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寝ても寝ても眠いのはうつ病が原因?不眠症との関係性を解説

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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不眠?過眠?うつ病でみられる睡眠障害とは?

額を抑えて、疲れた表情を見せる女性

うつ病でみられる睡眠障害の特徴は、寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めることです。
うつ病の症状には気分の落ち込みや意欲低下などがあり、精神的な健康を害しているため、睡眠の質が悪くなりやすいといわれています。
うつ病患者のほとんどは、睡眠に関する悩みを抱えており、うつ病と睡眠障害は深く関係しているといえるでしょう。

一方で、うつ病により心身ともに疲労が溜まると、身体が休息を求め過度に寝てしまう過眠症になるケースがあります。
また、うつ病の治療薬には副作用に眠気が挙げられているものもあり、治療薬も過眠症に関係しているかもしれません。




うつ病と不眠症の関係について

自律神経失調症の影響により不眠症の男性

うつ病と不眠症の関係について、以下の項目に沿って解説します。

・うつ病から不眠症になる原因
・うつ病の人がなりやすい不眠症の種類
・不眠症からうつ病を発症することもある

うつ病と不眠症は関係が深く、うつ病と診断される人には不眠症が、不眠症で悩んでいる人にうつ病の症状がみられるケースも多くあります。

うつ病から不眠症になる原因

うつ病から不眠症になる原因は、主に3つ考えられます。以下の表をご参照ください。

原因 詳細
生命維持に欠かせない
食欲や睡眠欲の低下
  • ・意欲低下はうつ病の症状のひとつである
  • ・意欲低下の中には食事や睡眠に関する欲求も含まれている
  • ・睡眠欲の低下により眠気を感じないため不眠症に陥る
セロトニンの減少
  • ・セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に必要
  • ・セロトニンが減少することでメラトニンも減少する
  • ・メラトニンが減少すると睡眠の質が低下し睡眠障害となる
  • ・セロトニンは喜怒哀楽の感情を抑制する働きもある
運動量の減少
  • ・うつ病により意欲が低下し日中の運動量が減少する
  • ・何もやる気になれず1日中布団の中で過ごすケースもある
  • ・運動量が減少し適度な疲労感が得られず眠気が感じにくくなり、
    睡眠障害につながる

上記の原因は、複数当てはまっているケースが多くあり、意欲低下やセロトニンの減少は治療薬を服用することで改善する場合があります。

うつ病の人がなりやすい不眠症の種類

不眠症には大きく分けて4種類あり、それぞれに特徴があります。以下の表をご参照ください。

睡眠障害の種類 詳細
入眠障害
  • ・「寝つきが悪い」と感じる睡眠障害
  • ・布団に入ってから入眠するまでに1時間以上かかる場合は入眠障害の可能性が高い
  • ・4つの睡眠障害の中でもうつ病の人に多くみられる症状
中途覚醒
  • ・「夜中に何度も目が覚める」状態
  • ・いちど目が覚めると寝つくまでに時間がかかる
  • ・夜中にトイレに起きるのも中途覚醒に含まれる
早朝覚醒
  • ・「起きる予定の時間より早く目が覚めてしまい、眠れない」状態
  • ・朝早くに目が覚めてしまうことから睡眠時間が減少している
  • ・高齢者に多くみられる
熟眠障害
  • ・「よく寝たはずなのに日中眠い」と感じる場合は熟眠障害の可能性が高い
  • ・睡眠の質が低下しており深い眠りが少ない

上記の4つの原因を複数併発しているケースも多く、寝つきが悪く夜中に目が覚めたり、寝つきが悪いのに朝早くに目が覚めたりします。

不眠症からうつ病を発症することもある

うつ病の症状として不眠症が挙げられる一方で、不眠症が原因でうつ病に発展するケースも少なくありません。
不眠症により心身ともに疲労が溜まり、日中の活動意欲が低下することでうつ病になるのです。
寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてから眠れないなどの症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、治療を開始することでうつ病の発症を未然に防ぐことができます。




うつ病と過眠症の関係について

あくびをする女性

うつ病と過眠症の関係について、以下の項目に沿って解説します。
・うつ病から過眠症になる原因
・うつ病から過眠症になっている人は非定型うつ病かも?

