不眠症の定義とは?
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
引用:不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本人のおよそ5人に1人が、不眠症といわれる現代。寝ようと思っても寝付けない、夜中や早朝に目が覚めてしまう、浅い眠りでしっかり寝た気がしないなどの睡眠トラブルが続き、仕事や学習パフォーマンスの低下を引き起こします。
不眠症の原因はさまざまで、身体やこころの病気、生活習慣の乱れ、睡眠環境の問題が代表的です。なお男性よりも女性に多く、加齢とともに増加する傾向にあります。
人間関係のストレスや環境の変化などで、一時的に不眠症状を感じたことのある人もいるのではないでしょうか。不眠症は、原因へのアプローチで改善できる可能性があります。
不眠症の原因については、こちらの記事でも紹介しています。
生活習慣の改善
不眠症を疑う人がまず取り組むべきは、生活習慣の見直しです。不規則な生活リズムによって体内時計が乱れ、不眠症になる現代人も多くなっています。
不眠症改善の第一歩として、自分の生活習慣に目を向けてみましょう。
こちらの記事では、ぐっすりと眠れる方法の10選を紹介しています。
寝る時間・起きる時間を一定にする
寝る時間や起きる時間が定まっていないと、寝たい時間に寝付けなかったり、熟睡できなかったりします。
眠くても決まった時間には布団から出て、軽く体を動かしましょう。眠気が取れないからといって、二度寝・三度寝を繰り返していると、身体が混乱してしまいます。
まずは、睡眠時間の固定化から取り組みましょう。
寝る前の過ごしかたを見直す
布団の中で、スマホやタブレットを見ていませんか?ニュースアプリやSNSのチェックが、1日の終わりの習慣になっている人も多いでしょう。
スマホやタブレット、パソコンなどの電子機器は、ブルーライトを発しています。ブルーライトは脳を覚醒させるため、寝つきが悪くなります。
できれば、寝室にはスマホやタブレットを持ち込まず、音楽鑑賞や読書などをして過ごしましょう。
朝日を浴びる
朝の日光を浴びると、体内時計がリセットされます。また朝日には「幸せホルモン」と呼ばれる、セロトニンを分泌する力があります。
ベランダに出て、直接日の光を浴びてもいいですし、カーテンを開けて日光を感じる場所で過ごすのもおすすめです。
そもそも起きる時間が遅いと、朝日を感じられません。早起きをして、朝日を浴びましょう。夜も寝付きやすくなり、幸福度も上がります。
適度な運動
適度な運動は、身体的な疲れを与えます。睡眠を安定させてくれるので、満足度の高い睡眠が期待できます。疲れによって、自然と眠くなる場合もあるでしょう。
また運動は、精神的なリフレッシュにも効果的です。気持ちの良い汗をかくと、ストレスを解消できます。
有酸素運動
有酸素運動は、運動強度が低いものが多く、また全身運動である場合があります。これまで運動習慣のなかった人でも始めやすく、ケガをしにくいのもメリット。
運動習慣のない人は、これを機にジム通いやスポーツサークルの加入を検討しても良いでしょう。継続できるか不安な人は、家族や友人を誘うのもおすすめです。
運動が苦手な人は、徒歩で買い物に出かけたり、いつもの駅より1つ前で下車したりなど、出来る範囲で運動量を増やしましょう。
ストレッチ
仕事や家事で忙しく、ジムや公園などに出かける時間のない人には、自宅でできるストレッチがおすすめです。
最近では、YouTubeでもストレッチ動画を閲覧できます。音楽に合わせて身体を動かせば、気分転換にもなるでしょう。
お風呂上がりは身体も温まっているため、筋肉の伸びが感じやすいです。また、寝る前のストレッチも快眠に適したタイミング。心身をリラックスさせてくれ、穏やかな眠りへと導いてくれます。
ストレッチをおこなうことで、肩こりや腰痛、むくみなども改善でき、翌朝もすっきりと起きられるでしょう。ストレッチは、疲労回復にも効果的です。
ヨガ
ヨガも、就寝前の運動におすすめです。ヨガといえば、姿勢の改善やダイエット目的で取り組む印象がありますが、そのほかにもさまざまな効果が期待できます。
夜におこなうヨガは、1日の疲れを癒したり、筋肉のこわばりをほぐして身体を開放させたりする効果があります。
