不眠を引き起こす男性更年期障害とは?
ベッドに入っても寝付けないとお悩みでしょうか。もしかするとそれは、男性の更年期障害が原因かもしれません。
まずは、男性更年期障害を引き起こす原因についてご紹介します。
特徴①:男性ホルモン(テストステロン)の減少
男性更年期障害の発症原因は、ホルモンバランスの変化が大きく影響します。
特に更年期(40代前半~50代後半)を迎えた方の多くは、男性ホルモン(テストステロン)の減少によって、更年期障害を引き起こす恐れがあるとご存じでしょうか。
テストステロンには、骨や筋肉をつくる働きがあり、自律神経や精神を安定させる効果があるといわれています。しかし、更年期に男性ホルモンが減少してしまうと、体調の変化によって自律神経が乱れて男性更年期障害を発症し、不眠といったトラブルを引き起こしてしまうのです。
40代、50代に入ってから体調不良や不眠を感じている方も多いでしょう。もしかすると、それはホルモンバランスが変化して、男性更年期障害を発症する予兆なのかもしれません。
特徴②:ただの体調不良と考えられがち
前述した男性ホルモンの減少はゆったりと進行するため、すぐに更年期障害の予兆だと気が付けません。中には「ただの体調不良だろう」と思って、放置してしまう人もいるでしょう。しかし、更年期障害を放置してしまうと、体調不良が続くことはもちろん、次のような影響を及ぼす恐れがあります。
- ・ストレスが増加して抑うつ状態になる
- ・疲れやストレスが原因で人間関係が悪くなる
更年期になり不眠症や体調不良を感じているのなら、それは男性更年期障害を発症しているのかもしれません。記事の後半では改善方法を解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
男性更年期障害が引き起こす6つの症状
男性更年期障害を発症すると、不眠症だけでなくさまざまな問題を引き起こしてしまう恐れがあります。
続いて、男性更年期障害によって引き起こされる6つの症状を見ていきましょう。
症状①:日常的にイライラしてしまう
男性更年期障害を発症すると、些細なことでイライラします。例えば、イライラの原因は次のとおりです。
- ・体調不良
- ・不眠症
- ・体力の衰え
誰かと会話するだけでイライラする人もいれば、物事が思いどおりにいかないことに対してイライラを感じる人もいるでしょう。更年期を迎えるとその感情が大きくなってしまい、家族や仕事仲間に八つ当たりするケースもあるので注意が必要です。
症状②:抑うつ状態になる
男性更年期障害を発症してホルモンバランスが変化すると、自律神経が乱れて精神的に不安定な状態となってしまいます。人によっては、ストレスを抱えてしまいそのまま抑うつ状態になる恐れもある、と理解しておきましょう。
抑うつ状態になると、仕事や生活にやる気を感じにくくなります。また、人と関わることが嫌になり、仕事を辞めてしまうケースもあるので、早めの改善が必要です。
症状③:身体の疲れを感じる
男性更年期障害を発症すると、骨や筋肉をつくるテストステロン(男性ホルモン)が減少して、身体が疲れやすくなってしまいます。また、体力の衰え同時に運動不足によって、体重が増えてしまうケースもあるでしょう。
健康管理に気を遣わなければ、長期間疲れやすい身体のまま生活しなければなりません。悪い場合には、身体が疲れやすいのに、不眠症を発症して眠れないというサイクルができる恐れもあるので、疲れにくい身体づくりを意識して生活しましょう。
症状④:普段より汗をかきやすくなる
男性更年期障害を発症すると、ホットフラッシュという症状を引き起こす場合があります。
ホットフラッシュとは、突然大量の汗をかいたり睡眠中に汗をかきやすくなったりと、発汗作用に異常が生じる症状のことです。自律神経が乱れて発汗作用を促す「血圧」をコントロールできなくなるのが原因であり、汗だけでなく臭い問題を生み出す恐れがあります。
特に気温が高いわけではないのに大量の汗をかく人もいれば、少し動いただけでシャツがびっしょりと濡れてしまう人など、さまざまな症状が出てしまうのが特徴です。ホットフラッシュを改善したいのなら、男性ホルモンの減少を抑制する対策が欠かせません。
症状⑤:性欲減退・EDを発症する
男性更年期障害を発症すると、性欲減退やEDになる場合があります。男性ホルモンの低下は、性欲をダイレクトに減退させてしまうため、勃起力や持続力を衰えさせるのが特徴です。
