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【朝がつらい?】いびきによる寝不足のメカニズムを徹底解説

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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いびきによる寝不足の実態

いびきについてフィリップス・ジャパンが行った調査によると、寝室を共にするパートナーに対し、「いびきが影響与えている」と感じている方は89%という結果が出ています。また、パートナーのいびきが気になる女性は87%、寝室を別にする理由のトップは「いびき」が原因でした。
この結果からもわかる通り、夫婦間でもいびきは大きな問題であり、いびきによって人間関係が壊れてしまうケースもあります。特に年代が上がるにつれて、パートナーのいびきが精神的にも肉体的にも苦痛になり、別室で寝ることにする夫婦も多いようです。
いびきは本人だけの問題ではなく、一緒に暮らす家族にとっても大きな問題と言えるでしょう。

いびきは放置すると危険って本当?

いびきは単に大きい音が出るだけの症状ではなく、命に関わることもある重大な疾患が隠れていることもあります。いびきに気付かずに放置していると、いつの間にか体に色々な疾患を抱えてしまい、重症化している可能性もあります。
安全ないびきと危険ないびきがあることを知り、早めに対処することが自分自身や家族の健康を守るためにも大切です。いびきは就寝中に起こるものですから、自分自身では気付けないこともあります。
しかし、家族など身近な人が気付いているケースも多々あるため、身近な人に「自分はいびきをしていないか」と確認してみましょう。本項では下記のポイントを解説します。

  • ・鼻いびきと喉いびきの違い
  • ・喉いびきは睡眠時無呼吸症候群の前兆
  • ・いびきで慢性的な睡眠不足になってしまう
  • ・いびきは生活習慣病とも深い関係

鼻いびきと喉いびきの違い

いびきには「鼻いびき」と「喉いびき」の2種類があり、どちらのタイプかによって危険度が大きく変わります。見分け方は簡単ですから、身近にいびきをかいている方がいれば、試してみてください。
見分け方は「いびきをかいている時に鼻をつまむ」という方法です。鼻をつまんでいびきが止まるようなら鼻いびき、続くようなら喉いびきです。
鼻いびきは、風邪やアレルギー性鼻炎、鼻の骨が曲がる鼻中隔湾曲症などが原因で息の通り道が狭くなって起こります。鼻いびきでは、原因となる風邪の回復、アレルギーの抑制などで改善しやすく、問題となることは滅多にありません。

喉いびきは睡眠時無呼吸症候群の前兆

いびきで問題となるのは「喉いびき」です。喉いびきとは、仰向けで寝ている間に、舌が気道に落ち込む「舌根沈下」によって起こります。
舌が気道に落ち込むことで空気の通り道が狭くなり、呼吸がしにくくなることでいびきが生じます。寝ている間、無意識に口呼吸をする方に生じやすく、重症化すると睡眠時無呼吸症候群という病気に繋がる危険な状態です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠時に無呼吸または低呼吸状態を生じ、日常生活でも何らかの症状を及ぼしている状態のことです。無呼吸は睡眠時に10秒以上の呼吸停止、低呼吸は10秒以上続く、かつ50%以上気流の低下と医学的には定義されています。

いびきで慢性的な睡眠不足状態になってしまう

いびきが悪化すると無呼吸や低呼吸を引き起こし、悪化すれば日中の眠気や倦怠感といった症状が現れます。こうした症状は、無呼吸・低呼吸によって睡眠が阻害され、脳と体が十分に休めていないことで起こります。
単なるいびきだと軽く考えていると、睡眠時無呼吸症候群に陥っている可能性もあるため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群では、慢性的な睡眠不足となり、危険な症状では運転中の急な眠気や集中力の低下、軽いものでも喉の渇きや倦怠感などが現れます。
運転中に襲ってくる眠気で交通事故を起こした例も多く、命を落とす危険もあります。また、仕事中に居眠りを繰り返せば会社に迷惑が掛かることにもなり、良いことは1つもありません。

