グリシンアミノ酸を摂取することで得られる3つの効果
グリシンアミノ酸には、睡眠の質を向上させる効果以外にも、以下の効果があるとされています。
- ・睡眠の質の向上
- ・美肌効果
- ・精神を安定させる
具体的に、どのような作用により上記の効果が得られるのか、説明します。
睡眠の質の向上
グリシンは、指先や足先の末梢血管を拡張させ、熱を放出させる作用があります。
熱を放出することで体温が下がり、自然な眠気を感じられ寝つきがよくなるのです。
また、睡眠中はノンレム睡眠とレム睡眠の2種類が交互に繰り返され、朝が近づくにつれてレム睡眠が長くなることで目覚める仕組みになっています。
- ・レム睡眠:眠りが浅いタイミング。脳は働いており夢を見ることもある。
- ・ノンレム睡眠:眠りが深いタイミング。脳も休んでおりノンレム睡眠をしっかり摂ることで、熟眠感が得られ疲労回復につながる。
グリシンは、ノンレム睡眠に入りやすくなったり、深い眠りの時間が長くなったりすることから、睡眠の質が向上するとされています。
美肌効果
グリシンは、皮膚のコラーゲンを生成するアミノ酸の一種です。
肌は、3種類の層に分かれており、それぞれに含まれている成分や役割が異なります。
詳しくは、以下をご参照ください。
肌の層(表面に近い順) | 役割 | 含まれる成分 |
---|---|---|
角質層 | ・肌の最も外側にある厚さ0.02mmの層
・ケラチノサイトが折り重なって作られている ・外部からの刺激から肌を守っている ・保湿機能を維持している |
・ケラチノサイト
・セラミド |
表皮層 | ・肌の外側に近く厚さ0.1mmの層
・表皮層は更に基底層、有棘層、顆粒層、角質層に分かれている ・メラニンを生成する ・異物の侵入を検知する |
・ケラチノサイト
・メラノサイト ・ケラトラヒラリン顆粒 |
真皮層 | ・皮膚組織の大部分を占める
・厚さ2~3mmの層 ・血管やリンパ管、汗腺がある ・肌の弾力や形を守る ・体温調節を行う |
・コラーゲン
・ヒアルロン酸 ・エラスチン |
グリシンは、肌の弾力やハリを保つために必要なコラーゲンの成分であり、真皮層で活躍しています。
積極的にグリシンを摂取することで、美肌効果が得られると言えるでしょう。
精神を安定させる
グリシンは、精神を安定させるセロトニンの分泌を促す効果があります。
セロトニンとは、神経伝達物質の一種であり、興奮作用があるドパミン(ドーパミン)やアドレナリンの分泌を抑える役割をしています。
セロトニンが増えることで、気持ちが落ち着き、精神的に安定するのです。
そもそもグリシンアミノ酸とは?
グリシンアミノ酸について、以下の項目に分けて、より詳しく解説します。
- ・体内で作られる非必須アミノ酸
- ・たんぱく質を作るアミノ酸の一種
アミノ酸の種類や役割について分かるように解説していますので、参考にしてみてください。
グリシンアミノ酸は体内で作られる非必須アミノ酸である
アミノ酸は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられています。以下の表を参照ください。
AHI | 概要 | |
---|---|---|
必須アミノ酸 | 体内では作られず、食物やサプリメント類からしか摂取できないアミノ酸 | ・バリン
・イソロイシン ・リジン 合計9種類 |
非必須アミノ酸 | 体内で作られるアミノ酸 | ・グリシン
・アラニン ・アスパラギン 合計11種類 |
非必須アミノ酸は体内で作られるものではありますが、食物からでも摂取可能です。体内の機能を正常に健康でいるために、非必須アミノ酸も食物から摂取していきましょう。
グリシンアミノ酸はたんぱく質を作るアミノ酸の一種
グリシンアミノ酸をはじめ、20種類もあるアミノ酸は、タンパク質を作るために必要な成分です。
身体の構造は以下の成分でできており、年齢や体重によって多少の差がありますが、おおむね以下の割合とされています。
- ・水分:約60%
- ・たんぱく質:約18%
- ・脂肪:約16%
- ・その他:約6%
たんぱく質は、水分の次に多い成分です。それを構成するアミノ酸は、重要な成分と言えるでしょう。
グリシンアミノ酸はどんなたんぱく質に含まれているのか?