男性機能に関する症状は、パートナーとの関係を悪化させる原因になる恐れがあります。性欲減退やEDになってしまったのなら、そのまま放置するのではなく改善のために治療を利用しましょう。
症状⑥:頻尿を引き起こす
男性更年期障害を発症すると、男性ホルモンに含まれる「バソプレシン」という成分が減り、頻尿を引き起こしてしまいます。バソプレシンとは、尿を濃縮する働きがあるホルモンのことです。バソプレシンが減少すると、膀胱に尿を長時間維持できなくなってしまい、すぐトイレに行きたくなります。
頻尿は、夜中に何度も目が覚めてしまう原因となり、不眠症を悪化させてしまうかもしれません。不眠症改善に関わる問題ですので、トイレが近いとお悩みなら早めに改善しましょう。
男性更年期障害を早める3つの原因
男性更年期障害は、40代前半~50代後半と発症までに約20年程度のふり幅があります。ただし、以下に示す3要素が習慣化している人の場合、発症が早まってしまうことをご存じでしょうか。
- ・肥満・運動不足
- ・ニコチン・アルコール
- ・ストレス
更年期障害を予防することはもちろん、なるべく発症しないためにも発症を早める原因を理解しておきましょう。
原因①:肥満・運動不足
男性更年期障害は、肥満および運動不足によって発症が早まります。40代前半~50代後半は加齢に伴って、運動量が減っていく年齢です。
運動不足によって体重が増えてくると、次のような問題を引き起こしてしまいます。
- ・脂質異常
- ・高血圧
- ・動脈硬化
- ・糖尿病
上記のような問題は、そのまま老化に影響します。徐々に男性ホルモンの分泌量が減ってしまうため、自然と男性更年期障害の発症を早めてしまうのです。
原因②:ニコチン・アルコール
男性更年期障害は、タバコに含まれる「ニコチン」、お酒に含まれる「アルコール」によって発症が早まるといわれています。もともとニコチンとアルコールには、骨密度の減少や脳の萎縮など、老化を進行させるのが特徴です。
特に更年期に近い人は、若い頃に比べてニコチンやアルコールの許容量が減ってしまい、少量の摂取で気持ち悪さを感じてしまうようになります。少量のタバコやお酒でも老化が進行してしまうことから、早い時期から男性ホルモンが減少し始めるのです。
原因③:ストレス
男性更年期障害は、ストレスによって発症が早まります。過度なストレスは脳を委縮させてしまうことから、溜め込むほど老化が進んでしまうのが特徴です。
仕事や日常生活のストレスを発散できずにいると、更年期が始まる40代からすぐに更年期障害を発症するかもしれません。
自分で始められる不眠症の改善方法
男性更年期障害による不眠症を解決したいのなら、まずは自分で始められる改善方法を試してみましょう。
不眠症は、自律神経の乱れを整えることによって改善できます。習慣を見直していけば、少しずつ改善できる場合もあるため、始めやすい方法からチャレンジしてみてください。
改善方法①:生活リズムを正す
男性更年期障害による不眠症を改善したいのなら、生活リズムを正すことが大切です。例えば、食事時間を正したり、就寝・起床時間を一定のリズムにしたりと、生活の時間を整えることが不眠症の改善に役立ちます。
普段から寝る時間がバラバラの人や昼夜逆転した生活をしている人は、少しずつ生活リズムを整えてみてください。
改善方法②:日光を浴びる
男性更年期障害による不眠症を改善したいのなら、できる限り日光を浴びるようにしましょう。
日光を浴びると、ビタミンDそしてセロトニンという物質が生成されることをご存じでしょうか。ビタミンD・セロトニンには自律神経を整えて、快適な睡眠を促す効果があります。日光浴を15〜30分程度行えば十分なビタミンD・セロトニンが生成されるので、ぜひ日光を浴びる生活を始めてみてください。
ただ、ひとつ注意点として、日光浴中の日焼け止めはビタミンD・セロトニンの生成を抑制してしまいます。日焼けを気にしている方は、日差しの弱い朝方に実施するのがおすすめです。
改善方法③:運動を習慣化する
男性更年期障害による不眠症を改善したいのなら、運動を習慣化しましょう。運動には、程よい疲労と眠気を誘う効果があります。
例えば、次に示す有酸素運動が不眠症の改善におすすめです。
- ・ウォーキング
- ・ジョギング
- ・水泳
- ・サイクリング
30分程度の運動であれば筋肉痛にもなりにくく、日常生活に支障が出にくいのが特徴です。
隙間時間や帰宅時間などを利用して、運動を始めてみてはいかがでしょうか。ただし、激しい運動は逆に覚醒を促してしまうため、激しい筋トレや無理な運動は、なるべく控えるようにしてください。
