寝る前にスマホを使い過ぎるとどうなるの?
寝る前にスマホを使い過ぎると、ブルーライトによって睡眠と目にトラブルが発生します。
睡眠トラブルの発生
まずは睡眠についてです。スマホをはじめとしたデジタルデバイスやLEDライトからは、青色の光線であるブルーライトが発せられています。このブルーライトは、波長が380〜500nmで、可視光線(人の目で見ることのできる光)の中で最も波長が短い、すなわちエネルギーが強い性質があります。そして、このブルーライトは太陽光にも含まれています。
つまり、本来であれば太陽の光を浴びない夜間にスマホによってブルーライトを長時間浴びると、脳は朝が来たと勘違いして覚醒を促してしまうのです。その結果、不眠症や概日リズム睡眠障害などの睡眠トラブルを発症する可能性があります。
・不眠症
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- 慢性的な睡眠不足によって寝つきが悪い、ぐっすり眠れないなどの症状を引き起こす疾患。現在、日本における睡眠障害の中で最も患者数が多く、約5人に1人が不眠症で悩んでいるといわれている。
・概日リズム睡眠障害
体内時計が正常に機能しなくなることで、夜になってもなかなか寝つけない、朝になってもベッドから起き上がれないなど日常生活に著しい支障をきたす疾患。主な原因は、夜遅くまでの残業や勉強、夜更かしによる昼夜逆転などがあげられる。
目へのダメージ
ブルーライトは、目にもダメージを与える可能性があります。
上記で、ブルーライトはエネルギーの強い光だと説明しました。これは、ブルーライトには光が散乱し、一方向に進まない性質があるからです。そして、散乱光はいろんな方向に反射するため眩しく感じ、対象物がチラついて見えるようになります。
これにより、目は頻繁にピント調節を強いられるため、眼精疲労を感じるようになります。
もしかするとスマホ依存症かも?
寝る前のスマホは、睡眠障害や眼精疲労につながるリスクがあります。しかし、なぜ体に良くないとわかっているのにスマホ操作をやめられないのでしょうか?
それはもしかすると、気づかないうちにスマホ依存症になっているからかもしれません。
スマホ依存症とは
スマホ依存症とは、日常生活にさまざまな問題が起きているにも関わらず、スマホの使用をやめることができない、かつ使用できない状況が続くとイライラして落ち着かなくなるなど、精神的に依存してしまう状態のことを言います。
スマホは持ち運びが可能な上、従来の携帯電話よりも格段に性能が向上しました。その結果、つい時間を忘れてSNSやオンラインゲームなどに没頭してしまいます。
また、現実の世界ではなかなか味わうことのできない達成感をオンラインの世界では簡単に得ることができます。そして、独自のコミュニティを形成することで「自分の居場所はここだ!」とさらにのめり込んでしまうのです。
特に、日本はスマホ依存症の割合が高いです。厚生労働省の推計では成人のおよそ421万人にスマートフォンやパソコンに没頭する「ネット依存」の傾向があるとされています。
「アルコール依存症」や「薬物依存症」のように、スマホ依存症は医学的に用いられる言葉ではありません。ですが、確実に現代人の生活に支障をきたしていると言えるでしょう。
スマホ依存症のチェックリスト
スマホ依存症は、自分ではなかなか気づくことができず、他人に指摘されても受け入れ難いという特徴があります。
もし、あなたにスマホ依存症の心当たりがある場合は、下記のスマホ依存症のチェックリストをやってみてください。
これは、アメリカのキンバリー・ヤング氏が作成したインターネット依存度テスト(Internet Addiction Test:IAT)です。20個の質問があるので、それぞれ「全くない:1」から「いつもある:5」の5段階で回答していきます。どんどん点数を加算していき、最終結果が20〜39点だと正常、40〜69点だと要注意、70〜100点だと重症と診断されます。
- <インターネット依存度テスト(Internet Addiction Test:IAT)>
- 1.気がつくと思っていたより長い時間インターネットをしていることがありますか。
- 2.インターネットをする時間を増やすために、家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか。
- 3.配偶者や友人と過ごすよりも、インターネットを選ぶことがありますか。
- 4.インターネットで新しい仲間を作ることがありますか。
- 5.インターネットをしている時間が長いと周りの人から文句を言われたことがありますか。
- 6.インターネットをしている時間が長くて、学校の成績や学業に支障をきたすことがありますか。
- 7.他にやらなければならないことがあっても、まず先に電子メールをチェックすることがありますか。
- 8.インターネットのせいで、仕事の効率や成果が下がったことがありますか。
- 9.人にインターネットで何をしているのか聞かれると防御的になったり、隠そうとしたりすることがどれくらいありますか。
- 10.日々の生活の心配事から心をそらすためにインターネットを使うことがありますか。
- 11.次にインターネットをするときのことを考えている自分に気がつくことがありますか。
- 12.インターネットの無い生活は、退屈でむなしく、つまらないものだろうと恐ろしく思うことがありますか。
- 13.インターネットをしている最中に誰かに邪魔をされると、いらいらしたり、怒ったり、大声を出したりすることがありますか。
- 14.睡眠時間をけずって、深夜までインターネットをすることがありますか。
- 15.インターネットをしていないときでもインターネットのことばかり考えていたり、インターネットをしているところを空想したりすることがありますか。
- 16.インターネットをしているとき「あと数分だけ」と言っている自分に気がつくことがありますか。
- 17.インターネットをする時間を減らそうとしても、できないことがありますか。
- 18.インターネットをしていた時間の長さを隠そうとすることがありますか。
- 19.誰かと外出するより、インターネットを選ぶことがありますか。
- 20.インターネットをしていないと憂うつになったり、いらいらしたりしても、再開すると嫌な気持ちが消えてしまうことがありますか。
スマホの使い過ぎから抜け出すには?
