そもそもブルーライトって何?
そもそも、ブルーライトとはどのような光なのでしょうか?
ブルーライトとは
ブルーライトは太陽をはじめ、スマホやパソコンなどのデジタルデバイス、LED電球などが発している、波長が380〜500nmの青色の光線です。
光は、それぞれが出す波長によって色が変化し、私たちの目に届きます。ブルーライトは、その中でも青色の光を発しているため、ブルーライトと呼ばれています。
ブルーライトの特徴
ブルーライトの特徴は、可視光線(人の目で見ることのできる光)の中で、最も波長が短いことです。光には、波長が短くなるとエネルギーが強くなる性質があります。
なぜ、波長が短いとエネルギーが強くなるのでしょうか?それは、波長が短ければ短いほど、光は他のものにぶつかりながら進むため、強いエネルギーを持つ(破壊力が高まる)ようになるからです。
その証拠に、ブルーライトの次に波長が短い紫外線(およそ400nm以下の目には見えない光)は、長時間浴びると肌を日焼けさせ、炎症を起こすほどのエネルギーを持ちます。また、紫外線よりもさらに波長が短いエックス線やガンマ線も、強いエネルギーを持つことから、がんの治療に使われています。
ブルーライトが睡眠に与える影響
では、どうしてブルーライトを浴びると覚醒し、眠れなくなってしまうのでしょうか?それは、ブルーライトの波長が短く、エネルギーが強いことが原因です。
- 眼精疲労
- 睡眠障害を引き起こす
眼精疲労
このように、ブルーライトには体内時計を乱し、メラトニンの分泌を妨げることがあります。そして、長時間のブルーライトは、目にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
ブルーライトには、光が散乱し、一方向に進まない性質があります。散乱光はまぶしく、いろんな方向に反射するため、対象物がチラついて見えるようになります。これにより、目は頻繁にピント調節をしてしまうので、眼精疲労を感じるようになります。
また、ブルーライトが波長の短い光であることも、原因のひとつです。光は、波長が短くなるほどエネルギーが強くなるため、ブルーライトを長時間見続けると、目を疲れさせることにつながります。
その結果、眼精疲労が溜まり、目の不快感から睡眠の質の低下につながる恐れがあるのです。
眼精疲労を溜め込まないために有効なグッズの1つとして、ホットアイマスクが挙げられます。「おすすめのホットアイマスク8選」の記事では、おすすめや自分に合ったアイマスクを選ぶポイントなどを紹介しています。
睡眠の質の低下を招く
ブルーライトの影響で睡眠の質が下がる恐れがあります。睡眠の質低下すると、1日の疲労を十分に回復できず、日中強い眠気に襲われたり、集中力が続かなくなったりします。
また、睡眠の質が慢性的に低くなってしまうことで、睡眠障害を招く恐れも。睡眠障害は日中のパフォーマンス低下に繋がり、仕事や運転中などに眠気が来ると、重大な事故を引き起こす危険性もあります。睡眠障害の一つである不眠症について詳しく知りたい方は、「不眠症の原因・症状・改善法をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
ブルーライトが睡眠に影響を与える理由
ブルーライトの影響で睡眠障害を引き起こす理由には、次のようなものがあります。
- 体内時計の乱れを引き起こす
- メラトニンの分泌を阻害する
体内時計の乱れを引き起こす
人間は、夜中に長時間ブルーライトを浴び続けると、体内時計の乱れを引き起こします。
体内時計とは、人間にもともと備わっている固有のリズムで、あらゆる生理的現象を司る重要な生体機能のひとつです。特に、睡眠はこの体内時計に含まれる概日リズム(サーカディアンリズム)によってコントロールされています。
この概日リズムに、ブルーライトは影響を及ぼします。可視光線の中でも最も波長が短いブルーライトは、他の可視光線と比べてエネルギーが強いため、網膜の奥までしっかりと光が届きます。すると、光を感じ取った網膜は脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)に情報を送り、概日リズムを調整して覚醒させようとします。
