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【寝ない子は育たない?】子どもの睡眠の大切さについて徹底解説

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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子どもにとって睡眠が重要なのはなぜ?

ベッドで寝ている子供
子どもの睡眠が重要な理由は、大きく分けて3つあります。

  • ・成長ホルモンの分泌を促す
  • ・疲労回復効果
  • ・記憶力の向上

睡眠は、子どもの心と身体、両方に大きな影響を与えます。「寝る子は育つ」の「育つ」とは、身体の成長だけでなく、精神的な発達も意味しているのです。
良質な睡眠と充分な睡眠時間の確保は、子どもの健やかな成長と健康的な生活にためにも重要です。それぞれ詳しい内容をみていきましょう。

成長ホルモンの分泌

成長ホルモンとは、睡眠中に脳の下垂体から分泌されるホルモンです。その名前からも想像できるように、成長を促す役割を持っています。

骨や筋肉の成長や各器官の発達を促したり、代謝の調整や免疫細胞を再生したりと、さまざまな作用があります。最近では、認知機能にも関与しているといわれており、いかに重要なホルモンかがわかるでしょう。成長ホルモンは、22時から2時のあいだにもっとも分泌されるといわれており、この時間は「睡眠のゴールデンタイム」と表現されています。

なお、成長ホルモンの重要性は子どもに限ったことではありません。成長ホルモンの分泌は、大人の健康にも深く影響しています。この機会に、お父さんお母さんも、お子さんと一緒に生活スタイルを早寝早起きにシフトしてみてはいかがでしょうか。

疲労回復

睡眠は、脳と身体の両方の回復に重要です。

小さな身体で動き回る子どもたちの運動量は、大人に換算すると相当な量です。突然、電池が切れたようにパタッと眠る子どもの姿が、それを証明していますね。

また、無邪気に遊んでいる子どもでも、常にたくさんの情報を整理・処理しています。幼児であっても、脳をフル回転させているため、睡眠で疲れを取る必要があります。
睡眠は、運動から来る身体的な疲れはもちろん、脳の疲れを取ってくれる重要な役割があるのです。

記憶力の向上

睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しています。ノンレム睡眠とレム睡眠の違いは、眠りの深さが有名です。起床時間をレム睡眠時に合わせようと、調整した経験がある人もいるのではないでしょうか。
ノンレム睡眠が脳と身体を休息させているのに対し、レム睡眠中は身体のみを休息させ、脳は活発に動いています。レム睡眠中は、その日の出来事や学習内容を整理し、記憶を定着する時間です。睡眠時間が不足していると、レム睡眠の時間も減少するため、記憶力が低下する可能性があるでしょう。




子どもの睡眠不足による影響

子どもの睡眠時間が不足すると、次のような影響があると考えられています。

  • ・成長や発育の遅れ
  • ・注意力・集中力の低下
  • ・攻撃的になる

先述したように、睡眠時間が少ないと成長ホルモンの分泌が減るため、心身の成長や発達が遅れる可能性があります。「うちの子は平均的な体格だから大丈夫だろう」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、睡眠は、筋肉や骨など、見えない部分の細胞の再生にも影響しています。筋肉量を増やしたり、代謝を促したりする働きも期待できるでしょう。子どもたちが健康的に生活するためには、十分な睡眠時間は欠かせません。

また睡眠不足は、前頭葉の働きが低下するとの研究結果も報告されています。注意力や集中力の低下にもつながります。他にも、精神的に不安定になり、些細なことでもイライラしたり、周囲に攻撃的な言動が増えたりするといった影響も。集団生活に馴染み、落ち着いた日常を送るためにも、子どもの睡眠時間を見直しましょう。

睡眠不足は学力低下を招く?

