なぜ不眠に?更年期障害で眠れなくなる原因とは?
更年期障害を発症すると、女性ホルモンの低下によって自律神経が乱れて、不安な気持ちから不眠症になる場合があります。女性ホルモンとは、女性らしい身体をつくるホルモンのことです。代表的なホルモン成分として、次の2つの成分が分泌されています。
- ・プロゲステロン:妊娠しやすい身体をつくる女性ホルモン
- ・エストロゲン:肌ツヤ、血圧、骨密度を維持する女性ホルモン
しかし、更年期障害になってしまうと、女性ホルモンの分泌量が著しく低下してしまいます。結果、自律神経の乱れや、火照りと発汗が促される「ホットフラッシュ」という症状が出てしまい、動機や不安といった「精神的に不安定な状態」に陥ってしまうのです。
また、ある一定の年齢を迎えると、徐々に女性ホルモンが分泌されにくくなり、閉経してしまいます。特に女性ホルモンの低下が激しい「更年期(40代前半~50代後半)」を迎えた方の多くは、更年期障害にならなくても、閉経する人が大勢いる状況です。
女性ホルモンの低下は、更年期障害になるほとんどの人に発生する問題なので、更年期を迎える前に予防することが大切だと理解しておきましょう。
更年期の不眠で起こる4つのトラブル
更年期に入ってから不眠を感じる人の多くが「眠れない」という悩みを抱えています。ただし、人によって眠れない状況が違います。
続いて、更年期の不眠で起こる4つのトラブルをご紹介します。
トラブル①:入眠障害
更年期の不眠が影響して「入眠障害」を抱えてしまう人がいます。入眠障害とは、ベッドに入ったにも関わらず、目が冴えて眠れないというトラブルのことです。
目を閉じても眠れず、つい頭の中でいろんなことを考えてしまう人も多いでしょう。中には何時間も眠れず、疲れが取れない日々を過ごす人も大勢います。
トラブル②:中途覚醒
更年期の不眠が影響して「中途覚醒」に悩む人がいます。中途覚醒とは、ベッドに入って眠れたにも関わらず、夜に何度も目が覚めてしまうトラブルのことです。
何度も「寝て」「起きて」を繰り返してしまうため、思うように疲れが取れず、覚醒時に体の疲れを感じてしまいます。中には、中途覚醒したまま眠れなくなり、短時間睡眠に心と身体を蝕まれてしまうケースもあるので早めの改善が必要です。
トラブル③:早朝覚醒
更年期の不眠が影響して「早朝覚醒」に悩む人がいます。早朝覚醒とは、普段の起床時間よりも早く目覚めてしまうトラブルのことです。
一見、健康そうに見えますが、毎日の睡眠時間が削られてしまうことから、いつの間にか寝不足に悩まされてしまいます。また、一度目が覚めると寝付けなくなる人も多く、まだ暗い時間帯にも関わらず、眠れないという状態が長期的に続いてしまうトラブルです。
トラブル④:熟眠障害
更年期の不眠が影響して「熟眠障害」に悩む人がいます。熟眠障害とは、十分な睡眠時間を確保できているけれど、なぜか寝不足を感じてしまうトラブルのことです。
睡眠には、浅い睡眠である「レム睡眠」、深い眠りである「ノンレム睡眠」という2種類があります。そのうち、レム睡眠が長く続いてしまい、思うように身体の疲れが取れなくなってしまうのです。体を休めるために、さらに眠ろうとして自律神経が乱れ、過眠症(ナルコレプシー)を発症するケースもあります。
更年期の不眠に関係する5つの症状とは?