ここまで、スマホを寝る前に使用するリスクと、スマホを使い過ぎることで発症するスマホ依存症について解説しました。
では、どうすればスマホの使い過ぎから抜け出せるのでしょうか?ここからは、スマホ依存から抜け出すために効果的な方法を5つご紹介していきます。
自分がどれだけスマホを使っているか把握する
まず肝心なのは、自分が日々どれくらいスマホを使っているか把握することです。
前述したように、スマホ依存傾向にある人にはスマホを使い過ぎている自覚はありません。自覚がない状態で寝る前のスマホをやめようとしても、うまくいきませんよね。そのため、まずは自分のスマホ時間を客観的に知ることが大切です。
特に、最近のスマホには毎日のスマホ起動時間をわかりやすく数値化・グラフ化してくれる機能があります。これらを活用して、日々どれだけの時間をスマホに費やしているのか確認するようにしましょう。
スマホ使用のルールを決める
スマホを使用するときのルール設定をしましょう。
一般的に、寝る前のスマホは就寝の2時間前、どんなに遅くとも1時間前にはやめるよう推奨されています。
これを踏まえ、「就寝の前にはスマホは触らない」や、「22時までにスマホを閉じる」など、ルールを設定するようにしましょう。
スモールステップを心がける
ルールを設けてもなかなか達成できないのが、スマホ依存の怖いところですよね。そんなときは、いきなり大きな目標を達成しようとするのではなく、スモールステップから始めると効果的です。
スマホは何となく開いただけでも情報の閲覧ができるし、必要なことだけしていたとしても、あっという間に時間が経ってしまいます。そのような状態で、スマホを全く触らないというのは無理が生じます。
ゆえに、最初は使用時間を少しずつ減らしていくことを目標としましょう。今使用している時間の1割カットから始め、それができたらさらに減らすというように、超えられそうな目標を設定して積み重ねていくのが良いでしょう。
スマホ依存解消のスモールステップ例
スマホ依存を解消するスモールステップの一例を、下記にまとめました。自分の生活に取り入れられそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。
- ・スマホを開く前に使用時間を決め、アラームを設定する
- ・枕元に充電器を置かない
- ・朝起きる目覚ましはスマホではなく時計を使う
- ・前回よりもスマホの使用時間を減らせたら、ご褒美を設定する
- ・思い切って夜間は電源を切る
- ・スマホのホーム画面にアプリを設置しないようにする
スマホ以外の楽しみを見つける
スマホの使い過ぎから脱却する方法として、スマホ以外の楽しみを見つけることも有効です。
スマホやインターネットに依存してしまう人は、人に悩みを話したり、説明したりすることが苦手な傾向があります。慌ただしい現代社会の中で、私たちは会社や学校、家庭内などでたくさんのストレスやプレッシャーを感じていますが、スマホに依存する人はそれをうまく言葉にできないため発散できず、一人で抱え込んでしまいます。
その結果、スマホの手軽さやオンライン特有の所属感、没入感などが影響し、そこにストレスの捌け口を見出してしまうのです。
そのため、ストレスを発散できる対象として、スマホ以外の楽しみを見つけることが非常に効果を発揮します。例えば、読書や音楽鑑賞、料理、旅行などがおすすめです。
症状が深刻な場合は医療機関を頼ろう
最も重要なことですが、あまりに症状が深刻な場合は医療機関の受診も検討しましょう。
スマホの使い過ぎによる症状は、睡眠障害や目の疾患など多岐に渡り、なおかつその背景には精神的な疾患が隠れている場合があります。そのため、日常生活に明らかな支障をきたしていたり、自分では対処が難しかったりする場合は、躊躇せず医療機関を頼りましょう。
睡眠のトラブルは、内科や脳神経内科、もしくは睡眠に関する疾患を専門に扱う睡眠外来で診察ができます。また、精神的に悩んでいる場合は精神科や心療内科で見てもらうことが可能です。
最近は、スマホ依存やネット依存を専門に扱う「ネット依存外来」を設置しているクリニックや病院もあります。
目のトラブルは、眼科で診察しましょう。ブルーライトによる目へのダメージを軽減する方法など、医学的なアドバイスを求めるのがおすすめです。
まとめ
今回は、寝る前にスマホを使用するリスクや、スマホの使い過ぎから抜け出す方法について解説しました。
スマホは私たちの生活になくてはならないものですが、その便利さゆえに手放せなくなり、寝る直前までスマホを操作する人が増えています。
このようなスマホの使い過ぎから抜け出すには、日々のスマホ使用時間を把握した上で、少しずつスマホを使う時間を減らしていくのが有効です。
そして、あまりに症状が深刻で依存症を発症している場合は、迷わず医療機関を受診して治療を受けましょう。最近は、スマホ依存を専門に診察するネット依存外来などの整備も進んでいます。
心当たりのある人は、ぜひこの記事を参考にして、スマホの使い過ぎから脱却する第一歩にしてください。
よくある質問
Q.寝る前にスマホを使うとどのようなリスクがありますか?
A.スマホのブルーライトによって、睡眠が妨げられ、不眠症や概日リズム睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、目へのダメージも懸念されます。
Q.寝る前のスマホをやめるにはどうすれば良いですか?
A.いきなりスマホを触らないようにするのは難しいので、スモールステップを設定し、少しずつ使用時間を減らすよう工夫すると良いでしょう。