これにより、脳は夜にもかかわらず「朝が来た」と錯覚し、目が冴えて眠れなくなってしまうのです。
また、体内時計が乱れるとうつ病などの精神障害を引き起こす恐れも。不眠症とうつ病の関係性について知りたい方は、の記事をご覧ください。
メラトニンの分泌を阻害する
体内時計の乱れは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌にも影響します。
ブルーライトの放つ強い光が網膜に届くと、眠りを誘うメラトニンの合成・分泌を抑制するように、脳の松果体(しょうかたい)に指令が送られます。本来、メラトニンの分泌は朝起きてから約15時間経過すると自然と高まり、眠りを促すよう体内時計でコントロールされています。ですが、そのリズムをブルーライトが崩してしまうことで、本来分泌されるはずだったメラトニンが正しく分泌されず、いつまで経っても寝つけなくなってしまうのです。
ブルーライトによる睡眠への影響を防ぐ対策
ブルーライトは、使い方次第で薬にもなれば、毒にもなります。重要なのは、夜間に長時間浴びないことです。
ですが、スマホやパソコンなど、デジタルデバイスが普及した現代社会において、ブルーライトを100%カットするのは難しいでしょう。そこでここからは、睡眠の質を下げないために、ブルーライトと上手に付き合う方法についてご紹介していきます。
暖色系の明かりで睡眠スイッチオン
まず、夜間に使用する明かりは、白色光から暖色系の明かりに切り替えます。LED照明や蛍光灯が発する無色透明な光は、ブルーライトを多く含んでいるため、睡眠には不向きです。その点、暖色系の赤みがかった光は波長が長いため、体内時計やメラトニン分泌への影響を最小限に抑えることができます。
そのため、夕方以降は暖色系の明かりをつけるようにしましょう。おすすめなのが、足元や家具の後ろから優しく照らす間接照明を使うことです。天井から直接照らさないため、刺激が抑えられ、眠りを誘発するのに適しています。
さらに、寝る1時間前には照明の明るさをより落とすことで、メラトニンの分泌を促し、眠りやすくなる効果が期待できます。
夜遅くのスマホはNG
部屋の明るさの調節ができたら、次はスマホやパソコンの使用を控えましょう。デジタルデバイスを使う時間が長くなればなるほど、ブルーライトの影響はその分大きくなります。
また、長時間スマホやパソコンを使用すると、脳が刺激されて交感神経が活発になってしまうため、さらに眠りにくくなります。
ですので、まずは「なんとなくスマホを見る」、「夜遅くまでパソコンゲームをしてしまう」といった生活習慣の改善に取り組みましょう。自分で使用時間の制限を決めて、アラームを設定しておけば、つい使い過ぎてしまうことを防げます。
さらに、最近はスマホの使い過ぎを防止するアプリなどもたくさん開発されています。スマホの使用時間をグラフで示してくれるものや、設定した時間の間ロックがかかってスマホが使えないようになるものなど、機能はさまざまです。ぜひ、自分のライフスタイルにあったアプリを利用してみてください。
ブルーライトカットメガネも有効
ときには、仕事などで夜遅くにスマホやパソコン作業をしなければいけない場合もあるでしょう。
そんなときは、ブルーライトカットメガネを使用するのがおすすめです。ブルーライトカットメガネは、画面から目に入るブルーライトの影響を和らげる効果が期待できます。
各メガネショップなどで簡単に購入することができるほか、自分が持っているメガネのレンズに、ブルーライトカット機能を施してくれるサービスもあります。お近くのメガネ販売店で、一度相談してみると良いでしょう。
また、スマホやパソコンの画面に、ブルーライトを軽減してくれるディスプレイカバーを貼るのも効果的です。こちらも、さまざまな商品が市販されているので、使いやすいものを選ぶようにしてください。
ブルーライトが体に与える良い影響
上記のように、夜間に長時間ブルーライトを浴びると覚醒が促され、眠りにくくなることに加えて、目にも悪影響を及ぼすことがわかります。