うつ病から過眠症になる原因

うつ病により気分が落ち込み、何もする気になれないことで、精神的に疲労が溜まります。溜まった疲労を解消するために、多くの睡眠を取ろうと身体が反応するのです。

過眠症は、以下のような状態を指します。

  • ・普段の睡眠時間よりも過剰に長い
  • ・長く寝ているにも関わらず昼間に起きていられないほどの強い眠気を感じる

過眠症により日常生活に影響する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

うつ病から過眠症になっている人は非定型うつ病かも?

近年、非定型うつ病が注目されるようになりました。
非定型うつ病の特徴は、以下の通りです。

  • ・気分が落ち込むが好きなことをしていると元気になる
  • ・いくら寝ても眠い
  • ・過食傾向
  • ・10代~30代の女性に多い
  • ・周りにはうつ病とは見えにくい
  • ・治療薬の効果が出にくい

一般的なうつ病とは症状が異なり、周りには病気と理解してもらえないことも多いといわれています。
女性の若年層で上記のような特徴がみられ、苦痛を感じている場合は受診してカウンセリングを受けることで改善が期待できます。




うつ病とは心の風邪であり誰でも発症する可能性がある

家事につかれた主婦の姿

うつ病とは、気持ちが落ち込み何もやる気になれず、日常生活に影響を及ぼす気分障害を指します。
うつ病を発症するきっかけはストレスであり、誰がうつ病を発症してもおかしくありません。うつ病を発症するきっかけになりやすいストレスは以下の通りです。

  • ・大切な人や物を失う喪失感(恋人と別れる、ペットの死、大切にしていたものを損失するなど)
  • ・環境の変化(進学、就職、結婚、出産、転勤など)
  • ・人間関係(友達にいじめられる、上司のパワーハラスメントなど)

また、きっかけは人それぞれの感じ方によってストレスに感じる度合いが異なるため、性格も大きく関係してくるといえるでしょう。

うつ病の代表的な症状とは?

うつ病の代表的な症状は、以下の通りです。

  • ・やる気が出ない
  • ・気分が悪い
  • ・身体がだるい
  • ・眠れない
  • ・趣味が楽しめない

先述したストレスがかかったときに、上記のような症状が現れ始めたらうつ病の可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

うつ病になりやすい人の特徴

うつ病は、ストレスを感じると発症するといわれており、感じ方は人それぞれです。
ストレスを溜めこんでしまう人、自分なりに発散方法を知っている人、そもそもストレスを気にしない人など、性格や体質が大きく影響してくるといえるでしょう。
うつ病になりやすい人には特徴がありますので、以下をご確認ください。

気質 詳細
循環気質
  • ・社交的で親しみやすい性格
  • ・感情の起伏が激しい
  • ・周囲から認められたいという欲求が強い
執着気質
  • ・負けず嫌い
  • ・正義感が強い
  • ・完璧主義
  • ・自分が納得するまで物事に取り組むため、無意識に心身の疲労を蓄積している
メランコリー親和型気質
  • ・責任感が強い
  • ・他人への気遣いが上手
  • ・人からの頼みは断れずキャパオーバーになってしまいがち

上記の特徴に当てはまる人はストレスを強く感じやすく、うつ病になりやすいといわれています。

うつ病の治療方法

うつ病の治療方法は、大きく3つに分けられます。

治療方法 詳細
休養・環境調整
  • ・ストレスを緩和するために身体を休ませることに集中する
  • ・ストレスの原因が会社にある場合は部署異動や勤務時間を変更するなど調整する
  • ・家事は無理をせず家族で分担したり代行を頼んだりするなど工夫する
薬物療法
  • ・抗うつ剤を服用することで気分の落ち込みや不安を軽減する
  • ・薬は即効性がないため医師の指示のもと一定期間飲み続ける必要がある
精神療法(カウンセリング)
  • ・認知行動療法が推奨されている
  • ・認知行動療法とはストレスに対して打たれ強くなる精神を育てる方法を指す
  • ・自分のストレスの原因や考え方のくせを知る
  • ・問題を解決する方法や人間関係の修復方法などを練習する
  • ・認知行動療法の効果が出るのは早くて3カ月といわれている

