不眠症とは
現在、日本人の5人に一人が不眠の症状に悩まされていると言われています。
不眠症は睡眠障害の一種で、不眠症以外にも様々な睡眠障害があります。
不眠症の主なカテゴリーは、大きく分けて以下3つです。
- 中途覚醒
- 早期覚醒
- 熟眠障害
中途覚醒
中途覚醒とは、スムーズに睡眠に入るものの、眠りが浅く、途中で目が覚めてしまう不眠症です。一度目が覚めると、再度眠りにつきにくく、次の日に眠気を感じます。睡眠の質の悪さは、倦怠感や集中力の低下に繋がり、少しずつ日々の生活に影響を及ぼすようになるでしょう。
中途覚醒の原因として考えられるものはストレスや不規則な生活リズムです。改善には生活環境の根本的な見直しが必要となります。
早期覚醒
早期覚醒は不眠症の一つです。予定している起床時間よりも、2時間以上早く目が覚めてしまい、再び寝ることができなくなります。中途覚醒に似ていますが、中途覚醒よりも早期覚醒のほうが、睡眠時間は確保できる傾向があります。
早期覚醒は、高齢者によく見られる症状です。原因は不眠症と同じ内容で語られることが多いですが、早期覚醒の場合、加齢によって睡眠時間が短くなっていることが、主な原因と考えられています。
目が覚める時間帯によっては、特に気にせず早めに起きて活動するのも有効な選択肢です。
熟眠障害
熟眠したという感覚がなく、目覚めた時に睡眠不足を感じる状態を、熟眠障害と呼びます。睡眠時間は十分に取っているはずなのに朝起きるのがだるい、仕事がはかどらないなどの自覚症状を感じた場合、熟眠障害の可能性があります。
熟眠障害の大きな要因は、ノンレム睡眠とメラトニン不足です。
深い睡眠といわれるノンレム睡眠が訪れないのは、太陽光を浴びるタイミングで分泌されるメラトニンが不足していることが原因とされています。
日が出ている間に外で軽い運動をすると、不眠の改善に効果的です。
不眠症になる主な原因
不眠症に至るまでに、どのような原因が挙げられるのでしょうか。
主な6つの原因をピックアップし、内容を説明します。
- ストレス
- からだの病気
- 心の病
- 薬や刺激物の要因
- 生活リズムの乱れによるもの
- 環境の変化
ストレス
ストレスによる緊張は安らかな眠りを妨げます。神経質で几帳面な人はより強いストレスを感じやすい傾向が強く、不眠への意識が高まりがちです。不眠を意識するほど、不眠症が深まっていく悪いサイクルに陥ります。
起きている状態を保つ覚醒中枢と脳を休ませる睡眠中枢のバランスによって、よい睡眠が得られますが、ストレスがあると、覚醒中枢が優勢になり、不眠症となります。
ストレス社会と言われる現代。ストレスを感じずに生活するのは、困難を極めるでしょう。溜まったストレスを発散する術は、持ち合わせておきたいところです。
からだの病気
病気の合併症として不眠になるケースもあります。不眠を併発する病気の一例は、高血圧や心臓病、呼吸器疾患による咳込み、腎臓病、前立腺肥大による頻尿・糖尿病・関節リウマチによる痛み・アレルギー疾患によるかゆみ・脳出血や脳梗塞などが挙げられます。
病気を起因とする不眠症は多様です。
不眠は、病気が改善するにしたがって自然と治っていきます。ストレスを原因とする不眠よりも原因が明確なため、改善しやすいでしょう。
まずは主な原因となる病気の完治に集中することが先決です。
こころの病
こころの病気は、不眠とセットになっていることがほとんどです。不眠を併発する代表的なこころの病気は、うつ病です。
うつ病と診断された人の80%以上が不眠を経験している、というデータもあります。
うつ病では、早期覚醒と夕方になると元気がでてくる日内変動を繰り返します。その他には、不眠とは逆に寝すぎてしまう過眠症の症状があらわれることも。睡眠リズムが完全に崩壊することによって、うつ病の症状がより悪化していきます。
