ロングスリーパーとは?
まずは、ロングスリーパーとはどのような性質を持った人のことを指すのか、解説していきます。
平均睡眠時間が8〜9時間以上
ロングスリーパー(長時間睡眠者)とは、その名の通り、睡眠時間が極端に長い人のことを指します。ですが、医学的や科学的にどれくらい眠ればロングスリーパーと呼ばれるのか、明確な定義はありません。ただ、一般的には1日の平均睡眠時間が8〜9時間以上の人をロングスリーパーと呼ぶのが妥当と考えられています。
また、ロングスリーパーの割合は、全体の約3〜9%だといわれていて、日本国内では5〜10%ほどいるとされています。ちなみに、短時間睡眠であるショートスリーパーの割合は、全体の1%未満です。
実は多い?ロングスリーパーな有名人7選
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では、ロングスリーパーの特徴を持つ偉人・有名人にはどのような人物がいるのでしょうか?代表的な7名を紹介していきます。
天才物理学者 アルベルト・アインシュタイン
まずは、誰もが知る天才物理学者のアルベルト・アインシュタインです。
「相対性理論」をはじめとして、さまざまな物理学の理論を提唱し、その後の科学の発展に大いに貢献しました。その功績から、「現代物理学の父」や「20世紀最高の物理学者」と呼ばれています。
そんなアインシュタインですが、1日の睡眠時間はなんと10時間だったといわれています。しかも、寝室には鍵をかけ、いっさい人を近づけないという徹底ぶりです。天才的な発見をするために、睡眠を非常に大切にしていたのですね。
ノーベル物理学賞 小柴昌俊
日本人にも、ロングスリーパーな研究者がいます。物理学者の小柴昌俊(こしばまさとし)教授です。
彼は、2002年にノーベル物理学賞を受賞し、「日本の物理を世界レベルにまで押し上げた」とも呼ばれる功績を残しました。
そんな小柴教授の睡眠時間はなんと約11時間で、前述のアインシュタインを上回る長さです。しかも、毎晩8時に就寝し、朝7時に起床する生活を毎日続けていたというのですから、こちらもかなり徹底して睡眠を管理していたことがうかがえます。
メジャーリーガー イチロー選手
スポーツ界にも、ロングスリーパーで成功をおさめた名選手がいます。日本が誇るメジャーリーガー、イチロー選手もそのひとりです。プロ野球時代からメジャーに渡ってからも、数々の記録を打ち立て、引退した現在でも野球界で活躍を続けています。
そんなイチロー選手は、毎日8時間の睡眠を取っていました。彼はルーティンを非常に大切にすることで有名で、翌日の試合開始時間から逆算して、就寝、起床、食事の時間など、すべての予定を徹底的に管理していました。
たくさんの輝かしい功績を思うと、彼にとって毎日のルーティンがどれほど大切だったかがわかりますね。
プロゴルファー タイガーウッズ
プロゴルファーのタイガーウッズも、ロングスリーパーです。
その輝かしいキャリアは、誰もが知るところでしょう。メジャー選手権では優勝15回、史上2人目のトリプルグランドスラム達成、歴代1位の記録である生涯獲得賞金額1億ドルを突破など、あげるとキリがありません。
そんな彼も、1日約10時間も眠ります。朝5時に起床して10時間の練習をこなした後は、3時間ほど趣味のテレビゲームなどをして過ごし、残りの時間は睡眠に充てるという生活スタイルだったそうです。
度々世間をお騒がせすることもあったタイガーウッズですが、すばらしい記録を出すために「睡眠・練習・趣味」の3本柱は欠かさず行っていたのですね。
元横綱白鵬(現宮城野親方)
元横綱白鵬もロングスリーパーの特性を持つ人物です。
白鵬は第69代横綱で、現在は宮城野親方を襲名しています。現役時代の幕内優勝は45回で、過去最高記録を樹立しました。圧倒的強さを誇った、大横綱です。