改善方法④:ストレス解消できる趣味を見つける
不眠症によってストレスを感じているのなら、ストレス解消できる趣味を始めてみてはいかがでしょうか。
もし趣味がないとお悩みなら、次の項目などを趣味にするのがおすすめです。
- ・創作活動
- ・スポーツ
- ・旅行
- ・食事
趣味には、仕事や人間関係によって発生するストレスを解消してくれる効果があります。ストレスを溜め込んだままでいると、不眠症が続くことはもちろん、抑うつ状態になる恐れもあるため、続けやすい趣味を探してみてください。
改善方法⑤:寝る前のアルコール・カフェインを避ける
寝る前にアルコールやカフェインを摂取している方がいるのなら、不眠症を改善するために、ビールやコーヒーを飲む頻度を減らしましょう。
アルコールを摂取すると利尿作用が促進されて、夜中に何度も目が覚めてしまいます。また、カフェインにも覚醒効果があるので、不眠症を誘発してしまうのが特徴です。
睡眠時はアルコール・カフェインが抜けた状態で眠るのが最適であるため、就寝前3時間はアルコールやカフェインを控えることをおすすめします。
クリニックで受けられる男性更年期障害の改善方法
自身で男性更年期障害による不眠症を改善できないのなら、クリニックに相談してみてください。
最後に、クリニックで受けられる改善方法を3つご紹介します。
改善方法①:生活改善アドバイス
クリニックに相談すれば、自身の生活改善に対してアドバイスをもらえます。
生活状況をカウンセリングしてもらうことによって、プロの医師から相談者に最適な改善方法を教えてもらえるのがポイントです。改善方法が分からない人、いろいろと試しているけど改善されないという人は、ぜひ生活改善のアドバイスを受けてみましょう。
改善方法②:漢方治療
効率よく不眠症を解消したいけれど、投薬による治療が苦手だという人も多いでしょう。クリニックでは、漢方治療が受けられることをご存じでしょうか。
相談者の悩みを解決できる漢方を提案してもらえることから、自身の体調に合う漢方を見つけられます。また、薬を服用する際に発生する「副作用」を回避できるのが魅力です。
投薬治療に不安を感じているなら、漢方治療について相談してみてください。
改善方法③:男性ホルモン(テストステロン)治療
どうしても男性更年期障による不眠症を改善できないとお悩みなら、クリニックで男性ホルモン治療を受けてみてはいかがでしょうか。
男性ホルモン治療とは、男性更年期障害の発症によって低下した男性ホルモンを、テストステロン注射によって補充する治療のことです。保険適用の治療法であり、男性更年期障害の進行を抑制するほか、不眠症の改善効果があります。
直接男性ホルモンを補充できることから、すぐに改善していくのがポイントです。ただし、肝器官障害や多毛といった副作用もあるので、医師と相談したうえで利用を検討してみてください。
まとめ
男性の中には、更年期を迎えると男性ホルモンが減少する男性更年期障害を発症する場合があります。男性更年期障害を発症すると、健康の維持に欠かせない男性ホルモンが生成されにくくなることから、自律神経が乱れてしまい、寝ようとしても眠れない「不眠症」になるかもしれません。
もしトラブルを回避したいのなら、自身で始められる改善方法やクリニックへの相談を検討してみてください。クリニックでは、豊富な治療法が用意されています。ヒアリングによって判明したあなたの症状に合う最適な治療法を提案してもらえるでしょう。
よくある質問
Q.最近眠れないけど何が原因なの?
A.更年期を迎えた男性の場合、男性更年期障害を発症していることが原因かもしれません。
男性ホルモンが生成されにくくなったことにより、自律神経が乱れて眠りにくい状態になります。また、抑うつ状態や疲労を引き起こす恐れもあるため、生活習慣の改善やクリニックに相談して解決していきましょう。
Q.男性更年期障害による不眠症の改善方法はあるの?
A.不眠症の改善方法は「自分で始められる不眠症の改善方法」「クリニックで受けられる男性更年期障害の改善方法」で詳しく解説しています。
主な改善方法を以下に整理しました。
【自分で始められる不眠症の改善方法】
・生活リズムを正す
・日光を浴びる
・運動を習慣化する
・ストレス解消できる趣味を見つける
・寝る前のアルコール・カフェインを避ける
【クリニックで受けられる男性更年期障害の改善方法】
・生活習慣アドバイス
・漢方治療
・男性ホルモン(テストステロン)治療