うつ病も不眠症と同じく、メンタルの不調が原因です。うつ病と、不眠症の改善は同時進行で進むことが多いため、まずはメンタルに大きな影響を及ぼすうつ病の改善から始めてみましょう。
うつと不眠症の関係性についてはコチラの記事でも解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
薬や刺激物の要因
治療薬が不眠をもたらすこともあります。睡眠を妨げる薬として知られているのは、降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などです。また、抗ヒスタミン剤の服用は、日中の眠気が誘発されます。
そのほか、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があり、不眠の原因にも。カフェインには利尿作用があるため、夜のトイレ覚醒によってさらに不眠に拍車がかかる可能性もあり得ます。
病気を治すための服薬は致し方ないとしても、カフェインの摂取は控えたほうが睡眠に良い影響をもたらします。
生活リズムのみだれによるもの
交代勤務や時差によって体内リズムが乱れると不眠の原因となります。現代社会は、夜でも昼のように明るく、サービス業を始めとして夜に仕事をする人も増えています。
24時間社会と呼ばれ、昼と夜の区別がつきにくくなっている現代では、どうしても睡眠リズムが狂いがちです。
生活リズムの乱れをきっかけとして不眠に陥る人は増える一方です。体内時計は光を浴びることで、自律的に調整を行います。
交代勤務による不眠症状は、光をあびるタイミングをうまく調整することで、改善に向かうこともあります。
環境の変化
夜中の騒音や光、寝室の温度や湿度が適切でないために不眠となるケースもあります。夜中でも騒音が激しく、明るすぎる環境は、良質な睡眠を得るには難しい環境です。また、年々上がり続ける真夏の気温は、快適な睡眠を妨げる要因にも。
普通に生活していても周りの環境の変化によって、不眠に陥ってしまうことは多々あります。
不眠への対処法
不眠症の解消に特効薬はありません。生活リズムの改善など、個々の状況に合わせた改善が必要とされます。
以下8点の不眠対処法を紹介します。
- 寝る時間と起きる時間を一定にする
- 睡眠時間へのこだわりを無くす
- 太陽の光を十分にあびる
- 軽い運動
- 自分なりのストレス解消法を見つける
- 寝る前にリラックスタイムをつくる
- 寝酒を控える
- 眠りやすい寝室づくり
寝る時間と起きる時間を一定にする
睡眠と起床時間は体内時計にて調整されています。体内時計は概日リズムとも呼ばれ、24時間周期のリズム信号を発信するための機構です。
人間の体内時計は、目から入った明るさや暗さの情報が体内時計に伝達されることで、自然とリズムを形成する仕組みが出来上がっています。
週末の夜ふかしや昼寝のしすぎは体内時計に狂いが生じる元です。平日や週末に関わらず、寝る時間と起きる時間はできるだけ同じ時間にしておきましょう。
睡眠時間へのこだわりを無くす
睡眠時間には個人差があります。最低でも8時間は寝ないといけない!など、目標を立てるのはやめましょう。どうしても眠気がないときは、無理に寝ようとせずに寝床から出るのも、よい方法です。寝床にいる時間が長すぎると熟眠感を失う原因にもなります。
日中に眠気があるときは、午後3時までに30分以内の昼寝をすると夜の睡眠の妨げにもならず、気分をリフレッシュできます。
昼間に起きて夜寝ることを繰り返していれば、おのずから自分に必要な睡眠時間がわかってくるでしょう。
太陽の光を十分にあびる
太陽光などの強い光は、体内時計を調整する効果があります。基本的に人間は光を浴びてから14時間目を過ぎたころに眠気を感じるようにできています。つまり、早朝に光を浴びると夜寝る時間が早くなり、結果として朝はやく起きるようになります。