睡眠時間が不足している子どもは、学力の低下も心配されています。睡眠不足と学力低下には、脳の疲労が関係しています。睡眠不足になると、脳を休ませる時間が不足するため、さまざまな能力に悪影響を与えるのです。
繰り返しになりますが、レム睡眠には記憶力を定着する役割があります。睡眠時間が足りないと、一日の出来事や情報を整理する時間が不足し、せっかく学習した内容が覚えられない可能性があるのです。

また睡眠不足で日中ボーっとしてしまうと、授業に集中できません。眠気からイライラしてしまうと、丁寧な作業もできず、評価が下がる可能性もあるでしょう。
日中活動的に過ごすためにも、充分な睡眠時間の確保が大切です。

肥満になる

睡眠時間が足りていない子どもは、肥満体型になりやすい傾向にあります。睡眠不足でホルモンの調整がうまくいかず、代謝が落ちるためではないかと考えられています。
肥満体型では喉や首周辺に脂肪がつきやすく、気道が狭くなるため、いびきの原因となります。呼吸が苦しくなれば酸素が十分に行き届かず、熟睡できません。疲れも取れにくいでしょう。
肥満体型はさまざまな疾患の原因でもあるため、早期の対応が求められます。

免疫力の低下

成長ホルモンは、免疫機能を高めてくれます。免疫機能とは、ウイルスの感染から身を守ったり、壊れた細胞を修復させたりする機能のことです。体内に溜まった老廃物や異物を除去し、高い免疫機能を維持してくれます。
風邪やインフルエンザなどにかかりにくくし、回復力も高めてくれるでしょう。睡眠時間が不足すると、成長ホルモンの分泌も減るため、免疫力の低下が心配されます。さらに睡眠不足は、知らず知らずのうちに大きなストレスになっています。
過剰なストレスがかかると交感神経が優位になるため、さらなる免疫力の低下を招くでしょう。

キレやすく、暴力的になる

睡眠不足で疲労回復できない日が続くと、無意識のうちにイライラしやすくなります。些細なことでキレたり、お友達とケンカになったり、先生や親に対して暴力的になったりする可能性があります。
論理的思考や集中力の低下、メンタルの不安定も相まって、穏やかに生活できなくなるのです。大人でも睡眠不足が原因で、忍耐力が低下し、周囲にキツく当たることがありますよね。
お子さんに気になる行動がある場合は、まずは生活習慣の改善から心がけましょう。




夜スムーズに寝るため・朝すっきり起こすためのポイント

ここまでは「睡眠時間が子どもにとっていかに重要か」について解説しました。とはいっても「うちの子はどうやっても寝てくれない!」「どうやって早寝早起きさせたらいいのかわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか。
ここからは、子どもに早寝早起きを促し、充分な睡眠時間を確保するためのポイントを紹介します。

寝る時間・起きる時間を習慣化する

まずは「同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」を目標にしてみましょう。毎日同じ時間に起きていると、自然と同じ時間に眠くなります。
できれば、週末も同じ生活リズムで行動しましょう。前日寝るのが遅くなったからといって、朝ゆっくり寝かせていては、夜スムーズに眠りに就けません。

また過度な昼寝も、睡眠リズムを乱す原因のひとつ。昼寝が必要な年齢であっても、夜の就寝に影響しない程度の時間に留めましょう。
起床時間を固定すれば、夜も眠くなりやすくなり、結果として早寝早起きの習慣がつきます。

起きてすぐ朝日を浴びる

朝日には、体内時計をリセットする効果があります。
人間の体内時計は24~25時間といわれており、普通に生活していると、実際の時間と少しずつズレが生じてくるのです。朝日を浴びると、ズレを修正でき、体内時計を24時間に調整できます。

また、朝日はメラトニンと呼ばれるホルモンも分泌してくれるので、心が安定し、よく眠れるようになります。起床時にはカーテンを開け、積極的に朝日を浴びさせましょう。窓際で着替えさせたり、窓から外の様子を見て、今日の天気を確かめてもらったりするのもおすすめです。

正しい姿勢で寝る

旅行先で、身体に合わない枕やマットレスに当たり、熟睡できなかった経験はありませんか。大人と同様、子どもも寝具が合わないと安眠できません。
とくに高すぎる枕には要注意。首が曲がり過ぎた状態で眠るため、気道が狭くなり、いびきをかく原因にもなります。
子どもの身体に合う枕を使い、呼吸が楽になるようにしましょう。柔らかすぎるマットレスも、腰が沈みすぎてしまい、腰痛の原因になります。

