医療の力で安眠を手にいれる、睡眠専門医による健康メディア

睡眠の質を上げる方法

【6時間睡眠がちょうどいい?】適切な睡眠時間について徹底解説

  • ライター・監修者
  • ライター・監修者の新着記事
睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

  1. 【2023年版】札幌のおすすめ睡眠外来クリニック10選

  2. 【実は迷信?】北枕に科学的根拠はあるのか徹底調査

  3. 寝る時の適正温度は何度?快眠できるエアコンの使い方と電気代

6時間睡眠がちょうどいい理由

白いシーツに包まれて睡眠をとる女性

日本人の場合、6時間睡眠がちょうどいいといわれているのをご存じでしょうか。
その理由は、国立研究開発法人 国立がん研究センターの調査による「睡眠時間と死亡リスクとの関連についての成果報告」、そして「米国心臓学会誌」による研究報告が関係しています。

まずは、なぜ6時間睡眠がちょうどいいのか、その理由を2項目に分けてご紹介するので、各項目をチェックしてみてください。

睡眠時間が長いほど死亡リスクが上昇する

国立がん研究センターでは、対象者99,860名に対し、各人の睡眠時間およびその後20年の追跡調査が実施されました。
調査の結果、睡眠時間が6時間を超える人は、次に示す死亡リスクが高いことが判明しました。

  • ・循環器疾患死亡
  • ・がん死亡

死亡リスクは、男女ともに近い結果が出ています。
中でも8時間以上の睡眠を取る人は、死亡リスクが1.2~3.6倍まで跳ね上がることが確認されています。

睡眠時間は、長ければ長いほど健康的なイメージがありましたが、実際には死亡リスクを高める原因となります。
普段、寝すぎている人や、目を覚ましてもすぐに二度寝を繰り返すような人は注意してください。

6時間未満の睡眠にリスクあり

米国心臓学会誌に掲載されている研究報告では、次に示す生活習慣病を患っている成人1,600名に対し、各人の平均睡眠時間のアンケートおよび20年に渡る追跡調査が実施されました。

  • ・高血圧
  • ・2型糖尿病
  • ・心疾患
  • ・脳卒中

このうち、1日6時間未満の睡眠しか取っていない人は、死亡者の1/3が心疾患・脳卒中によって、1/4が”がん”により亡くなられたことが判明しています。
また、6時間未満の睡眠時間の方の多くは、早死するリスクが高い傾向にあることも確認されている状況です。

短時間の睡眠には、長期の健康維持を損なうリスクがあるため、寝すぎ、寝なさすぎは将来大きな健康被害をもたらす可能性があります。
よって、人間の適正睡眠時間は6時間睡眠がちょうどいいといえるのです。

睡眠時間が長かったり短かったりする人は、睡眠時間の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。

適正睡眠時間を満足しない6つのリスク

ネガティブな感情により顔を覆ってしまった女性

日本人の多くは、慢性的な働きすぎが原因で、十分な睡眠時間を確保できていません。
しかし、6時間の適正睡眠時間を満足しない生活を続けてしまうと、健康被害を生じる可能性があります。

ここでは、適正睡眠時間を満足できないことで生じてしまう6つのリスクをご紹介します。
現在、睡眠時間が短い人は、今後どのようなリスクがあるのかチェックしてみましょう。

生活習慣病

睡眠不足が続いてしまうと、食欲を調整するホルモン分泌が不規則となります。
その結果、ストレスや疲労感の影響で食欲を増大し、肥満化する可能性があるのをご存じでしょうか。
また、血糖値をコントロールするインスリンの働きを弱めてしまい、糖尿病を発症するリスクも含んでいるのです。

つまり、睡眠不足が続いてしまうと、肥満を起因とした生活習慣病に発展してしまいます。
高齢になればなるほど、生活習慣病のリスクが高まっていくため「若いうちは大丈夫」と安心しないように注意してくださいね。

うつ病

睡眠不足が長期間続くと、うつ病を発症するリスクが高まるのをご存じでしょうか。
ホルモンバランスが乱れることによってストレスが溜まり、不安感や倦怠感が持続します。
その結果、心の幸福感が減ってしまい、メンタルダメージを受けやすくなってしまうのです。

一度うつ病を発症すると、改善までにかなりの期間が必要となります。
改善までの期間は仕事をやめる必要があるなど、今までの生活を維持できなくなるでしょう。

うつ病にならないことが一番の解決策なので、睡眠不足でメンタルが不安定化したと感じたら、すぐに睡眠の改善を行ってください。

認知症

睡眠不足は、認知症にも影響を及ぼしてしまうのをご存じでしょうか。
人間は、睡眠中にアルツハイマー型認知症を抑制するアミロイドβという成分を脳から分泌します。
しかし、睡眠時間がうまく確保できなければ分泌量が減り、認知症を発症する可能性があるのです。