夜ヨガにおすすめのポーズは、どれも緩やかな動きで、運動不足の人にも大きな負担がありません。身体を内側からあたため、こわばりをほぐし、副交感神経を優位にしてくれます。寝つきが良くなるうえ、リラックスできるので睡眠の質も上がるでしょう。
ベッドの上でも取り組める、簡単夜ヨガポーズもあります。YouTubeでもたくさん紹介されていますので、毎日の習慣にしてみましょう。
ストレス解消
ストレス社会に生きる現代人は、常に何かしらのストレスにさらされています。過度なストレスは、脳に負担を与えるため、快眠を妨げます。
ストレスをゼロにすることは難しいですが、意識的にストレス発散に取組み、心と身体を解放してあげましょう。本章では、ストレス解消に効果的な方法を紹介します。
おすすめの入浴方法
快眠のための入浴には、以下の3つのポイントがあります。
- ・おすすめは寝る2時間前
- ・38~40℃のぬるめの温度
- ・10~15分間、ゆっくりと浸かる
実は睡眠と入浴は、深く関係しています。
人の体温は、起床してからゆっくりと上昇し、夜にかけて徐々に下がっていきます。体温が下がると、眠気を感じやすいため、入浴のタイミングや温度が重要なのです。
入浴直後は体温が上がっているため、寝つきを悪くします。寝る2時間前に入浴しておくと、ちょうど体温が下がって眠くなりやすいため、おすすめです。
お湯の温度は、38~40℃のぬるめがおすすめ。ぬるめのお湯に10~15分ほど浸かることで、心拍数を下げて、身体をリラックスさせてくれます。40℃以上の熱すぎるお湯では、心身が興奮状態になり、スムーズな入眠を妨げてしまいます。
1日の終わりのバスタイムはゆったりとした気持ちで、自分を労わってあげましょう。
深い呼吸を意識してみる
ストレスを抱えている人は、浅い呼吸をしている傾向にあります。浅い呼吸は酸素を十分に取り入れられないどころか、交感神経を優位にします。
ストレス解消のため、深い呼吸を意識してみましょう。おすすめは腹式呼吸です。
鼻からしっかりと息を吸い、口からゆっくり吐き出します。お腹を膨らませて空気を取り込み、吐きながらお腹をへこませます。
腹式呼吸は、布団に入ってからでも取り組めるため、ぜひ毎日の習慣にしましょう。
日記を習慣にする
日記を書くことのメリットには、ストレス発散や自己肯定感の向上があります。
1日の出来事や感じたことを文字にすることで、客観的に自分を見つめられます。また、不安や悩みを書き出すだけで、気分転換になることもあるでしょう。
ネガティブな気持ちや出来事はもちろん、ポジティブなことを書くのも快眠に効果的です。
日常の小さな気づきや喜び、感謝の気持ちを綴ることで、内面からポジティブなパワーが湧いてきます。魅力的な自分に気付くことで、安心して眠りにつけるでしょう。
また、睡眠日記というものもあります。睡眠日記についてはコチラのコラムで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠環境の改善
心や身体の状態を整えても、不眠症が改善されない場合、睡眠環境に問題はないか探ってみましょう。眠っている間に、自分でも気づかない程度のストレスを感じている可能性があります。
枕やマットレスを替える
睡眠環境を整えるなら、まずは寝具の見直しから始めましょう。枕やマットレスが身体に合わず、知らず知らずのうちに快眠を妨げている可能性があります。
枕の高さは、寝る姿勢にフィットしていますか?無理な高さでは、首や肩に負担をかけてしまいます。ただでさえ、パソコンやスマホの普及で、肩こりや首こりに悩んでいる現代人。マットレスとの相性も考え、自身の体型に合った枕を探しましょう。
マットレスや掛け布団、シーツなども、枕と同様、睡眠に深く影響を与えています。ベッドや布団は、1日の3分の1を過ごす場所です。なるべく質の高いものをチョイスし、身体に負担をかけずに熟睡できるようにしたいですね。
遮光や防音効果のあるカーテンを試してみる
睡眠の質には、光や音も深く関係しています。
寝室はできるだけ真っ暗で、無音の状態が望ましいです。心身の状態や生活習慣に思い当たる節がないのに、不眠で悩んでいる人は、光や騒音のせいで熟睡できていない可能性があります。寝室を睡眠に適した環境に変えるだけで、熟睡できるかもしれません。
窓から、周辺の建物や街灯の光が入ってくる場合は、遮光カーテンを試してみましょう。車通りの多い道路沿いや、線路沿いに住んでいる人は、防音機能付きのカーテンがおすすめです。
最近では、オシャレなデザインの遮光カーテンや防音カーテンが販売されています。カーテンは簡単に交換できるため、気分転換にもなりますよ。
快眠グッズを取り入れる
最近では、快眠のためのアイテムやグッズが豊富に展開されています。ここからは、おすすめの快眠グッズを紹介します。
アイマスク
パソコンやスマホを見続けている目は、想像以上に疲れています。眼精疲労に悩む人は、アイマスクを試してみましょう。
アイマスクは光を遮断する目的で利用されているイメージですが、実は遮光以外の機能性にも優れています。アイマスクの重みで目の周辺のツボを刺激し、緊張をほぐしてくれるタイプや、目の周辺を温めてリラックスさせてくれるタイプもあります。
アイマスクで、目の疲れを癒してあげましょう。
耳栓
家族のいびきや近隣住民の騒音が気になって眠れない人には、耳栓がおすすめです。遮音性の高い耳栓をつけて寝れば、寝つきが良くなり、途中で目が覚める心配も軽減されます。中途覚醒がなくなるため、熟睡でき、朝も気持ちよく目覚めるでしょう。
単に騒音を遮断するフォーム性の耳栓や、ヒーリングミュージックを聞きながら周囲の音を遮断するデジタル式の耳栓など、バリエーションも豊富。
値段も数百円から数万円と幅広く展開されています。まずは安価な耳栓を試し、長時間の装着に違和感はないかを確認しましょう。
耳栓の効果やおすすめ商品についてはコチラの記事で紹介しています。是非、チェックしてみてください。
ホワイトノイズマシン
ホワイトノイズマシンとは、ホワイトノイズを流して騒音に気付きにくくする電子機器です。
ホワイトノイズにはリラックス効果や安眠効果があり、聞きながら寝ると寝つきを良くする効果もあります。スマホアプリやYouTubeでも、ホワイトノイズを流せますが、スマホへの負担が気になる人は、専門マシンがおすすめです。
4,000円~10,000円程度で販売されています。
リラックスを心がける
これまでにも、快眠にはリラックスが重要であると解説してきました。入浴や呼吸法などでもリラックスできますが、リラクゼーションアイテムを活用した方法もおすすめです。
ここからは、リラックスタイムにおすすめのアイテムを紹介します。
アロマオイル
言うまでもなく、アロマオイルはリラクゼーションアイテムの代表です。
アロマの香りには、ストレス解消や安眠効果、リラックス、集中力アップなど、精神的に良い影響を与える力があります。
不眠症改善には、以下のアロマオイルが有名です。
- ・ラベンダー
- ・ネロリ
- ・ベルガモット
- ・マンダリン
- ・マジョラム
それぞれストレス解消やリラックスにも効果的です。香りには好みがありますので、お気に入りのアロマオイルを見つけてください。
寝室にアロマランプやディフューザーを置いて芳香欲に利用したり、枕やシーツに含ませたりしてみましょう。
ハーブティー
ハーブティーにも、安眠やリラックス効果が期待できます。とくにおすすめしたいのは、カモミールティー。カモミールティーは、不安を和らげ、睡眠の質を向上させる可能性があります。
夕食後のコーヒータイムが習慣になっている人は、コーヒーをハーブティーに替えてみましょう。心を落ち着かせ、眠りへと導いてくれます。カフェインの含まれているドリンクは夕方頃までにしておきましょう。
まとめ
不眠症の多くの原因は、身体的・精神的な問題や生活リズムの乱れ、睡眠環境にあります。
まずは自分の生活スタイルを見直し、不眠の原因がどこにあるかを探ってみましょう。規則正しい生活を送るだけで、不眠症状が改善される場合もあります。
生活リズムや睡眠環境を改善してもなお、眠りに満足できない場合は、専門医を受診しましょう。質の高い眠りは、生活を豊かにしてくれます。
よくある質問
Q.不眠症は自分で治せますか?
A.根本的な原因を解消すれば、よく眠れるようになる可能性があります。
Q.不眠症の改善におすすめの運動は?
A.ウォーキングやストレッチ、ヨガなどがおすすめです。適度な疲れで眠りやすくなったり、ストレス解消によって入眠を促したりする効果が期待できるでしょう。