朝起きられない原因は病気のせい?
朝目覚まし時計が鳴っているにもかかわらず、聞こえずになかなか起きられない原因には、次のような病気が潜んでいる可能性があります。
睡眠相後退症候群(概日リズム睡眠障害)
概日リズム睡眠障害とは、地球の昼夜サイクルとは異なるタイミングで睡眠や覚醒をするようになる疾患です。
「夜になっても眠くならない」「朝になってもなかなか起きられない」などの症状を引き起こします。
その中でも、特に明け方近くにならないと眠気がやって来ず、その反動で昼過ぎにならないと起きることができなくなった状態を「睡眠相後退症候群」と呼びます。
この症状は、特に10代〜20代の若い世代で多く見られ、学校生活や社会生活と同じリズムで活動することができなくなり、生活に支障をきたすのが特徴です。
また、うつ症状が出やすくなったり、不安感が強まったり、朝になると極度の疲労感や倦怠感に襲われたりなどの体調不良を感じることもあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、さまざまな原因で睡眠中に気道が狭くなり、しばしば無呼吸状態(呼吸が止まってしまう)に陥る病気です。
主な症状は、慢性的な睡眠不足や、日中の強い眠気、倦怠感、集中力の低下などがあげられます。そして、無呼吸を起こしている自覚が非常に乏しいのがこの疾患の特徴です。
ゆえに、睡眠時間は十分に確保しているにもかかわらず、「朝なかなか起きられない」「朝目が覚めてもスッキリしない」といった感覚を覚えます。
さらに、この疾患は治療が遅れると高血圧や糖尿病、脳卒中、心筋梗塞といった危険な合併症を引き起こすのも特徴です。あわせて、日中の強い眠気や居眠りによる交通事故も大きな問題となっています。
起立性調節障害
起立性調節障害は自律神経の働きが悪くなることで、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
起き上がることが難しくなるため、朝になかなか起きることができない、朝の食欲不振、全身倦怠感、頭痛、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみなどの症状が起こります。
ですが、症状を強く感じるのは主に午前中で、午後からは体調が回復することが多いです。朝は全く動けないのに対し、夜には元気になり、逆に目が冴えて眠れないこともあります。
症状があるときは迷わず病院へ
「最近朝なかなか起きられない…」と悩む人で、上記で紹介したような症状に心当たりがある場合は、迷わず病院へ行きましょう。
本来、人間は特に何もしなくても夜になれば眠気を感じて休み、朝になれば自然と目が覚めて活動することができます。それができなくなるということは、心や体に何らかの異常が起こっている可能性が高いです。
ですから、朝起きられないことは決して甘えではありません。体や心から発せられたSOSサインだと思って、専門家の正しい診察と治療を受けるようにしてください。
病気以外で考えられる原因は?
ここまで、朝アラームが鳴っているのに、なかなか起きることができない原因になり得る疾患について見てきましたが、病気以外ではどのような原因が考えられるでしょうか?
目覚まし時計の不具合
まずは、目覚まし時計そのものの不具合が考えられます。アラームの音が小さすぎないか、そもそも鳴っているのか、確認してみてください。
また、最近はスマホのアラーム機能を使っている人も多いかもしれませんが、スマホの機種やアプリごとにアラームの設定方法は異なります。そのため、あらかじめ音を出して音量のチェックをしておきましょう。
目覚まし時計をかける時間帯が悪い
目覚まし時計のかけ方に問題があるケースも考えられます。
そもそも、あなたは自分が何時間の睡眠時間を必要としているか知っていますか?個人差はありますが、人間は基本的に7〜8時間、少なくとも6時間の睡眠時間が必要だといわれています。
そして、人間の睡眠には深い睡眠のノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠があり、それが約90分ごとに代わる代わる現れています。起床時間近くになれば、20分交代で現れるようになりますが、8時間睡眠を必要とする人がたったの4時間で目覚めようとしても、まだ深い眠りの最中である可能性が高いです。
そのため、たとえどんなに大きな音でアラームを鳴らしても、通常の睡眠時間よりも極端に早い時間ではまだ睡眠が深く、アラームの音が聞こえない場合があります。
ですので、アラームをセットした時間が、自分の睡眠時間に見合った起床時間か、もう一度見直してみてください。
朝スッキリ起きるための改善策
では、ここからは朝スッキリ起きるための改善策について解説していきます。
アラームを2段階でセット
上記でアラームのかけ方について触れましたが、人間の睡眠パターンを利用したアラームのかけ方があります。それが、「2段階アラーム」です。
この方法は、明け方近くになると20分おきに現れるようになるレム睡眠の性質を利用し、アラームをセットしておくという方法です。
具体的なやり方は次の通りです。
1回目のアラームは起床時間の20分前、かつ「小さい音を、短めに」
朝6:00に起床する場合で考えてみましょう。
まずは、起きたい時間の20分前、すなわち5:40に1回目のアラームをセットします。もし、このときにレム睡眠の段階であれば、浅い眠りであるためにパッと目を覚まし、スムーズに活動を開始することができます。