いびきは生活習慣病とも深い関係

いびきは、日中の眠気や倦怠感といった症状だけでなく、生活習慣病とも深い関係があります。睡眠不足の状態は食欲増進のホルモンであるグレリンが増加し、食欲を抑えるホルモンのレプチンが減少することもわかっています。そして、乱れた食生活は高血圧・糖尿病・脂質異常症は心血管疾患(心筋梗塞や脳血管障害など)を引き起こし、最悪の場合命を落とす危険があることは有名です。
特に日本人は、他国に比べて睡眠時間が短いことも国際的な調査でわかっており、いびきによる睡眠不足は決して楽観視して良いものではありません。
慢性的に不眠になっている場合、自律神経にも異常によって糖尿病のリスクが高いこともわかっており、いびきの治療を早期に行うべきです。

なぜいびきが寝不足に繋がるのか

なぜいびきが寝不足に繋がってしまうのか、詳しいメカニズムについても解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群に繋がるいびきは喉いびきですが、喉いびきのある方は舌根沈下という状態になっています。舌根沈下では舌が気道に落ち込み、気道を狭めたり、塞いでしまったりする状態です。
例えるなら、水道水がホースの中をスムーズに進むべきところで、ホースの一部が狭くなって水の通りが悪くなっているのと同じことです。

いびきは気道を塞いでしまう

いびきの場合は舌が落ち込んで気道を塞ぎ、スムーズな空気の通り道がなくなった状態です。この状態では強く呼吸しなければ空気を取り込めないどころか、悪化すれば完全に気道を塞いでしまいます。
正常な人でも舌根沈下で同じように無呼吸または低呼吸を生じることがありますが、通常は問題になりません。しかし、睡眠時無呼吸症候群の方は無呼吸、低呼吸の回数が多く、十分な睡眠を取れないことが問題です。
1時間に5回未満の無呼吸・低呼吸は正常範囲ですが、軽症なら1時間に5~15回、重症化すると1時間に30回以上の無呼吸状態が起こります。2分に1回以上または10秒以上の無呼吸や低呼吸が起こっていることになり、脳も身体も十分に休息できない状態です。

眠っている間に窒息寸前に

無呼吸と言われても、想像しにくい方も多いはずです。ですが、日中普通に過ごしていて、突然10秒以上呼吸ができなくなるとしたらどうでしょうか。
多くの方は、息苦しさでもがくはずです。睡眠時無呼吸症候群の方でも同じことが起こっており、無呼吸状態が続くことで低酸素状態になり、脳が自らを守るために覚醒状態に移行します。
つまり、睡眠時無呼吸症候群とは窒息状態に対する体の防衛反応で、脳が睡眠を必要としているのに休めない状態です。
このような状態が長く続けば体はいつまでも休むことができず、日中の生活でも強い眠気や倦怠感、集中力の低下といった症状を引き起こします。

気道を狭める5つの大きな原因

睡眠時無呼吸症候群と言えば、「肥満」をイメージされる方も多いかと思います。肥満は確かに気道を狭め、睡眠時無呼吸症候群や喉いびきを生じる原因の1つです。
しかし、それ以外にも睡眠中の気道を狭める理由はあります。

  • ・あごが小さい・首が太くて短い
  • ・加齢による筋力の低下
  • ・扁桃や口蓋垂が大きい
  • ・アルコールの日常的な摂取

肥満に加えて上記4つの原因が、気道を狭める原因になっています。5つの原因のうち、肥満とアルコールについてはコントロールしやすいものですから、いびきをかきやすい人は注意しましょう。
その他の原因は、遺伝的な要因も絡んでくることから、気になった方は睡眠の専門医に相談することをおすすめします。

いびきを指摘されて気付くことも

いびきをかきやすい原因に当てはまっていても、相談も治療を受けていない方は一定数います。理由は簡単なことで、眠っている間のいびきには自分で気付けないからです。
稀に自分のいびきの大きさで起きる方もいますが、ほとんどの方は就寝中にいびきをしているかどうかはわからず、家族や友人に指摘されて気付きます。
現在一人暮らしをしていて、「最近日中の眠気が強い」「仕事にどうしても集中しきれない」といった悩みがある方は、気付かないうちにいびきをかいており、睡眠時無呼吸症候群に陥っている可能性があります。
思い当たる点がある場合は、まずは相談をしてみることがおすすめです。

いびきが引き起こす症状とは?