更年期になって自律神経が乱れてしまうと、睡眠に関わるさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
その中でも、身体に大きな影響を及ぼす5つの症状を見ていきましょう。
症状①:不眠症
まず、更年期障害を発症すると「不眠症」を誘発しやすくなります。
不眠症とは、ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れによって、眠れなくなってしまう病気のことです。不眠の症状が激しいと、頭痛や胸やけ、貧血といった体調不良を引き起こしてしまいます。
また、眠れない状況が長期間続くと、身体的・精神的に不安定な状態になってしまうので、早めの不眠症対策を心がけてください。
症状②:睡眠時無呼吸症候群
更年期障害を発症すると、睡眠中の呼吸に関係する「睡眠時無呼吸症候群」を誘発する場合があります。
睡眠時無呼吸症候群とは、舌が喉の奥に落ち込んで、呼吸を止めてしまう症状のことです。主に、肥満体型の人、寝る前にアルコールを摂取している人などが発症します。また、女性ホルモンの分泌量が低下して、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす要因になるとご存じでしょうか。
女性ホルモンには、気道を構成する筋肉を維持する働きがあります。これに対して女性ホルモンが減少することに伴い筋力が衰え、気道が狭まってしまうのです。その結果、いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こしてしまいます。
症状③:むずむず脚症候群
更年期障害を発症すると、脚に気持ち悪さを感じる「むずむず脚症候群」を誘発する場合があります。
むずむず脚症候群とは、脚にかゆみや痛みなどの強い不快感が現れる症状のことです。ホルモンバランスの乱れによって、身体の火照りや寝汗といった「ホットフラッシュ」が起こり、脚に違和感が生じて眠りにくくなってしまいます。
症状④:うつ病
更年期障害を発症すると、さまざまな睡眠障害を誘発してしまいます。そして、睡眠障害が長期化することによって「うつ病」を発症する恐れがあるとご存じでしょうか。
うつ病は、精神的なトラブルが原因で引き起こされます。不眠といった問題が長期化するほど、心と身体の健康が脅かされていくのが特徴です。疲れが取れない生活、眠れない不安などが原因で抑うつ状態になる人も多いため、身体の疲れだけでなく精神面にも気を使う必要があります。
症状⑤:肥満
更年期障害によって自律神経が乱れると、以下の要因によって肥満になりやすいとご存じでしょうか。
- ・睡眠時間の減少によるむくみ
- ・食欲の増加
- ・身体の疲れによる運動不足
身体は疲れているのに、暴飲暴食してしまうという状況が続き、いつの間にか体形が変化しています。更年期障害になると体形維持も難しくなるため、日ごろから健康面を気遣う必要があると理解しておきましょう。
ホントに更年期障害なの?セルフチェックを行える3つのおすすめサイト
「最近寝不足が続いているけど、これって更年期障害なの?」と不安に感じていないでしょうか。それならまずは、更年期障害を発症しているか確認ために、セルフチェックを行ってみましょう。
セルフチェックにおすすめのサイトを3つ整理しました。それぞれ、サイトの特徴を解説しているので、自身の使いやすいサイトから更年期障害のセルフチェックを行ってみてください。
おすすめサイト①:更年期ラボ
更年期ラボでは、10項目の質問に対して、症状の度合いを5択から選ぶだけで、手軽に更年期障害のセルフチェックを行えます。およそ1~2分程度で診断できるので、手軽さをお求めなら更年期ラボがおすすめです。
また、診断結果は点数として表示され、点数ごとのアドバイスをチェックできます。施設の探し方や対策方法なども掲載されているため、更年期障害の悩みを即座に解消できるのがポイントです。
おすすめサイト②:エンジョイエイジング
エンジョイエイジングでは、10項目の質問に対して、症状の度合いを4択から選ぶだけで、手軽に更年期障害のセルフチェックを行えます。およそ1~2分で診断でき、あなたに合ったアドバイスをチェックできるので、スキマ時間に手早くチェックしたい方は、エンジョイエイジングがおすすめです。
また、診断結果はプリントアウトして、そのままクリニックに持っていくこともできます。更年期障害の治療法やクリニック検索にも対応しているため、対応策が分からずにお困りの方はぜひチェックしてみてください。
おすすめサイト③:イムス総合サービスセンター
イムス総合サービスセンターでは、10項目の質問に対して、症状の度合いを2択から選ぶだけで、手軽に更年期障害のセルフチェックを行えます。およそ1~2分で診断できるため、忙しい方でもすぐにチェックできるのがポイントです。