早寝することで、おのずから早起きにつながるわけです。なお、夜に強い光を浴びすぎると、体内時計が調整され、朝起きるのが辛くなります。
朝起きるのが辛く感じる人は、夜に強い光を浴びないように心がけると良いでしょう。
軽い運動
適度な肉体的疲労は、心地よい眠りを生み出します。運動は午前よりも、午後に軽く行うのが良いでしょう。激しい運動は、刺激となり寝付きを悪くします。体に負担がかからない程度の運動を、緩やかに長く行うのが理想の運動方法とされています。
屋外の運動は太陽光を浴びる機会にもなるため、不眠解消にとっては一石二鳥です。積極的に運動をするよう、習慣づけましょう。
自分なりのストレス解消法を見つける
不眠症の主な原因は、ストレスによるものです。自分なりのストレス解消法を見つけて、適宜ストレスを発散しましょう。先述のとおり、屋外での運動は睡眠に良い効果をもたらすため、ストレス発散のための趣味は、体を動かすものだと、なお良いです。
寝る前にリラックスタイムをつくる
睡眠前のリラックスタイムは副交感神経を活発化します。ぬるめのお湯にゆっくり入り、好きな音楽をかけたり読書をしたりなどして、リラックスタイムを過ごすと、心の緊張がほぐされ良い睡眠が取れるきっかけにもなります。
半身浴は心臓への負担が少なく副交感神経を優位にし、睡眠の質を向上させてくれますので、積極的に取り入れるとよいでしょう。
寝酒を控える
お酒は睡眠にとって、百害あって一利なしと言われています。特に深酒は深い眠りを妨げます。寝酒すると寝付きがよくなっているように思えますが、実は深い睡眠に及ぼす効果は短時間しか持続しません。次第に深い眠りが減り、早期覚醒が増えていきます。寝酒は癖になりやすく、連日続けているとやめられなくなってしまいます。不眠の悪循環に陥るのを防ぐために、寝酒を習慣化しないよう気をつけましょう。
眠りやすい寝室づくり
眠りやすい環境は、良い睡眠の第一歩です。ベッドや布団、枕や証明など、自分にあった最適なものを選びましょう。寝室の温度や湿度にも気を配りたいところです。
睡眠のための適温は20度前後とされており、湿度は40%から70%が良いといわれています。年間を通して、最適な温度や湿度を維持するのは難しいかもしれませんが、適宜冷暖房をつかい、上手く湿度を調整して、快適な睡眠を手に入れましょう。
眠れない不安を断ち切る
眠れない日が連続すると、今日も眠れないのでは?と考えてしまい、早く眠らなければ、という焦る気持ちが強くなる一方です。焦る気持ちは不眠への不安を引き立ててしまい、余計に眠れなくなる悪循環に陥ります。
この悪循環は不眠症に苦しむ多くの人が経験しています。不眠だけなら一時的なもので済みますが、不安が伴うほど不眠症は慢性化し、深刻さを増していくのです。ひどくなると、夜が来て寝床へ向かうだけで緊張感が増し、憂鬱さを募らせてしまい、深刻な不眠症に至ります。
不眠に陥ったら、眠くなるまで起きていよう、という開き直りの気持ちが重要です。睡眠をプレッシャーに感じること無く、自然に逆らわず体内時計をうまく調整していきましょう。
まとめ
不眠症とは、心の病とも言われています。不眠だけなら一過性の症状で改善されますが、さまざまな心のつかれや不安感などによって、慢性化し、本格的な不眠症となります。
昼夜問わず活動時間が長く、ストレスが多い現代社会ならではの病気といっても良いでしょう。
改善方法は、ストレスを解消し、リラックスした状態を作り出すことと、体内時計を正常に調整することです。
寝る前にスマートフォンの画面を見続けるのは、睡眠に悪影響です。夜はできるだけ強い光を浴びないように注意しましょう。
よくある質問
Q.不眠症はなぜ起きるのですか?
A.ストレスやメンタルの不良を起因として起こります。
Q.不眠症を解消するにはどうしたら良いでしょうか
A.生活リズムを改善し、適度にストレスを発散しましょう