アミノ酸は、種類によって役割が異なり、グリシンは以下のたんぱく質に多く含まれています。
タンパク質 | 含有量 | 働き |
---|---|---|
コラーゲン | 約33% | ・皮膚の弾力を保つ
・関節の動きを滑らかにする ・皮膚や血管、骨に多く含まれている |
エラスチン | 約29% | ・弾力がある
・血管や皮膚などに含まれ、伸縮性を保つ役割を担っている |
ケラチン | 約16% | ・繊維状で弾力性がある
・髪の毛の主成分 |
セリシン | 約11% | ・保湿性が高い
・繭に含まれていることが多い ・生体に適合しやすく、繭から抽出したセリシンを化粧水や日用品に使っている |
グリシンはさまざまなたんぱく質に含まれ、皮膚だけではなく全身で活躍しているアミノ酸であると言えます。
グリシンアミノ酸が睡眠の質を高める2つの理由
グリシンアミノ酸の働きがさまざまあることが分かったところで、睡眠の質を高める理由について、2つ紹介します。
- ・深部体温を下げる
- ・睡眠リズムを整える
グリシンアミノ酸と睡眠の関係について、詳しく解説しますので参考にしてみてください。
深部体温を下げる
グリシンを摂取すると、脳が体温を下げるよう指令し、深部体温を下げます。
深部体温とは、脳や臓器など身体の内部の体温であり、機能を保つために一定の温度を保っています。
深部体温を下げるために、手足の血管を拡張して熱を逃がしていることから、寝る前は手足が温かくなるのです。
人の身体は、深部体温を下げることで眠気を感じます。このタイミングで眠りにつくと、ノンレム睡眠に入るまでの時間が短くなり、熟眠感が得られやすくなります。
睡眠リズムを整える
グリシンの作用により、ノンレム睡眠に入るまでの時間が短くなることで、より深い睡眠と言われる「徐派睡眠」になりやすいことが分かっています。
徐派睡眠とは、ノンレム睡眠の中でも特に眠りが深く、この時間が長いことで熟眠感が得られやすく、疲労回復に効果的です。
また、夜中に目が覚める中途覚醒や、早朝覚醒などが減ることにより、睡眠のリズムが整うことが分かっています。
グリシンを摂取することで、「朝起きてスッキリしている」「日中の眠気がない」「元気に活動できる」と感じられるでしょう。
グリシンアミノ酸は食品やサプリメントからも摂取できる
グリシンアミノ酸は、体内で作られる非必須アミノ酸ではありますが、食品やサプリメントで摂取することで、更に効果が得られやすいです。
グリシンアミノ酸が含まれる食品
グリシンが多く含まれる素材は、以下の通りです。
- ・牛肉、豚肉、鶏肉などの動物性たんぱく質
- ・エビ、カニ、ホタテなどの魚介類
グリシンそのものに甘みがあるため、粉末のものを調味料として料理に入れて摂取することが可能です。
グリシンは、2013年に厚生労働省が食品添加物としての安全性を認めているため、安心して摂取できる成分と言えます。
まとめ
グリシンアミノ酸とはどのような成分なのか、睡眠との関係性について解説しました。
グリシンアミノ酸は、体内で作られる非必須アミノ酸の一種です。コラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質を生成しており、皮膚だけでなく血液や髪の毛、骨などにも存在しています。
私たちがグリシンアミノ酸を摂取すると、手足の血管を拡張して熱を逃がし、深部体温を下げる作用が働きます。これにより眠気を感じ、通常よりも短時間でノンレム睡眠に入れることから、睡眠の質が向上すると言われています。
グリシンは、体内で生成されていますが、食品やサプリメントで摂ることで更に効果が得られるため、寝る前にグリシンのサプリメントを摂取すると寝つきがよくなるでしょう。
「寝つきが悪い」「眠れた気がしない」「日中眠い」などで悩んでいる人は、グリシンを積極的に摂取してみましょう。
よくある質問
Q.グリシンってなんですか?
A.たんぱく質を作るのに必要なアミノ酸の一種です。身体の中で作られるアミノ酸で、血液内で酸素を運ぶのを助けたり、筋肉運動を支えたりするなど、さまざまな役割を果たしています。体内で作られてはいますが食品からも摂取可能で、エビや豚肉、うになどにも豊富に含まれています。
Q.グリシンと睡眠の関係は?
A.グリシンを寝る前に摂取することで、指先や足先の末梢血管が拡張して熱を放散し、深部体温が低下します。深部体温を下げることで眠気を感じ、寝つきがよくなります。
また、睡眠中交互におとずれるレム睡眠・ノンレム睡眠のリズムを整えられるため、グリシンは睡眠と関係性が深いです。
レム睡眠やノンレム睡眠については「【レム睡眠とは?】睡眠の種類を徹底解説」を参照ください。