近年では、若い人も「若年性認知症」「軽度認知障害」などを発症するケースが増えています。
また、睡眠時間の取りすぎもアミロイドβを過剰分泌させてしまい、認知症を引き起こすリスクを持っているので、適正睡眠時間の確保が欠かせません。
よって、6時間の睡眠を目安にして、睡眠時間を見直してみてはいかがでしょうか。

思考力低下

睡眠は、脳の整理を行う大切な時間です。
この時間が短いと、次のような思考力低下のリスクが生じてしまいます。

  • ・聞いた話を忘れてしまう
  • ・理解するのに時間がかかる
  • ・話している内容が分からなくなる

人間の脳には、覚醒時に生み出される有害なプロテインが溜まっていきます。
このプロテインは、睡眠でしか取り除くことができず、睡眠不足が続いてしまうと、脳細胞の中に余分なプロテインが留まってしまうのです。

その結果、上記のようなコミュニケーショントラブルを引き起こしてしまうので、仕事をしている人、重要な予定がある人などは、特に気を付けるべきポイントだといえます。

体臭の変化

睡眠不足が続いてしまう人の多くは、食生活の乱れや不規則な生活が目立ちます。

このとき、生活習慣が乱れている人は、皮脂の分泌量が増してしまうのです。
また、皮脂と一緒に乳酸やアンモニアといった臭いの原因物質を排出するようになるため、酸っぱく淀んだような体臭へと変化します。

自分の体臭が普段と違うように感じた人や、髪を洗っても良い臭いがしない人は、もしかすると睡眠不足が原因かもしれません。
体臭は、周囲にも悪い影響を及ぼしてしまうため、気が付いたらすぐに対策を講じてみてはいかがでしょうか。

睡眠不足が示す3つのサイン

つま先を痛がる男性

人によっては、短時間睡眠でも元気に過ごせる人がいます。
しかし、睡眠時間の短さは少しずつ体を蝕んでいくので、早めの改善が必要です。

そこで、睡眠不足になっている人がよく生じている3つのサインについてご紹介します。
自分が睡眠不足なのか把握するために、それぞれのサインが生じていないかチェックしてみてください。

飴や氷を噛んでしまう

最近、飴や氷など固いものを、ガリガリと噛んで食べていないでしょうか。
じつはこれ、身体の鉄分不足で生じている睡眠不足のサインなのです。

睡眠時間は、身体のメンテナンス時間ともいわれています。
眠っている間に悪い細胞を排除したり血液を作ったりと、身体の健康を維持する機能が働いている状態です。

しかし睡眠不足が続いてしまうと、人間の身体に必要なメンテナンス時間を確保できず、鉄分不足に陥ります。
固いものを噛み続けると、顎関節症や胃腸を荒れさせる原因となるので、睡眠の見直しを行ってみてください。

3食以外で甘い物が食べたくなる

普段から甘い物を食べている人も多いでしょう。
もちろん好みも関係しますが、普段甘い物を食べないのに、寝不足になると急に甘い物を欲する場合があるのです。

睡眠不足になると、食欲を刺激するホルモン「グレリン」が過剰分泌されます。
その結果、甘いものが食べたい衝動にかられてしまうというわけです。

特に、グレリンは夜に分泌されやすい成分なので、中には21時以降に甘い物が食べたくなった経験をお持ちの人もいるでしょう。
このとき、甘い物を食べれば欲求を解消できますが、その状態がクセづいてしまい、生活習慣病のリスクに発展することもあるので注意してくださいね。

物にぶつかりやすくなる

睡眠不足になると、思考力が低下します。
その結果、前方不注意になりやすく、次のようなトラブルを起こしてしまいがちです。

  • ・タンスの角に小指をぶつける
  • ・段差につまずく
  • ・壁や木、人にぶつかってしまう

これらは思考力の低下が主な原因です。
普段、無意識に注意できていることも、睡眠不足の状態だとうまく機能しません。

ときには交通事故や階段の踏み外しといった大ケガを負うリスクがあるので、早めの解決が求められます。

適正睡眠時間の質を高める5つの方法

女性の写真、爽やかな目覚めの様子

適正な睡眠時間を確保することも大切ですが、急に改善するのが難しい人もいるはずです。
そこでまずは、睡眠の質を高めてみてはいかがでしょうか。

中には睡眠の質が悪く、しっかり寝ているつもりでも睡眠不足になっている人がいます。
ここでは、睡眠の質を高める5つの方法を紹介するので、始めやすい方法を取り入れてみてください。

就寝前に食べ物を消化する

就寝する前に、ごはんやお菓子を食べている人もいるはずです。
しかし、これらの飲食は寝ている間も意を働かせることになるため、睡眠の質を落としてしまいます。
そこで、就寝前には胃の内容物を消化し終えるように気を付けてみてはいかがでしょうか。

