ショートスリーパーとは?
そもそもショートスリーパーとは、どのような人を指すのでしょうか。
結論として、ショートスリーパーは短時間睡眠でハイパフォーマンスを維持できる人のことです。まずは、一般的な人の睡眠時間と、ショートスリーパーの睡眠時間の違いをそれぞれご紹介します。
日本人の平均睡眠は6~7時間
日本人の平均睡眠時間は6~7時間といわれています。これは、総務省が発表する「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」に記載されており、忙しい現代でも適正睡眠時間を確保できている状況です。
人間の身体は適正睡眠時間を確保することによって、ハイパフォーマンスに活動できます。逆に睡眠時間が短ければ、次のような問題が起きてしまうかもしれません。
- ・集中力の低下
- ・ストレスの増加
- ・免疫力の低下
また、寝不足の状態が長期化すると「うつ病」や「自律神経障害」を引き起こす場合があります。健康的な生活を送りたいのなら、必ず適正睡眠時間を確保しましょう。
また適正睡眠時間に関するお話は、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
ショートスリーパーは3~4時間しか眠らない
ショートスリーパーとして過ごす人たちは、適正睡眠時間を確保している人たちとは違い、適正睡眠時間よりも短い睡眠でハイパフォーマンスを発揮します。人によって睡眠時間が異なりますが、3~4時間しか眠らない人もいるのです。
また、さらに短い時間しか眠らない人もいます。一見不健康そうに見えますが、問題なく健康的な生活を送れているのです。
睡眠時間が少なくて済むショートスリーパーの人たちは、一般人よりも長い時間活動できます。日常生活はもちろん仕事や趣味に割ける時間が増えるため、忙しい現代社会でも余裕とゆとりのある生活を送れるようになるのが魅力です。
日本人は3つの睡眠タイプに分かれている
ショートスリーパーを含め、日本人の睡眠には次のようなタイプがあります。
- ・ショートスリーパー
- ・ロングスリーパー
- ・バリアブルスリーパー
具体的にどのような睡眠パターンなのか、詳しく見ていきましょう。
ショートスリーパー
睡眠時間が短くても、眠気や倦怠感といった影響が出ない人のことを指します。歴史上の人物としてナポレオンは3時間、エジソンは4時間しか眠らかなったといわれているようです。
日本人のうち5~8%の人がショートスリーパーではないかといわれています。
ロングスリーパー
ロングスリーパーとは、睡眠時間が10時間以上の人のことを指します。長時間睡眠を確保しないと、日中の活動に影響が出る人はロングスリーパーです。
日本人の3~9%が該当するといわれています。
バリアブルスリーパー
バリアブルスリーパーとは、睡眠時間が6~10時間の一般的な睡眠時間の人のことです。日本人の80~90%がバリアブルスリーパーに該当するといわれています。
6~10時間と幅があり、睡眠時間を長くも短くもできるため、変化しやすい(=variable)ことからバリアブルスリーパーと名づけられました。日本人の大半はバリアブルスリーパーであるため、疲れたときは長めに睡眠時間を確保したり、仕事や趣味に時間を使って短時間睡眠にしたり、臨機応変に対応できるでしょう。
ショートスリーパーになる原因とは?