このときのポイントは、「小さい音を、短めに」セットすることです。万が一、1回目のアラームが鳴ったタイミングがノンレム睡眠だった場合、大きな音を鳴らすと爆音で叩き起こされて目覚めが悪くなってしまいます。ゆえに、1回目のアラームは、ギリギリ聞き取れる音をごく短時間で流すようにしましょう。
2回目のアラームは起床時間に、かつ「大きい音を、長めに」
「でも、そんな小さい音だと聞き逃してしまうのでは?」と思った人もいるでしょう。確かに、1回目のアラームが鳴ったときにノンレム睡眠だった場合、深い睡眠中なのでアラームの音は当然聞こえず寝過ごしてしまいます。
ですが、問題はありません。寝過ごしを防ぐために、アラームを2段階でかけるのです。
1回目のアラームが鳴ってから20分後、すなわち起きたい時間にかける2回目のアラームは、「大きな音を、長めに」かけます。もし、1回目のアラームでノンレム睡眠だったとしたら、20分経過した2回目のアラーム時はレム睡眠に切り替わっている可能性が高いです。
つまり、高確率で現れるレム睡眠を逃さないために、2回目のアラームは絶対に起きられる大きな音を長めにセットして、確実に目覚めるというのが「2段階アラーム」の戦法です。
この方法であれば、目覚ましが聞こえない事態を高確率で避けることができるうえ、目覚めも良く覚醒することが期待できます。
毎日同じ時間に就寝・起床する
「朝起きられない」を改善するには、毎日の睡眠を習慣化するのも大変効果的です。その第一歩として、平日・休日にかかわらず毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起きるようにしましょう。
おそらく、「平日頑張って働いた分、休日くらいは多めに寝ていたい」と寝だめしてしまう人は多いかもしれません。ですが、こうした習慣は体内時計の乱れを引き起こし、仕事が始まる月曜日の朝に「体がだるくてしんどい」「なかなか起きられない」と感じる「ブルーマンデー」の原因にもなります。
ですので、平日・休日に関係なく、就寝と起床時間は毎日同じ時間に設定しましょう。
夜のスマホは最小限に
スマホやゲーム、テレビ画面などが発する光には、ブルーライトが多く含まれています。ブルーライトとは、デジタルデバイスなどが発している青色の光線で、長時間浴びると脳に覚醒を促し、眠気を遠ざける作用があります。
最近は、多くの人がスマホを持ち歩き、寝る直前までブルーライトを浴びるようになりました。その結果、夜になってもなかなか眠気が来ず、寝る時間が遅くなって朝なかなか起きられなくなる人が増えています。
ですので、朝気持ちよく目覚めるためには、夜に操作するスマホは最小限にし、寝る直前までの使用を控えるようにしましょう。
朝起きたら日光を浴びる
上記で「ブルーライトは眠気を遠ざけるからNG」とお伝えしましたが、覚醒時には大変有効なツールになります。
ブルーライトはスマホなどのデジタルデバイスが多く発していますが、それよりもたくさんのブルーライトを発しているものがあります。それは、太陽です。
起床時に太陽を浴びれば、ブルーライトの覚醒効果が脳に働き、眠気を遠ざけ、体を活動モードに切り替える手助けをしてくれます。ですので、朝起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を全身に浴びましょう。
ただし、浴びるといっても、わざわざ外に出て浴びる必要はありません。カーテンを開けて、窓から入る光を数分浴びる程度でOKです。このとき、日光を直接目で見るのは、目にダメージとなる危険があるので控えてください。
また、天気が悪くて太陽が見えなくても問題ありません。雨や曇りの日でも太陽の光はしっかり届いているので、十分に覚醒を促す効果があります。
朝食は必ず食べる
最近は、朝は忙しいから朝食を食べないという人が増えていますが、それではいつまでも脳が覚醒モードに切り替わらず、頭はボーッとしたままでパフォーマンスも上がりません。
ですので、朝スッキリ目覚めて元気に活動したいなら、朝ごはんは毎日必ず食べるようにしましょう。
朝ごはんを食べると、睡眠中に低下した体温を上昇させて活動しやすくなるのに加え、しっかり噛むことで刺激にもなり、より眠気を遠ざけられます。
朝食のメニューは自分の好きなもので構いませんが、できれば温かい味噌汁やスープにあわせて歯ごたえのあるもの(漬物やりんご、カリカリベーコン)などを摂ると良いでしょう。
まとめ
今回は、朝起きれない原因と、その改善策について解説しました。
長期間、目覚ましが鳴っているのに朝なかなか起きることができない状態が続いているときは、疾患が隠れている場合があります。その際は躊躇せず、医療機関を受診するようにしてください。
よくある質問
Q.最近目覚まし時計をセットしているにもかかわらず、朝なかなか起きれません。何かの病気でしょうか?
A.睡眠相後退症候群(概日リズム睡眠障害)、睡眠時無呼吸症候群、起立性調節障害の可能性があります。概日リズム睡眠障害については、「【睡眠障害と何が違う?】概日リズム睡眠障害とは?原因や解消方法をご紹介」で紹介しています。
Q.朝スッキリ起きるためには、どうやって目覚まし時計をセットすれば良いですか?
A.1回目のアラームは、起床時間の20分前に「小さい音を、短めに」し、2回目のアラームは起床時間に「大きい音を、長めに」セットします。こうすることで、浅い眠りのノンレム睡眠時に確実に目覚めることができるため、スムーズに覚醒することができます。