いびきを軽く見て放置していると、色々な症状が引き起こされます。いびきが悪化して睡眠時無呼吸症候群になると、生活に関わる不調から命に関わる重篤な疾患、人間関係、性生活まで色々なところに悪影響が現れます。
実は、高血圧の患者の10%には睡眠時無呼吸症候群が見られることもわかっており、いびきを改善することで生活習慣病も改善できる可能性があります。高血圧の状態は心血管疾患や脳血管疾患のリスクも高めますから、睡眠時無呼吸症候群を放置するのは危険です。
いびきが悪化することでどのような症状が現れるのか、もっと具体的に解説していきます。

体に色々な不調が現れる

いびきの症状が深刻化してくると、次のような症状が現れます。

  • ・日中の眠気
  • ・倦怠感
  • ・夜間何度も起きる
  • ・起床時に頭痛がする
  • ・勃起不全
  • ・集中力の低下

上記以外にも、自律神経の乱れによってめまい、吐き気、入眠障害などの不快な症状も起こります。他にも合併症として高血圧、不整脈、心血管障害、脳血管障害などのリスクも高まり、生命予後も悪くなるため要注意です。
いびきを日頃から自覚している方やいびきが長期間続いている方は、こうした睡眠時無呼吸症候群に繋がる症状が現れていないか、自覚症状を確認してみてください。

睡眠不足で日常生活に問題が現れる

いびきの悪化に伴って睡眠不足になっている方は、日常生活でも何らかの変化が現れているはずです。例えば、運転中の居眠り、集中力の低下によるヒヤリハットなど、普段ならしないようなミスをしている場合があります。
「最近眠くて仕方がない」「寝ているはずなのに疲れが取れない」といった症状がある場合、寝ている間にいびきをかいていないかチェックしてみてください。また、睡眠時無呼吸症候群の場合には、周囲からの理解を得ることも大切です。
特に上司と同僚には症状があることを説明し、職場でも理解を得るようにすべきです。睡眠時無呼吸症候群の場合は、本人の意思とは関係なく眠気が襲ってくるため、「やる気がない」と見られてしまうおそれがあります。

自覚症状が現れたら要注意

疲労の蓄積や睡眠時間自体が短いのであれば、睡眠時間をしっかり確保することで解決できます。しかしいびきで睡眠不足が続いている場合、自覚症状が現れたら要注意です。
自覚症状がある段階になると治療が必要となるため、早めに専門医へ相談するとともに、職場の管理者や同僚にも打ち明けましょう。周囲から病気への理解が得られていないと、職場からのフォローもしてもらえません。
職場からの理解を得られていないと雰囲気が悪くなるばかりか、最悪の場合は懲戒処分を受ける可能性もあるため、仕事のサポートを相談しておくことをおすすめします。

睡眠時無呼吸症候群は専門医の治療が必要

睡眠時無呼吸症候群になってしまう前に、まずはセルフケアで生活習慣の改善を目指しましょう。セルフケアで改善できない場合は専門医に相談し、専門的な治療を受けるべきです。
一般的に睡眠時無呼吸症候群の治療としては、いびきを生じる原因となっている習慣や体質改善が重要です。肥満体型の方は減量、日常的に飲酒や喫煙をしている方は減酒や禁煙、睡眠姿勢が問題の場合は枕の変更などを行います。
また、気道の閉塞を取り除くためにCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)も行います。いずれの治療も呼吸器科や耳鼻咽喉科の他、睡眠専門医が治療の専門です。
「睡眠時無呼吸症候群かもしれない」と感じた時には、専門医に相談してみましょう。
いびきの治療についてはコチラの記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

いびきの治療はどのように行われるのか

いびきの治療は、睡眠時無呼吸症候群の専門医がない場合、呼吸器内科か耳鼻咽喉科に相談してみてください。喉いびきの場合は舌根沈下で気道が閉塞されるため、呼吸器内科が専門的な治療を行っています。
また、呼吸器内科ではいびきについて細かく問診し、検査も行いながら原因を特定していきます。睡眠時無呼吸症候群は生活習慣に起因することも多いですが、改善には専門治療が必要です。
治療と同時に正しいセルフケア方法も指導してくれる点でも、病院を受診することがおすすめです。次に、鼻いびきと喉いびき、それぞれどの診療科で診てもらえば良いのかも解説します。