胃の消化には長くても3時間は必要です。
そのため、12時に眠る場合は、21時以降は食事しないなど、すっきりと眠れるルール決めを行っておくことをおすすめします。

温かい飲み物を摂取する

人間の身体は、体温が上がると眠気を感じる構造となっています。
特に、温かい飲み物は体温を上げる効果やリラックス効果があるので、就寝前に摂取してみてはいかがでしょうか。
例えば、次のような飲み物がおすすめです。

  • ・白湯
  • ・ノンカフェインの暖かいお茶

一方、冷たい飲み物やカフェインが入った飲み物は、目を覚ましてしまう効果があります。
また、味の強い飲み物も睡眠の質を下げてしまうので注意してくださいね。

入浴で身体を温める

身体を温めて睡眠の質を高めたいなら、入浴するのもいいでしょう。
普段シャワーを浴びている人もいると思いますが、身体の芯から温まることができず、就寝時には体温が戻ってしまった経験はないでしょうか。

これに対し、肩まで湯船に浸かれば、全身くまなく温めることができ、就寝時間もポカポカとした状態で眠りに付けます。
また、入浴にはリラックス効果や筋肉をほぐす効果があるので、健康のために普段から浴槽に湯を張ってみてください。

自分がリラックスできる趣味を楽しむ

もし、熱中できることや好きなことがあるなら、プライベート時間を利用して趣味を楽しんでください。
楽しむことにはリラックス効果があり、あなたの中に溜まったストレスを取り除いてくれます。

趣味を満喫して気分がよくなれば、睡眠の質が高まって、すっきりとした朝を迎えることができますよ。

生活サイクルを整える

睡眠の質が下がって寝不足になっているのは、生活リズムの乱れが原因かもしれません。
もし、生活リズムを変更できるなら、毎日同じ時間の起床、入眠に変更してください。

ベッドで横になっても寝付けないという人は、寝る時間がバラバラなのが原因です。
睡眠のリズムを正していけば、同じ時間に眠気がやってくるため、自然と睡眠の質が高まっていきますよ。

「まとまった睡眠時間をとれない」という方には

中には6時間以上の睡眠が大切ということを理解していても、この現代社会では、睡眠時間をとれないという方もいらっしゃるかと思います。そんな方に改善策をご紹介します。

分割睡眠を取り入れる

「分割睡眠」という言葉をご存じでしょうか。分割睡眠とは睡眠時間を90分単位で区切る事で総睡眠時間を短縮するという考え方です。
こちらのコラムで分割睡眠について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

短時間でも寝る

「睡眠時間が2時間しか取れない」という方の中には、「起きるのがつらい」「このまま起きておいた方が楽だ」という考えで、貴重な睡眠時間を削ってしまっているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
実は短時間の睡眠でも体には必要な場合があります。
短時間の睡眠についてはコラムで紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

ミドル世代の女性、穏やかに眠る様子

適切な睡眠時間がどれくらいか分からない人は、6時間睡眠がちょうどいいと知っておきましょう。
睡眠時間が短かったり長すぎたりすると、将来的な健康被害へと発展する可能性があります。

また、適正睡眠時間を満足しない生活を続けてしまうと、思考力の低下やうつ病、認知症といったリスクがあることを覚えておきましょう。
1日の約1/3は睡眠時間です。
人間の活動に欠かせないものですので、睡眠不足や睡眠過多の人は、一度生活を見直してみてください。

よくある質問

Q.睡眠時間の適正時間はどれくらい?

A.6時間睡眠がちょうどいいと覚えておきましょう。
睡眠不足や睡眠過多の人は健康被害を受けるリスクが高まるため、できる限り6時間を目安とするのがおすすめです。

睡眠不足などの影響で、思考力の低下や生活習慣病発症のリスクが高まっていくため、普段の睡眠リズムを見直してみてはいかがでしょうか。

Q.睡眠の質を高める方法はなにがある?

A.睡眠の質を高めたいなら、以下に示す5つの方法を試してみましょう。

・就寝前に食べ物を消化する
・温かい飲み物を摂取する
・入浴で身体を温める
・自分がリラックスできる趣味を楽しむ
・生活サイクルを整える

リラックスすること、眠気を誘うこと、そして今の生活を見直すことが睡眠の質を高めるために欠かせません。
6時間以上寝ていても寝不足を感じているなら、始めやすいものから取り入れてみてください。

  • ライター・監修者
  • ライター・監修者の新着記事
睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

  1. 【2023年版】札幌のおすすめ睡眠外来クリニック10選

  2. 【実は迷信?】北枕に科学的根拠はあるのか徹底調査

  3. 寝る時の適正温度は何度?快眠できるエアコンの使い方と電気代

この記事へのトラックバックはありません。

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP