不眠症とストレスの関係について
不眠症は、日常から生み出されるストレスが原因で発症することがあるのをご存じでしょうか。
人間の脳には、起きて活動するときに大切な「覚醒中枢」と、眠るときに大切な「睡眠中枢」というものがあります。
それぞれの中枢は、上手くバランスが取れているから正しい睡眠時間を確保できています。
しかし、ストレスが溜まってしまうと、あっという間にバランスが崩壊し、睡眠トラブルを発症してしまうのです。
例えば、野生動物が天敵に襲われそうなとき、強いストレスを身体に溜め込みます。
その結果、覚醒中枢が活発化し、夜の間も眠らずに天敵の動きを警戒します。
同じように、人間もストレスを感じると眠れなくなってしまうのです。
日常で溜め込まれたストレスによって、目を閉じても不安や考え事が浮かび、眠れない人も多いでしょう。
生き物の本能が大きく関わるトラブルなので、ストレスの貯めすぎには注意が必要だと覚えてくださいね。
そもそも不眠症ってどういう状態なの?という方はコチラの記事も参考にしてみてください。
不眠症を生み出すストレスの原因
ストレスの影響によって、不眠症になっている人もいるはずです。
では、大元の原因であるストレスは、どのようにして生まれるのでしょうか。
まずは、日常生活でストレスを感じやすいポイントを3つご紹介します。
解決策を探す前に、自分のストレスの原因を知ることが大切です。
悩みや不安、疲れに当てはまる項目がどれなのか、考えてみてください。
仕事
生活に必要な賃金をもらうために欠かせない仕事ですが、多くのストレスが潜んでいます。
例えば、次の項目はストレスが溜まる原因となりやすいでしょう。
- ・仕事が計画通りに進まない
- ・上司や部下とのウマが合わない
- ・連日の残業や給与への不満
仕事では、社内や社外の人とコミュニケーションを取りつつ、業務を行う必要があります。
また、誰かの作業を待たなければ進行できない案件もあるでしょう。
しかし、どう頑張っても物事が自分の計画通りに動かないこともあります。
その結果、納期に迫られてストレスを抱える人も大勢いるのです。
コミュニケーション自体が苦手だという人にとって、仕事というシチュエーションは、最もストレスを溜め込みやすい環境だといえます。
経済的な事情
所持している貯金や毎月の収入は、人によって異なるはずです。
中には世の中の経済状況の変化に伴い、日々の生活が苦しくなっている人もいるでしょう。
毎月貯金できないと悩む人もいれば、欲しいものを買えずに困っている人もいるはずです。
経済的な事情は、あなたを身動きの取れない状態にしてしまい、将来への不安を生み出します。
その結果、大きなストレスを感じて不眠症に陥るケースがあるため注意が必要です。
特に、近年では消費税の増税や、物価上昇の影響を受けて、ストレスを抱える人が増えているので気を付けてくださいね。
子育て
子どもがいる家庭では、育児や教育においてストレスを溜め込んでしまうケースがあります。
毎日の夜泣きやイヤイヤ期など、自分の時間が作れずに、ストレスと疲労が溜まってしまうのです。
また育児では、子どもから目が離せないため、日々緊張して生活している人もいます。
あまり外に出ることもできず、自宅に籠りきりになってしまうため、ストレスの捌け口がありません。
その結果、不眠症を発症して、疲労がたまり続けるケースがあるので注意が必要です。
子どもが大きくなっても、受験勉強や友達とのトラブルによって、ストレスを感じてしまうこともあります。
子育てでは、様々なポイントでストレスが発生するため、ストレス解消法を身に付けておくことが欠かせません。
ストレスで不眠症になる5つのリスク
ストレスの影響で不眠症になってしまうと、必要な睡眠時間を確保できない状態に陥ります。
また、不眠症の状態が長期間続いてしまった場合、日常生活に支障を引き起こしてしまうのが特徴です。
そこで、不眠症になったときに起こるリスクを5項目に分けて解説します。
すでに当てはまる項目があるという人は、早めのストレス解消が必要です。
物事に集中できない
不眠症が続いてしまうと、頭がボーっとして物事に集中できない、ということがあります。
例えば、仕事中に手が止まったり、考え事をしだすと頭が真っ白になったりと、何も手が付かなくなってしまうのです。
集中力の低下は、生活や仕事で大きな支障を生み出します。
人の話を聞かなくなる人もいれば、予定通りの行動ができなくなる人もいます。
そのため、周りからの不満が溜まることもあるでしょう。
普段考えられていたことが、すっぽりと頭から抜け落ちてしまうため、ミスや事故のリスクが高まります。
物忘れがひどくなる
「なんだか最近、物忘れがひどいかも」と悩んでいる人はいないでしょうか。
じつは睡眠時間は、記憶の整理時間でもあります。
今日起きたことや学んだことを、眠っている時間に整理して記憶していくのが睡眠の役割です。
もし不眠症が続き、他の人よりも眠る時間が短ければ、その分記憶できる内容が少なくなります。
仕事の予定や近日中にやるべきこと、また買い物リストなどを思い出せなくなる場合もあるので注意が必要です。
特に、日本人は世界から見ても平均睡眠時間が短いのが特徴ですので、物忘れを感じている人は早めの対策を心がけてください。
心と体が疲れてしまう
睡眠は、身体を休めるために大切な行動です。
しかし、不眠症になって疲れを取り除くことができなければ、次々と疲労が蓄積されて倦怠感を感じる生活が続いてしまいます。
疲れは表情に現れることが多く、不眠症の人は次のような見た目になるのが特徴です。
- ・肌が青白くなる
- ・目の下にクマができる
- ・頬がげっそりと痩せて見える
- ・肌トラブルが多くなる
上記トラブルは、ゆっくりと時間をかけて生み出されていきます。
中でも不眠症の期間が長い人は、見た目の変化が大きく現れるので、健康的な生活を手に入れるためにもストレス解消が必要です。
健康被害を受けてしまう
不眠症は、集中力や記憶力に影響があるだけではなく、あなたの身体に健康被害をもたらします。
例えば、不眠症の発症により、次のようなトラブルが発生するのをご存じでしょうか。
- ・ホルモンバランスの乱れ
- ・免疫力の低下
どちらの変化も、総じて病気にかかるリスクを生み出します。
ちょっとした気候の変化や、ウイルスが蔓延しやすい寒い時期によって病気になりやすいので注意してください。
併せて、生活習慣病を発症するリスクも高まるため、免疫力低下を防ぐ必要があります。
肌トラブルの原因になる
不眠症の発症により、いち早く生じるのが肌トラブルです。
ホルモンバランスの変化によって、肌の水分が失われたり、新陳代謝が落ちて老廃物を溜め込んだままにしたりと、肌トラブルが起きやすい環境を作ってしまいます。
万全の対策を実施しなければ、雑菌が毛穴に入り込み、ニキビや吹き出物、肌荒れに悩まされることもあるのです。
長期間肌トラブルが続くと、肌に傷が残ったり、ニキビ跡であるクレーターができたりと、将来的な問題へと発展するので注意してくださいね。
ストレスは不眠症だけじゃなく過眠症になるリスクも
ストレスの影響で不眠症になる人が多くいますが、実は不眠症だけではなく「過眠症」を発症する人もいます。
過眠症とは、不眠症の逆で「睡眠中枢」にバランスが偏り、どれだけ寝ても眠気が取れないという状態が続く病気です。
過眠症にも、集中力の低下や疲労などのリスクがあり、仕事をしているのに眠気に襲われるというように、日常生活に支障を生み出してしまいます。
長い時間眠るから健康だというわけではなく、適正な睡眠時間を把握することが大切です。
日本人の場合、睡眠時間は6時間程度がちょうどいいといわれています。
不眠症改善のためのストレス解消法
不眠症を改善して、健康的な生活を手に入れたいなら、まずは不眠症の原因であるストレスを解消する必要があります。
ここでは、不眠症改善のためにできる4つのストレス解消法をご紹介します。
日常生活の中に取り入れることによって対策できるものばかりですので、ぜひチャレンジしてみてください。
適度な運動
適度な運動は、身体に疲れを感じさせて眠気を誘発する効果があります。