しかしだからといって、ブルーライトがすべて悪いかというと、そうではありません。ここからは、ブルーライトが私たちの体に与える良い影響について説明していきます。
太陽のブルーライトは体内時計を整える
睡眠を含めた、私たちのあらゆる生理的活動が体内時計にコントロールされていることは、先ほど説明した通りです。この体内時計は、地球の自転に合わせて動いていますが、実は地球が1周する24時間にピッタリ一致しているわけではありません。実際は24.2時間で、少々ズレがあります。
そのため、体内時計のズレが修正されないと、私たちの体内時計は徐々に遅れ、いずれ地球の明暗周期に合わなくなってしまいます。このズレを修正しているのが、太陽です。
網膜が太陽のブルーライトを感知すると、体内時計の中枢である視交叉上核に情報が伝わります。すると、地球の自転と体内時計のズレを解消し、全身に「朝だ!起きろ!」と指令を送ります。このように、私たちが朝になると自然と目が覚めて、活動を開始することができるのは、太陽が発するブルーライトのおかげといえるでしょう。
つまり、ブルーライトそのものが悪いわけではなく、本来浴びるはずのない夜間に、スマホやパソコンなどでブルーライトを長時間浴びてしまうことが問題なのです。
覚醒作用で寝覚が良くなる
ブルーライトが本来持つ覚醒作用をうまく利用すれば、寝起きでぼんやりとした朝の頭をすっきりと目覚めさせる効果も期待できます。
やり方は次の通りです。
朝起きたらカーテンを開けて、すぐに太陽の光を浴びましょう。このとき、太陽の光を直接見ると、目を痛めてしまう可能性があるのでNGです。直接見なくても、十分に覚醒効果を得ることができます。また、天気が悪くて太陽が見えない場合でも、覚醒に必要な光は目に届いているため、問題ありません。
まとめ
今回は、ブルーライトがどうして睡眠に影響を与えてしまうのか、そのメカニズムについて詳しく説明しました。
ブルーライトは、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスに多く含まれている光です。可視光線の中で最も波長の短い光であるため目の奥まで届きやすく、体内時計やメラトニンの分泌に影響を与えます。加えて、長時間見続けることによる眼精疲労や、視力低下への影響も懸念されています。
しかしだからといって、「ブルーライト=悪者」と決めつけ、排除しようとするのは正しくありません。
太陽の光に含まれるブルーライトを起床時に浴びることで、体内時計がリセットされ、地球の自転と体内時計のズレをなくすことができます。これは、人間にもとから備わっている生体機能で、このリズムに逆らって、夜間にスマホなどでブルーライトを浴びてしまうために、地球の明暗周期との不一致が生まれてしまうのです。
大切なのは、夜にブルーライトを極力浴びないことです。スマホやパソコン作業は最小限に抑え、部屋の照明も暖色系の赤みがかった色味にすることで、眠りやすくなる効果が期待できます。
このように、上手に付き合っていけば、ブルーライトは睡眠の敵ではなく、むしろ味方になります。ぜひ、この機会に自分のスマホ・パソコン習慣を見直し、ブルーライトを適切に活用できるライフスタイルをはじめてみませんか?
よくある質問
Q.どうして、ブルーライトが睡眠に悪影響を及ぼすの?
A.ブルーライトはとてもエネルギーの強い光のため、目の奥まで届きやすい特徴があります。そのため、スマホなどで夜間に長時間浴び続けると、脳が「朝が来た」と錯覚し、眠りにくくなってしまうのです。また、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を阻害する働きもあるため、さらに睡眠に影響を及ぼします。
Q.ブルーライトとの上手な付き合い方は?
A.ブルーライトは、夜間に浴びると悪影響がありますが、すっきりと目覚めたい朝には良い効果を発揮します。朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を全身に浴びましょう。すると、覚醒が促され、スムーズに活動を開始することが期待できます。