休養や薬物療法だけでは回復に時間がかかったり、再発する可能性が高かったりします。並行して精神療法を取り入れると、うつ病の症状が早く軽減されるようです。




うつ病による不眠症を改善するポイント4選

穏やかな陽気、外に向って窓の前で身体を伸ばしている女性

うつ病による不眠症でつらい人へ、薬だけではなく日常生活で気を付けるとよいポイントを4つ紹介します。

・起床時間を固定する
・バランスのよい食事を心がける
・適度に身体を動かす
・寝る前にリラックスできる環境を整える

睡眠の質がよくなると、疲労が回復し気持ちが前向きになりやすくなります。自分でできることは実践していきましょう。

起床時間を固定する

朝起きる時間を固定し、決まった時間に日光を浴びることで夜に分泌される睡眠ホルモンが増え、寝つきやすくなります。
人間の身体は日光を浴びると生成されるセロトニンが、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに変化し、眠気を感じるのです。セロトニンの量が少ないと、メラトニンの量も少なくなるため夜の眠りに影響します。
以上のことから、朝日光を浴びることが重要といえるでしょう。

また、体内時計は25時間サイクルのため、1時間のズレが生じています。朝起きて日光を浴びることでリセットされ、ズレを調整しているのです。体内時計が狂わないように決まった時間に起きて日光を浴び、体内時計を調整することも大切です。

バランスのよい食事を心がける

うつ病では食欲が低下し、食べ物を受け付けないことがしばしばあります。
しかし、バランスのよい食事を摂るようにすると必要な栄養素が摂取でき、うつ病の回復が期待できます。
うつ病で不足しがちな栄養素、栄養素の役割、栄養素が含まれている食材について以下の表を参照ください。

栄養素 役割 含まれる食材
トリプトファン
  • ・セロトニンの材料になる栄養素
  • ・トリプトファンが減少するとセロトニンも減少する
  • ・セロトニンは睡眠ホルモンのメラトニンに影響するためセロトニンの減少はメラトニンの減少につながる
乳製品、肉類、魚類、大豆製品、卵、ナッツなど
葉酸
  • ・カテコールアミンの生成に必要な栄養
  • ・カテコールアミンはドパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質に働きかけることで感情を制御している
  • ・ドパミンは快楽、ノルアドレナリンは交感神経を高める役割をしている
  • ・カテコールアミンが不足することで感情のコントロールが効かなくなり意欲低下や気分の落ち込みを引き起こす
豚肉の赤身、納豆、緑黄色野菜、ウナギなど
鉄分
  • ・血液中の鉄分が不足することで倦怠感やめまいを感じる
  • ・集中力や意欲の低下にもつながる
牛肉、レバー、赤身の肉、海藻、大豆製品など

うつ病の人の食事では、バランスの他に脂っこい食事や飲酒にも注意が必要です。
脂っこい食事は、消化にエネルギーが使われるため睡眠を取るためのエネルギーが不足する可能性があります。
飲酒は寝つきがよくなる一方で、アルコールが分解され始めると覚醒作用が働くため、夜中に目が覚めて眠れなくなります。

上記の注意点も意識して、バランスや消化のよい食事を心がけましょう。

適度に身体を動かす

うつ病では意欲低下により、何もする気になれず布団でごろごろして過ごすことも珍しくありません。
倦怠感が強く、運動どころではないと思う人もいるでしょう。できる範囲で身体を動かすことで、適度な疲労感が得られ寝つきがよくなります。
ジョギングや筋肉トレーニングなどのハードな運動ではなく、近所を散歩する、自転車で近所のコンビニまで行ってみるなど、スモールステップで少しずつ身体を動かすようにしていくのがおすすめです。

寝る前にリラックスできる環境を整える

寝る前にテレビやスマホなどをみていると、ブルーライトの影響でメラトニンの分泌が減少し、眠気に影響します。
テレビやスマホの代わりに、以下のような方法でリラックスできる時間を確保してみてはいかがでしょうか?