相談は呼吸器内科または専門医へ

いびきの治療を行う場合、鼻いびきなら耳鼻咽喉科、喉いびきなら呼吸器内科に相談しましょう。特に喉いびきや睡眠の場合はCPAP(シーパップ)療法が基本的な選択肢となるため、呼吸器内科への相談がおすすめです。
鼻いびきの場合は、アレルギーや風邪、異物による鼻呼吸の阻害が問題ですから、耳鼻科で原因を取り除いてもらえば改善しやすいです。一方の喉いびきは舌根沈下が主な要因で起こり、呼吸器内科で長期的な治療を行わなければ改善できません。
喉いびきが原因の場合は、呼吸器内科で検査を行い、睡眠中のデータを細かく計測します。その後、状態に応じて治療を行うという流れです。

治療開始前に簡易検査と入院検査を実施

治療を開始する前に、呼吸器内科では簡易検査と入院検査のどちらかを行います。簡易検査では自宅に持ち帰れる検査機器を鼻の下に取り付け、就寝中の呼吸状態をチェックします。
日常生活を普段通り過ごしたい方でも実施でき、簡易検査で異常が見られた方は入院検査が必要です。

入院検査では、睡眠と呼吸の状態を詳しく確認するため、病院に一泊して「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」を実施します。この検査では体に多くのセンサーを取り付け、気道の流れ、血中酸素飽和度(SpO2)、筋電図、眼電図、心電図、脳波なども細かく測定します。
基本的に入院は一泊二日ですが、病院によって注意点が違いますから病院に確認してみてください。

治療方法は対症療法が代表的

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、治療方法は対症療法が基本です。まず生活習慣の改善に取り組むことから始まり、肥満の方は減量、飲酒量の多い方は禁酒または減酒が必要です。
病院で行う治療は症状の軽重に合わせて、CPAP療法やマウスピースを使用します。軽症の方にはスリープスプリントと呼ばれるマウスピース(口腔内装置)を装着し、気道を確保することで改善を目指します。
マウスピースは重症の方には効果が期待しにくいため、CPAP療法が世界的な治療のスタンダードです。CPAP療法は寝ている間に空気を送り続け、気道が閉塞しないようにする治療方法です。

原因によっては手術で改善することも

睡眠時無呼吸症候群の中でも原因がアデノイド肥大や扁桃肥大の場合、外科手術によって摘出すると改善するケースもあります。他にも軟口蓋(なんこうがい)が落ち込んで気道が閉塞しているなら、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)という選択肢もあります。
他にも上下顎同時前進術やオトガイ舌筋前進術という手術もありますが、健康保険適用にはならない点に注意が必要です。外科手術によって睡眠時無呼吸症候群を改善する方法は適応範囲が狭いため、専門医と相談の上、手術可能か否かを確認してみましょう。

まとめ

いびきは鼻呼吸するタイプか口呼吸するタイプかによって、危険性が大きく変わります。口呼吸で生じる喉いびきが原因の場合、悪化すれば慢性的な疲労感や寝不足によって日常生活に支障が出てしまいます。
自分や家族がいびきをかきやすく、就寝中の呼吸が気になる方は病院で相談してみましょう。重症化する前の早期に治療を行えば、その分改善も早いです。
いびきは肥満体型、飲酒・喫煙習慣のある方に多い症状です。まずは日常生活で改善できる部分は自ら意識し、改善するように心掛けてみましょう。
そして、将来の健康を守っていくためにも、いびきは専門医と相談してしっかりと治療を行ってください。

よくある質問

Q.いびきがすごいと言われたのですが、治療や対策はした方がいいでしょうか?

A.気道の閉塞が原因の喉いびきの場合、放置すると強い眠気や倦怠感、集中力の低下など日常生活に支障が現れます。自宅でできるセルフケアとして体重の減量と禁酒・禁煙、生活リズムを整えてみましょう。 改善しなければ病院での治療をおすすめします。

Q.肥満の人はいびきをかきやすいと聞きましたが本当ですか?

A.肥満体型の方は睡眠中に気道が閉塞しやすく、喉いびきを生じやすいです。そのため、いびきを自覚している方は、まず減量に取り組むことをおすすめします。 減量で改善しない場合は専門医に相談し、適切な治療を受けてください。

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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