な治療をしたい方におすすめなのが、いびきメディカルクリニックのパルスサーミアです。
パルスサーミア治療についての詳細は、「【レーザーなのに痛くない?】話題のいびき治療パルスサーミアとは?」で解説しています。
いびきの改善法・対処法
いびきの指摘はデリケートな問題であるケースがあるため丁寧に対応することが求められます。フィリップスが実施した「いびきに関するアンケート」調査においても、パートナーのいびきが気になると回答した割合は50%を超えます。母集団を女性に絞った場合、なんと驚愕の87%の女性がパートナーのいびきが気になると解答しているのです。
いびき被害者のコメント
加えて、本調査でパートナーのいびきの被害者たちは以下のようなコメントを残しています。
- ・ 家族が言っても、いびきをかく当の本人は対策しない
- ・ デリケートな問題なのでパートナーに伝えにくい
- ・ 寝室を別にしたいが、はっきり言えず困っている
- ・ いびきのために離婚してしまった
- ・ いびきの話をすると喧嘩になる
- ・ その場でいびきを指摘したら、まだ寝てないと言われた
自覚が無いだけに、パートナーへの影響を認識できておらず根深い問題と言えます。加えて、デリケートな問題なので言われて傷つけてしまうケースもあります。そのため伝え方や夫婦の関係性にも大きく影響します。いびき問題の解消にはコミュニケーションが非常に大切なのです。
具体的な改善・対処方法
それでは、改善策には具体的にどのようなものがあるのかを紹介します。
- ・ 仰向けで寝ている場合、横向き寝に挑戦して気道を確保する
- ・ 耳鼻科的治療により鼻づまりなどを解消する
- ・ 適度な運動により減量をすることで、肥満を予防する
- ・ 節酒・禁煙を行い、上気道のゆるみや炎症を予防する
- ・ 枕の高さを調節して、あごを適切な位置に置くことで気道を確保する
- ・ マウステープなどのグッズを用いて口呼吸から鼻呼吸を習慣化する
上述の改善法は徐々に時間をかけて改善していくものです。しかし、もう我慢の限界に達しており一日でも早くいびきから解放されたいときに有効なのがクリニックでの治療です。クリニックで手術を行い、気道を拡幅することで、いびきの根本治療になります。
いびきメディカルクリニックのパルスサーミアは、施術時間が15分程度と短く、ダウンタイムがほとんどないために日常生活への影響を与えずに治療ができます。
口蓋垂(のどちんこ)とその周りの軟口蓋粘膜をレーザーによって切除することで気道を広げる手術をすることで、空気がスムーズに通るため、いびきの軽減・無呼吸症状の緩和に効果があります。
さまざまないびき治療について比較検討をしたい方は「おすすめのいびき治療10選!医療機関の選び方についても解説します!」の記事をご覧ください。
まとめ
今回は、「いびき」とは何か?なぜ起こるのか?という問題を根本から科学的根拠に基づいて解説してきました。いびきはよく眠っている証拠ではなく、「病気」の一つであるという認識を持って危機感を持って対応するようにしましょう。また、睡眠は、生活の質に大きな影響を与えることから、パートナー同士でもいびきにより睡眠が阻害されていると感じる場合は、解決を目指して対策・改善の方法を模索することを強くお勧めします。そのためにも本記事で紹介した改善の方法をぜひ試してみて下さい。
最後に、睡眠に関しても補足しておきます。人間は一日の1/3は寝て過ごすため、睡眠が大事だということはおそらく多くの人が理解していると思います。しかし、睡眠の質の低下がみられても改善に向けて具体的な行動を取る人は非常に少ない傾向にあります。もし睡眠に関して満足できていない時は、睡眠の質改善に向けて何かしらのアクションを取ることをお勧めします。また、ショートスリーパーと呼ばれる短時間睡眠でも体の疲れが回復できる人や、8~9時間の睡眠時間が無いと疲労感や倦怠感が抜けない人もいます。日本人の性格上、周りの平均に合わせる特徴がありますが、睡眠に関しては自分に合った時間を確保することで健康に満足のいく生活が出来るのです。日常的に睡眠不足を感じる機会が頻出している方は、睡眠障害専門の医療機関やクリニックでの受診を進めます。健康的な生活を確保するためにも睡眠に対して気を配るようにしましょう。
よくある質問
Q.なぜ女性の方がいびきをかく人が少ない傾向にある?
A.女性ホルモンのバランスにより喉の筋肉を緊張させる働きがあり気道を確保しやすい傾向にあるから
Q.睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何か?
A.眠っている間に呼吸が止まってしまい、過眠や高血圧を引き起こす「病気」のことです。