なぜ世の中には、一般的な睡眠時間が必要な人と、短時間睡眠で問題ないショートスリーパーがいるのでしょうか。また、中には「自分もショートスリーパーになれるのでは?」と考えている人もいるはずです。
残念ながら、一般的な睡眠時間の人がショートスリーパーになることはできません。
続いて、ショートスリーパーになれない原因を詳しくご紹介します。ショートスリーパーになれない理由や、一般人が陥る不眠症との違いを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
遺伝的要因
ショートスリーパーの人は、先祖がもつ「ショートスリーパー遺伝子」が関係しているといわれています。これは「公益社団法人かずさDNA研究所」で発表されている内容であり、カリフォルニア大学の3世代にわたる研究によって、ショートスリーパーのDNA配列が一般人と違うと判明しました。
ショートスリーパーは、深い睡眠状態を表すノンレム睡眠から瞬時に覚醒できる力があり、覚醒状態を継続してくれる成分の分泌量が多いことから、ハイパフォーマンスで活動を行えるのです。
ショートスリーパーのDNAは、一般人の遺伝子には組み込まれていません。無理に睡眠時間を削ってショートスリーパーになろうと考えても、ただ不眠症といった睡眠トラブルを発生してしまうので注意してください。
不眠症との違い
中にはあまり眠れないため、いつの間にか短時間睡眠が続いている「不眠症」の人もいるでしょう。不眠症もショートスリーパーのように、短時間睡眠で生活します。しかし、ショートスリーパーと不眠症には大きな違いがあるとご存じでしょうか。
ショートスリーパーの人は、短時間睡眠で健康的な生活を送れます。一方、不眠症の人は次のようなトラブルが起きてしまいます。
- ・集中力の低下
- ・体力や免疫力の低下
- ・疲労感の増加
- ・うつ病発症リスクの増加
不眠症は、ストレスや自律神経の乱れにより発症するため、身体にひとつも良い影響を生み出しません。寝不足によって不健康な身体へと変わっていくので、ショートスリーパーとは身体への影響が異なると覚えておきましょう。
また、不眠症について詳しく知りたい人は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてください。不眠症の特徴や原因、対策について詳しく学べます。
ショートスリーパーのメリット・デメリット
ショートスリーパーに良いイメージをもつ人も多いはずです。確かに、短い睡眠時間でハイパフォーマンスを発揮できるショートスリーパーには、さまざまなメリットがあります。ただし、いくつかデメリットがあることも頭に入れておきましょう。
それぞれの特徴について解説します。基礎知識として把握してみてください。
ショートスリーパーのメリット
ショートスリーパーのメリットは次のとおりです。
- ・短い睡眠時間でハイパフォーマンスを維持できる
- ・他の人よりも活動時間が長い
ショートスリーパーは、短い睡眠で一般人と同等のパフォーマンスを発揮できます。また、他の人よりも活動時間が長いため、学力を高めやすかったり成果を出しやすかったりと、生きるうえで多くの結果を残しやすくなるのが特徴です。
ショートスリーパーのデメリット
活動時間が長いショートスリーパーはとても魅力的ですが、次のようなデメリットがあります。
- ・体への負担が大きくなる
- ・ストレスが溜まりやすい
- ・一般人との生活にズレが生じる
ショートスリーパーは、一般人よりも短い睡眠時間で身体的疲労・精神的疲労を回復できますが、体力や精神力は一般人と同じです。つまり長時間活動した分だけ通常よりも疲れやすくなるほか、ストレスを溜めやすくなってしまいます。
また、短い睡眠で済むため夜中に目覚めることが多く、一般人との生活にズレが生じてしまうのが問題です。頭は覚醒しているにもかかわらず夜なので何も行動できないという状態が続き、ストレスが溜まってしまいます。
ショートスリーパーになる3つの方法
ショートスリーパーになる方法は、以下の3つが挙げられます。
- ・二度寝やスヌーズを利用しない
- ・睡眠記録をつける
- ・1日1回15分の仮眠をとる
ただし、これらの対策を行えば、確実にショートスリーパーになれるわけではありません。遺伝的な問題もあるため、参考程度として把握しておきましょう。
二度寝やスヌーズを利用しない
ショートスリーパーになるためには、二度寝しないことが重要です。
自分が決めた起床時間を守ること、スヌーズを使用しないことにより、時間通りに起きる習慣を作り出せます。ショートスリーパーを目指す際につまずきやすいのが「朝起きること」ですので、体内時計の調整が必要不可欠です。