  • ・好みのアロマオイルを焚いて好きな香りを感じながらリラックスする
  • ・自然音やクラシックなど音楽を聴いてリラックスする
  • ・ヨガやゆったりストレッチで筋肉の緊張をほぐす

上記のリラックス方法を実践してみると、身体がリラックスして自然と眠気を感じるようになります。ぜひ試してみてください。




うつ病は睡眠時無呼吸症候群とも関係している?

CPAPを使用しているシニア世代の男性

うつ病は、不眠障害の他にも睡眠時無呼吸症候群とも関係が深いです。
うつ病と睡眠時無呼吸症候群について、以下の項目に沿って解説します。

・睡眠時無呼吸症候群とは夜間の無呼吸により睡眠の質が低下すること
・睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下することでうつ状態になりやすい

睡眠時無呼吸症候群は、脳梗塞や心筋梗塞などの急を要する病気を発症する引き金になりかねません。
うつ病との関係を知り、自分に当てはまってないか確認してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群とは夜間の無呼吸により睡眠の質が低下すること

睡眠時無呼吸症候群とは、夜寝ている間に呼吸が止まったり、浅い呼吸を繰り返したりする病気を指します。家族やパートナーでいびきをかいたり、呼吸が止まったりしている場合は、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間の呼吸が不安定になることで体内の酸素量が低下しているため、睡眠の質に影響しています。呼吸を促そうと脳が指令を出し続けるため、脳の休息が取れていません。浅い睡眠が多く深い睡眠が少なくなっている状態です。そのため、寝た気がしない、日中強い眠気を感じるなど、日常生活に影響します。

睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下することでうつ状態になりやすい

睡眠時無呼吸症候群は、浅い眠りの繰り返しで睡眠の質が悪く昼間の生活に影響が出ます。
眠れないことで集中力が低下し何もする気になれない、身体が重いなどの症状がみられるようになります。
中には、倦怠感が強いことや意欲が低下していることを自分が悪いと思い込み、自分で自分を責めてしまう人もいるでしょう。
睡眠無呼吸症候群は精神的に疲労やストレスを感じやすくなり、うつ病を発症するきっかけになるのです。




まとめ

心地よく眠っている様子の写真

うつ病と睡眠障害の関係について解説してきました。
本記事のまとめは以下の通りです。

  • ・うつ病の人は不眠症を訴えることが多い
  • ・入眠困難や中途覚醒を訴えることが多い
  • ・うつ病は誰もが発症する可能性があるが完璧主義な人や真面目な人がなりやすい
  • ・若い女性で過眠症の場合は非定型うつ病の可能性も考えられる
  • ・睡眠時無呼吸症候群による睡眠の質の低下はうつ病を発症しやすい

気分の落ち込みや眠れなくて悩んでいる人は、迷わず医療機関を受診し早期に治療を開始しましょう。早期治療により、つらい症状が早く解消されます。

よくある質問

Q.うつ病と不眠症はどう関係していますか?

A.うつ病による睡眠欲の低下や、睡眠ホルモンの減少が原因で寝つきにくくなったり、夜中に何度も目が覚めたりします。反対に、寝つきの悪さや夜中の覚醒、早朝に目が覚めるなどの不眠症により疲労・ストレスが蓄積してうつ病に発展する場合もあります。

Q.不眠症を解消するにはどうすればよいですか?

A.起床時間を固定し、朝起きたら日光を浴びるようにしましょう。日中は運動し、適度な疲労感が得られると寝つきやすくなります。夜寝る前のテレビやスマホの使用は控え、ストレッチをしたり音楽を聴いたりするなどリラックスタイムを取り入れると寝つきやすくなります。不眠症を解消する方法は「【あきらめないで!】うつと不眠症の関係性について」でも紹介していますので、ご参照ください。

参考文献

  • ライター・監修者
  • ライター・監修者の新着記事
睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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