また、診断結果も更年期障害の疑いの有無が表示されるシンプルなものなので、診断後の確認にも時間がかかりません。無料相談フォームも用意されているので、診断結果をもとにそのまま相談に進めます。
更年期障害になったらやるべき5つの対策
更年期を迎えると、誰でも更年期障害になり、不眠症を発症してしまうと考える方も多いでしょう。確かに女性ホルモンが減少してしまうため、不眠症を患いやすいのは事実です。ですが実際には、不眠症を回避・軽減する方法があります。
最後に、更年期障害になったら始めてほしい5つの対策をご紹介します。更年期障害による不眠は複数の方法で回避・軽減できるので、自分に合う方法にチャレンジしてみてください。
対策①:食生活の改善
更年期障害により女性ホルモンの分泌量が減少すると、栄養が欠乏状態になりやすく、心身の健康を脅かしてしまう恐れがあります。そこで、栄養の欠乏を抑えるために、栄養バランスを考えた食事を心がけてみてはいかがでしょうか。
女性ホルモンを増やすような特別な食事というものはありませんが、健康面を考慮した食事を継続できれば、更年期障害による女性ホルモンの低下を抑えられます。たんぱく質や炭水化物、脂質といった食事に偏りがある方は、まず食生活を改善してみてください。
対策②:運動不足の解消
更年期障害の症状は、日常的な運動を心がけることによって軽減できます。医学研究コラムが掲載されている「日本ホリスティック医学協会」では、運動前と運動後を比べた際、更年期症状の重症度が変化するという研究結果が報告されました。
特に効果的なのが以下に示す有酸素運動であり、運動習慣が更年期障害の軽減に効果的だといわれています。
- ・ウォーキング
- ・ジョギング
- ・水中歩行
- ・ヨガ
- ・サイクリング
もし、普段からあまり運動していないという方は、ウォーキングなど始めやすい運動から習慣化してみてください。
対策③:サプリメント・市販薬の利用
更年期障害の緩和には、サプリメントの服用が効果的だといわれています。特に効果が高いのが、次の栄養素を含むサプリメントです。
- ・大豆イソフラボン
- ・エクオール
- ・レッドクローバー
- ・ローヤルゼリー
現在、臨床試験が行われていますが、最終的な効果の結論は出ていません。ただ、老化に伴う疲労や疲れの軽減、骨密度の低下などの改善が期待できるため、服用を検討してみてください。
対策④:アロマセラピーの利用
更年期障害により生まれるストレスには、アロマセラピーが効果的だといわれています。香りには心をリラックスさせる効果があり、ストレスの軽減として効果的です。
エッセンシャルオイルやお香、アロマキャンドルなど、アロマセラピーに利用できるアイテムは簡単に手に入ります。もし、更年期障害の影響でイライラしているのなら、時間を見つけてアロマセラピーを始めてみてはいかがでしょうか。
対策③:クリニックに相談
自分で更年期障害を解決できないとお悩みなら、クリニックに相談するのがおすすめです。経験豊富な医師による正しい診断が受けられることはもちろん、あなたの体質に合う最適な解決策・軽減策を提案してもらえます。
「自分で調べてもよく分からない」「本当に正しい対策ができているか不安」だと感じているなら、まずは電話相談を利用してみるのがおすすめです。
まとめ
40代前半~50代後半にかけて発症する更年期障害は、女性ホルモンを低下させて、不眠症といったトラブルを引き起こしてしまいます。また、不眠症が原因となり、うつ病や肥満を誘発するかもしれません。
そこで、更年期障害や不眠症にお悩みなら、本記事で紹介したセルフチェックや対策を実行してみてください。もし、自身で対策できないとお悩みならクリニックを利用する方法もあるので、自分に合う方法で、更年期障害・不眠症を解消・軽減していきましょう。
よくある質問
Q.なぜ更年期障害と不眠症が関係あるの?
A.更年期障害と不眠症の関係は「なぜ不眠に?更年期障害で眠れなくなる原因とは?」で詳しく解説しています。
更年期障害を発症する40代前半~50代後半は、女性ホルモンの分泌量が低下し、ホルモンバランスが乱れて不眠症を発症するケースもあります。
Q.更年期障害による不眠症を発症したらどういった対策できるの?
A.更年期障害・不眠症を解消・軽減する対策は「更年期障害になったらやるべき5つの対策」で詳しく解説しています。
例えば、次の対策が更年期障害・不眠症に効果的です。
・食生活の改善
・運動不足の解消
・サプリメント・市販薬の利用
・アロマセラピーの利用
・クリニックに相談
もし症状の有無や対策が分からないとお悩みなら、まずクリニックに相談に相談してみてください。