そんな白鵬関もロングスリーパーの1人ですが、その睡眠時間はまさに桁外れです。なんと、夜に10時間、昼に6時間も睡眠時間を確保していたとのことです。1日で合計16時間も眠るなんて、睡眠時間も横綱級ですね。
元F1チャンピオン ミハエル・シューマッハ
元F1レーサーのミハエル・シューマッハも、一般の人よりも多くの時間を睡眠に充てています。
ミハエル・シューマッハは、元レーシングドライバーで、ドイツ人初のF1ドライバーズチャンピオンになった人物です。歴代優勝回数は91回で過去最多、7度のチャンピオン獲得など、F1の主な個人記録をいくつも更新しました。
そんなシューマッハも、1日に最低12時間の睡眠を必要とするロングスリーパーです。「最低12時間」と伝わっているところを見ると、実際はもっと多く眠っている日もあったかもしれません。
一歩間違えば命を落とす危険もあるF1の世界で、強靭な集中力を維持するためには、それだけの睡眠時間が必要だったのでしょう。
漫画家 水木しげる
最後に、日本の有名な漫画家、水木しげるさんのロングスリーパーエピソードをご紹介します。
水木しげるさんは、「ゲゲゲの鬼太郎」や「河童の三平」などの妖怪を題材にした漫画を数多く発表した、妖怪漫画の第一人者です。また、自身の壮絶な戦争体験を元に執筆した「総員玉砕せよ!」も有名です。
そんな水木さんも、普段は9時間〜10時間、多い時は12時間近く睡眠を取っていたといいます。子供の頃からマイペースな性格で、晩年になっても長時間睡眠を行っていたようです。人の心をうつ作品や発想は、たっぷり睡眠の賜物だったのかもしれません。
睡眠時間は長い方が良い?短い方が良い
上記のように、睡眠時間を多く確保していたとしても、成功をおさめた偉人・有名人は多くいます。
しかし、睡眠時間が極端に短いショートスリーパーとして成功した人もいますよね。代表的なところでいえば、フランスの英傑ナポレオン・ボナパルトや発明家のエジソン、お笑い芸人の明石家さんまさんなどです。
では、睡眠時間は長い方が良いのでしょうか?それとも、短い方が成功できるのでしょうか?
睡眠時間は長過ぎても短過ぎてもダメ
結論をいうと、睡眠時間は長過ぎても短過ぎてもいけません。ごく一部の成功者の真似をして生活リズムを乱すことは、さまざまな悪影響をもたらします。
睡眠不足は経済損失を生む
睡眠不足は、個人のパフォーマンスを下げるだけでなく、ひいては社会全体の経済損失につながります。
アメリカのシンクタンクの調査によると、「日本における、睡眠が正しく管理されていないことによる経済損失」は、年間約1,380億ドル、約15兆円にものぼるといわれています。
それもそのはずです。睡眠不足の状態で仕事に臨んでも、頭が働かないため生産効率が落ちます。また、ミスやトラブルも増えるので、事故や労働災害を起こすリスクも高まります。そして、睡眠不足は生活習慣病やうつ病、がんなどの疾患を引き起こし、最悪命を落とすことにもつながります。
睡眠不足は、個人の健康を害するだけでなく、産業事故をはじめ社会全体で大きな損失を生むのです。
寝過ぎも健康リスクを高める
しかし、ただ闇雲に睡眠時間を増やせば良いかというと、そうでもありません。寝過ぎても、健康リスクは高まります。
サンディエゴ大学が行った100万人規模の調査によると、病気で亡くなった人が最も少なかったのは、平均的な睡眠時間である7.5時間睡眠をしている人だと判明しました。
睡眠不足の蓄積が、健康リスクを高めること、それが経済損失につながることは、前述でもお伝えした通りです。しかし、長く寝過ぎると体内時計を乱れさせ、頭痛を引き起こしたり疲れやすくなったりして、かえって不調を招きます。長時間睡眠であっても、個人の健康を脅かすことがあるのです。
睡眠時間は遺伝子によって決まる
それでは、どうしてショートスリーパーやロングスリーパーの人たちは、通常では健康を害する睡眠時間でもすばらしい成功をおさめ、かつ健康でいられるのでしょうか?