中でもおすすめなのが、ウォーキングやジョギングやといった有酸素運動です。
特に道具を準備せずに始められるのはもちろん、運動するとセロトニンと呼ばれる物質が分泌され、ストレス解消効果を発揮します。
また、セロトニンは日光を浴びることで分泌されるので、日中の運動を行うと不眠症改善に効果的ですよ。
ストレス原因の解消
あなたが抱えるストレスの原因は、何でしょうか。
どんなにストレス解消法を行ったとしても、原因がなくならなければ、またすぐにストレスが溜まってしまいます。
そのため、少しずつストレスの原因を解消してみましょう。
例えば、ストレスの原因を避けたり、代替したりと、自分が関わる機会を減らしていくのがおすすめです。
仕事なら部署を変えてもらう、金銭的な余裕なら転職・副業を始めてみる、子育てならまわりにも協力してもらうといったような対策を考えてみてください。
ストレス発散の趣味を見つける
もし没頭できる趣味を持っていないなら、いろんなことに挑戦してみてください。
ストレス発散に効果的なのは、自分の好きなことを見つけることです。
例えば、運動を趣味にするのもいいですし、インドアな趣味を見つけるのもいいでしょう。
ストレスを適度に発散できれば、多少のストレスが溜まっていても不眠症の発症を抑制できます。
ですが、好きなことを見つけるのは簡単ではありません。
まずはイベントや体験教室に参加したり友人の趣味を参考にしたりと、ゆっくりと時間をかけて、あなたが楽しめる趣味を探してみてください。
クリニックへ相談
もし自分で不眠症やストレスを解決できないなら、クリニックに不眠症の悩みを相談してみましょう。
睡眠トラブルは、耳鼻咽喉科、内科など、相談できる場所が豊富にあります。
まずは睡眠トラブルのプロに相談してみて、客観的な視点で診断してもらうことにより、解決策やアドバイスをもらってください。
動けずに困っている人は、気軽に利用してみましょう。
ひとりで解決できないなら相談から始めよう
人によっては、抱えている課題を解消できずに悩んでいる人や、自分で溜め込んだままにしてしまう人もいるのではないでしょうか。
しかし、不眠症の状態が長期間続くと、心と身体の両方に負担がかかり、健康被害へと発展してしまいます。
睡眠トラブルは、日常生活の大きな壁となってしまうでしょう。
解決策が導き出せない人や、自分で悩みを抱えたままにしている人は、まず誰かに相談することから始めてみてください。
友人や家族、知り合いに話しづらいならクリニックなど、相談しやすい場所を利用してみましょう。
まとめ
不眠症に悩んでいる人は、発症原因であるストレスを解消することが大切です。
もし不眠症の状態が続いてしまうと、心と身体の両方に負担がかかってしまい、健康被害を受けることもあります。
ストレスの原因を断つことも必要ですが、運動や趣味でストレスを発散することも不眠症の解消に効果的です。
自力で頑張っても睡眠トラブルが解消しないなら、クリニックに不眠症について相談してみましょう。
仕事やお金の問題、育児・教育などでストレスを感じている人は、今のうちに早めのストレス解消法を考えてみてはいかがでしょうか。
健康的な日常を続けるためにも、本記事の情報を参考にしてみてください。
よくある質問
Q.不眠症はストレスが関係するの?
A.不眠症は、脳内にある「覚醒中枢」と「睡眠中枢」のバランスが、ストレスによって覚醒中枢に偏ることで発症します。
不眠症を発症すると、集中力の低下や物忘れ、健康被害といった様々なトラブルを引き起こしてしまうので、早めのストレス解消が必要です。
Q.不眠症改善のためにできるストレス解消法は何?
A.ストレスを解消したいなら、次の4項目を把握しておきましょう。
・適度な運動
・ストレス原因の解消
・ストレス発散の趣味を見つける
・クリニックへ相談
自分で不眠症を改善できそうにないなら、クリニックへ相談することをおすすめします。
自己解決できないときには、悩みを聞いてくれる人に相談することが大切です。
クリニックなら、睡眠トラブルのプロからアドバイスを聞けるので、時間を見つけて利用してみてはいかがでしょうか。