人間の身体は、90分サイクルでレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているといわれています。必ず「〇時間後に起きる」と決めて目覚めるタイミングを調整していけば、自然とショートスリーパーに近い生活を送れるようになるかもしれません。
睡眠記録をつける
ショートスリーパーを目指すために、毎日睡眠記録をつけてみてはいかがでしょうか。記録をつけて自分の睡眠パターンが把握すれば、睡眠をコントロールできます。以下の項目を記録してみましょう。
- ・おおよその就寝時間
- ・起床時間
- ・仮眠をとった時間
- ・朝起きたときの目覚めの状態
- ・日中の眠気の有無
紙媒体やスマホのメモ機能、睡眠アプリなど自分に合った記録方法すると継続しやすくなります。また、記録するタイミング(朝起きてすぐ、通勤中の電車の中、仮眠をとるときなど)も決めておくと習慣化しやすくなるでしょう。
1日1回15分の仮眠をとる
短時間の仮眠が活動を活発化してくれます。例えば、食後に眠気を感じて、仕事や授業に身が入らなかった経験はないでしょうか。食事により上昇した血糖値を下げようとする作用が働き、眠気を感じやすくなってしまいます。この問題を解決するのが短時間の仮眠です。
仮眠は、15分がベストだといわれています。1回15分というのは深い睡眠に入る前までの時間です。もし15分以上の仮眠をとると深い睡眠に入ってしまうので、必ず15分以内に目覚めることをおすすめします。
ショートスリーパーになれるかどうかは諸説あり
ショートスリーパーになる方法を紹介してきましたが、実際、ショートスリーパーになれるかどうかには諸説あります。例えば、次のような説が有名です。
- ・日本人の9割はショートスリーパーになれる説
- ・ショートスリーパーは独特の遺伝子をもっている説
具体的にどのような説なのか、詳しく見ていきましょう。
日本人の9割はショートスリーパーになれる説
日本人には6~10時間睡眠をとる「バリアブルスリーパー」が多いといわれており、睡眠時間の調節がきくという点からショートスリーパーになれるという説があります。
例えば、自分の睡眠パターンを調べた結果、短時間睡眠の方が日中の活動が活発化したという話もあるようです。また以下に該当する人の中には、意識的に睡眠時間を減らすことによって、身体が楽になったと感じる人もいます。
- ・布団に入ってから寝付くまで時間がかかる
- ・6~10時間寝ても昼間に眠気を感じる
- ・長時間寝ても疲れがとれない、朝起きられない
項目に当てはまる人は睡眠時間を短くしてみて、身体の感覚や日中の活動への影響などを確認してみるとよいでしょう。
ショートスリーパーは独特の遺伝子をもっている説
ショートスリーパーの人は独特の遺伝子をもっており、生まれつきの体質であるという説があります。つまり、ショートスリーパーの遺伝子をもっていない人は、訓練してもショートスリーパーにはなれないといわれているのです。
ショートスリーパーの遺伝子をもっていない人が短時間睡眠に挑戦してしまうと、日中の活動に影響が出たり、寝不足により健康被害が出たりする危険性があると注意喚起されています。いずれにしても、自分の睡眠パターンを把握して、最適な睡眠時間を見つけるのが健康によいといえるでしょう。
ショートスリーパーになれなくても工夫して短時間睡眠を目指そう
ショートスリーパーにはなれなくても、短時間睡眠をとり入れることによって、日中のパフォーマンスを向上できます。例えば、次の方法を試してみてください。
- ・睡眠の質を向上させる
- ・最適な睡眠時間が確保できない場合は昼寝を取り入れる
安全に短時間睡眠を習慣化する方法を見ていきましょう。
睡眠の質を向上させる
睡眠は「時間」だけでなく「質」も重要です。質の低い10時間睡眠よりも、質の高い6時間睡眠の方が疲労回復効果や朝の目覚めをよくするといわれています。また、睡眠の質を向上するためには、深い睡眠であるノンレム睡眠の時間を長く確保することが大切です。すぐに始められる対策を3つ紹介します。
- ・夕食は寝る3時間前までにすませる
- ・アルコールやカフェインを控える
- ・布団の中でスマホは操作しない
質の高い睡眠を確保できれば、短時間でも日中の活動に影響は出にくいと考えられます。短時間といっても、普段7時間睡眠の人が4時間にするなど、極端に短くしてしまうと寝不足状態になるので注意してください。
最適な睡眠時間が確保できない場合は昼寝を取り入れる