寝る1~2時間前にゲームやスマホの電源を切る

コミュニケーションツールのひとつでもあるゲームやスマホ。デジタル社会の現代では、子どもたちにとっても欠かせないツールとなっています。
夜遅くまでテレビゲームをしたり、スマホでYouTubeを見たりする習慣はありませんか。テレビやスマホ、タブレットからはブルーライトが発生しています。ブルーライトは脳を興奮させるため、寝つきが悪くなり、眠りを浅くします。ゲームやスマホの電源は、就寝時間の1~2時間前にオフにしましょう。

空いた時間の過ごしかたは読書がおすすめ。お父さんやお母さんもテレビやスマホから離れ、一緒に読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。穏やかな気持ちで眠りに就けば、朝も気持ちよく迎えられます。




理想的な睡眠時間は?

子どもの理想的な睡眠時間は、以下の通りです。

  • ・1~2歳:11~14時間
  • ・3~5歳:10~13時間
  • ・小学生は9~11時間

幼稚園や小学校に通う子どもは、登園・登校時間から逆算して寝る時間を決めましょう。8時に登校する小学生が、身支度や朝食に1時間かかると仮定します。すると朝7時には起こさなくてはいけません。
7時の起床からさらに逆算し、10時間の睡眠時間を確保するためには、夜9時が就寝時間の目安です。




大事なのは就寝時刻?睡眠時間?

「夜遅く寝ても、睡眠時間が足りているのなら問題ないのでは?」と思うかもしれません。夜型のリズムの大人に合わせて、遅寝遅起きが習慣になっている子どももいるでしょう。
しかし、子どもにとっては、何時に寝るかが重要です。先ほどから申し上げている通り、22時~2時に成長ホルモンの分泌がもっとも活発になるからです。
成長ホルモンの分泌量が減るため、心身の成長や発育に大きな影響を与えます。また、夜遅くまで明るい場所で活動していれば、体内時計が狂いやすくなります。
慣れるまでは大変ですが、早寝早起きと充分な睡眠時間を確保しましょう。




寝ていてもいびきが出ていたら要注意

いびきをかくのは大人だけではありません。子どもでもいびきをかくことがあります。
子どもがいびきをかく原因の多くは、疲労です。疲れているときだけいびきをかく場合や、いびきの音がそれほど大きくないなら心配はありません。

しかし大人顔負けの大きないびきや、途中で呼吸が止まっているように感じるときは専門医を受診しましょう。睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
ほかにも、鼻詰まりやアデノイドの肥大などが、子どものいびきの原因として考えられます。放置すると、症状の悪化や心肺機能に影響するおそれがあるため、早めにかかりつけの小児科や専門医に相談してください。




まとめ

笑顔でカーテンを開ける親子
子どもの成長や発育にとって、睡眠がどれほど重要かを解説しました。睡眠は、成長ホルモンの分泌や脳の休息に深く関係しています。慢性的な睡眠不足は、心身の発達や成長に遅れがでたり、攻撃的な言動が目立ったりするおそれがあります。
未就学児は10~13時間、小学生は9~11時間を目標にし、就寝時間の見直しをおこないましょう。早寝早起きが定着すると、学力の向上や問題行動の改善にもつながります。

よくある質問

Q.子どもの睡眠不足による影響は?

A.下記の様な影響が考えられます。
・睡眠不足は学力低下を招く?
・肥満になる
・免疫力の低下
・キレやすかったり、暴力的になったりする

Q.就寝時刻と睡眠時間はどちらの方が重要?

A.本来、昼間に浴びる光を夜に浴びてしまった場合は、ホルモンバランスの関係上、1日のサイクルが25時間以上になってしまい、睡眠のサイクルが狂ってしまいます。そのため、睡眠時間はしっかり確保しつつ、就寝時間をできるだけ同じにできるように心がけましょう。

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