それは、彼らには特殊な遺伝子変異があるからです。
スタンフォード大学は、6時間未満の睡眠でも健康を維持している親子の遺伝子を採取し、調査を行いました。その結果、彼らには生体リズムを司る遺伝子(時計遺伝子)に変異があることを突き止めました。また、同じ遺伝子変異を持つマウスを作って健康状態に変化があるか検証した実験でも、マウスは至って健康だったという報告がされました。
つまり、ショートスリーパーは、ごくまれに発生する遺伝子の特殊な変異によるものだと判明したのです。
そして、ロングスリーパーにおいても、遺伝子の突然変異や、睡眠に関わる神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)が体質的に少ないことを原因としている可能性が示唆されています。
睡眠時間が長いロングスリーパーも、特殊な体質を持つかなり珍しい存在といえるでしょう。
成功者であることと睡眠時間に関係はない
しかし、中には「睡眠は短い方が成功できる」「長く眠った方が成功者になれる」と考える人もいるでしょう。ですが、その考えは少々危険だといえます。
確かに、歴史に名を残す偉人や現代でも著名な有名人には、特殊な睡眠習慣を持つ人が多くいます。ゆえに、自分もそのようになりたいと憧れる気持ちもわかります。
ですが、彼らは、成功者になるために睡眠を極端に短く、もしくは長くしたのでしょうか?
おそらく違うでしょう。彼らは、自分が最も快適に、そして確実に成績を残すために必要な睡眠スタイルを模索した結果、ある人は時間が短くなり、またある人は反対に長くなったにすぎません。
前述したように、睡眠時間は時計遺伝子によって決まり、人よりも短い、もしくは長い人は、時計遺伝子や体質に何らかの変異があると考えられます。
そのため、一般の人が彼らの睡眠スタイルを真似すると、体調を崩すばかりか、身も心もボロボロになりかねません。「睡眠時間が短い、もしくは長いこと」と「成功者」であることは、決してイコールにはならないので、安易な考えで真似をするのは絶対にやめましょう。
最適な睡眠時間を見つけることが大切
睡眠時間が長かろうが、短かろうが、成功者たちは共通して、自分が最も快適に過ごせる睡眠時間を把握しています。中には、きっちりルーティンやスケジュールを決めて、睡眠を取っている人もいるくらいです。私たちが真似するならば、その睡眠に対する意識の高さでしょう。
一般的に取ると良いとされている睡眠時間は、6〜8時間です。たいていの人はこれくらいの睡眠時間が必要なので、まずは自分の睡眠時間がこの基準を満たしているか振り返ってみましょう。たとえ、これ以下もしくは以上の睡眠時間が必要だとしても、それが自分にとって快適であれば、無理に矯正しようと焦ることはありません。
また、睡眠前の行動が睡眠の質に影響を与えることもあります。寝る直前までスマホを触っていたり、夜ふかしをしたりすると、いつまでも睡眠の質は上がらず、パフォーマンスの向上にはなりません。よって、成功者たちを見習って、この機会に睡眠前のルーティンを決めるのも効果的だといえるでしょう。
まとめ
今回は、実はたくさんいるロングスリーパーな有名人7選を紹介しました。
彼らは、睡眠時間に多くの時間を費やしながらも、すばらしい功績を残し、現在でも高く評価されています。そして彼らは共通して、自分で決めた睡眠スタイルやルーティンがあり、それをしっかりと実行することで高いパフォーマンスを発揮しました。
私たちも彼らを見習って、自分の睡眠についてきちんと理解するところからはじめたいですね。
よくある質問
Q.ロングスリーパーとは何ですか?
A.明確な定義はありませんが、ロングスリーパー(長時間睡眠者)とは、平均睡眠時間が8〜9以上の人のことを指します。
Q.ロングスリーパーには、どんな人がいますか?
A.天才物理学者のアインシュタインや、元メジャーリーガーのイチロー選手、漫画家の水木しげるさんなどがいます。