昼食後15分程度の昼寝を取り入れると、脳の働きが活発になることが分かっています。昼食をとると血糖値が上がるため、血糖値を下げようと身体の機能が働くのです。人間の身体は体温の変化によって眠気を感じてしまうので昼食後に眠気を感じやすくなります。眠気を取り除いて活動のパフォーマンスを高めたいのなら、次の対策をとり入れましょう。
- ・座ったまま寝る
- ・聞き心地のよい音を流す
- ・カフェインを摂取する
「たった15分」と思われがちですが、寝る・寝ないという違いでパフォーマンスが大きく変化します。だまされたと思って、ぜひ実践してみてください。
短時間睡眠にこだわると健康被害に発展する可能性もある
活動時間が長くなれば、仕事や趣味の時間が長くとれたり、ゆとりをもって生活できたりするため、ショートスリーパーになりたいと思う人も多いはずです。しかし、無理にショートスリーパーになろうとすると、次のような健康被害が起きる危険性があります。
- ・日中常に眠気を感じる
- ・疲労感がとれない
- ・ストレスの増加する
- ・自律神経が乱れる
上記の問題は、睡眠不足が影響して発生すると考えられています。睡眠不足による疲労は、知らず知らずのうちに蓄積します。寝不足が続けば、その分体調が悪くなりやすいので注意してください。
実はあの人も?意外と知られていないショートスリーパーの有名人8選
ショートスリーパーという睡眠方法ができるのは、一部の才能(特別な遺伝子)をもつ人たちだけです。そして実は、あなたが知っている人の中にも、ショートスリーパーが隠れていることをご存じでしょうか。
最後に、ショートスリーパーである(だった)芸能人や過去の偉人をご紹介します。「えっ?この人ってショートスリーパーなの?」と驚く人もいると思うので、ぜひチェックしてみてください。
また、睡眠時無呼吸症候群を発症している人についてご紹介しているので、あわせて確認してみてください。
TV出演しているあの人も!現代のショートスリーパー4人
まずは、TVで見かける有名芸能人・著名人のショートスリーパーを4人ご紹介します。メディア出演している人は、忙しく働いているので、ショートスリーパーという才能が発揮できる仕事だといえるでしょう。
- ・お笑いタレントの「明石家さんま」
- ・百獣の王を目指すタレント「武井壮」
- ・ドラゴンクエストの生みの親「堀井雄二」
- ・カリスマ的シンガーソングライター「Gackt」
毎日忙しく働いている人ばかりです。全国各地を回っていることはもちろん、ハードなスケジュールの中で仕事をしているため、自然とショートスリーパーが身についた(役立っている)のかもしれません。
歴史の教科書で見かけたあの人も!偉人のショートスリーパー4人
ショートスリーパーは現代人だけでなく、歴史の教科書にも載る偉人も含まれます。大きな功績を残した4人の偉人を見ていきましょう。
- ・世界の芸術家「レオナルド・ダ・ヴィンチ」
- ・フランス革命で有名な「ナポレオン」
- ・電気を発明した「エジソン」
- ・世界的音楽家「モーツァルト」
全員がある偉業を残している人物です。もしかすると、ショートスリーパーという生活が考える時間、活動する時間を生み出し、偉業を生み出しやすくしたのかもしれません。
まとめ
ショートスリーパーは、一部の限られた人たちだけができる特殊な睡眠スタイルです。短時間でハイパフォーマンスを発揮できることはもちろん、日常生活を豊かにできます。
ただし、ショートスリーパーは誰にでもなれるものではありません。無理にショートスリーパーになろうとすると、身体を壊してしまう場合もあるのでご注意ください。
また、ショートスリーパーにはなれなくても、短時間睡眠を工夫すれば活動時間を調整できます。自分の生活を見直し、無理のない範囲で短時間睡眠にチャレンジしてみてください。
よくある質問
Q.ショートスリーパーって誰でもなれるものなの?
A.ショートスリーパーを目指したい人は本記事の「ショートスリーパーになる原因とは?」をチェックしてみてください。
残念ながら、ショートスリーパーは遺伝によって決まるといわれているので、後天的になれるものではありません。無理にショートスリーパーを目指すと不眠症を発症するリスクがあるので気をつけてください。
Q.ショートスリーパーの有名人・著名人・偉人を知りたい!
A.有名なショートスリーパーについては「実はあの人も?意外と知られていないショートスリーパーの有名人8選」で紹介しています。
<現代の有名なショートスリーパー>
・明石家さんま
・武井壮
・堀井雄二
・Gackt
<偉人の中にいるショートスリーパー>
・レオナルド・ダ・ヴィンチ
・ナポレオン
・モーツァルト
・エジソン