会社に仮眠室を設置する4つのメリット
会社に仮眠室を設置するメリットは、以下の4つです。
- ・午後の作業効率や集中力が向上する
- ・社員の健康を増進させる
- ・生産性が向上する
- ・自社の特殊な福利厚生となり就職希望者が増える
従業員にとってのメリットと、企業にとってのメリットがあり、働きやすい会社となり得るでしょう。
次に詳しく解説します。
午後の作業効率や集中力が向上する
仮眠室を利用して短時間の睡眠を取ることで、午前中の疲労が軽減され、午後の仕事が捗ります。
午後は仕事の疲れが見え始め、作業効率が悪くなったり、集中力が途切れたりしがちです。
そこで、仮眠を取って疲労回復を図ることで、作業効率や集中力が向上します。
社員の健康を増進させる
仮眠室を利用して午後に仮眠を取って休息することで、ストレスの軽減や疲労の蓄積を予防できます。
ストレスや疲労は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をはじめ、心不全や脳梗塞などの命に関わる病気の原因になりかねません。
仮眠室を設置し、就業中に仮眠を取り入れることで社員の健康が維持でき、長く働いてくれる人材の確保につながります。
生産性が向上する
仮眠により頭がすっきりすることで、生産性も向上します。新たな発想やアイディアが出てきたり、デスクワークではケアレスミスが減ったりするため、仕事がスムーズに進むでしょう。
自社の特殊な福利厚生となり就職希望者が増える
仮眠室を完備しており、昼食後に利用可能としている企業は日本ではまだ少なく、特殊な福利厚生と言えます。
仮眠室があると聞くと「仮眠が必要なほど長時間働かされるのでは」というイメージがあるでしょう。
しかし実際、午後の眠気を解消し、仕事の効率や集中力を上げられるというメリットがあります。この効果を解説したうえで、設置してあることを企業説明会などでアピールすれば、「社員の身体のことを考えている会社」や「効率を考えたよいアイディアを持つ会社」だと思ってもらえます。
入社希望者が増えれば、企業にとってもメリットになるでしょう。
会社に仮眠室を設置する3つのデメリット
一方で、会社に仮眠室を設置すると、以下の3つのデメリットが考えられます。
- ・仮眠時間が長くなり過ぎ残業になってしまう
- ・仮眠を取りにくい雰囲気がある
- ・仮眠がなくても平気な人には不要(社員間で需要が分かれる)
仕事中に睡眠を取るという発想は、日本ではまだ浸透しておらず、社会人経験の長いベテラン社員にとっては、考えられない発想かもしれません。
上記のデメリットについて、詳しく解説します。
仮眠時間が長くなり過ぎ残業になってしまう
例えば仮眠を2時間もとってしまうと、業務に差し支えが出たり、逆に身体が重くなってしまい業務効率が悪くなったりしてしまうでしょう。
仕事の進捗が遅れて残業になってしまう可能性も考えられます。
仮眠は15分程度、長くても30分以内の仮眠が身体によいとされており、それ以上は逆効果です。
また、業務が滞らないように、仮眠を取るタイミングは業務の進捗と自分の体調に合わせて調整しなければなりません。
仮眠を取りにくい雰囲気がある
業務中の仮眠は、まだ日本では導入している企業が少なく、就業中に堂々と仮眠を取りには行きにくい雰囲気があるでしょう。
業務の効率アップや生産性の向上などの効果があり、企業としてもメリットがあります。一方で、直属の上司や同僚に理解が得られないと、仮眠を取りたいときに取れない、取ったとしても後ろめたい気持ちになってしまう可能性があります。
仮眠室を堂々と使える当たり前の制度になるまでは、努力が必要になってくることがデメリットと言えます。
仮眠がなくても平気な人には不要(社員間で需要が分かれる)
社員のなかには、仮眠がなくても午後の業務に支障がない人もいます。仮眠を必要としていない人にとっては「仮眠と言いつつサボっている」という印象を持たれてしまうかもしれません。
仮眠室の導入は、社員のなかでも需要が分かれる可能性があります。
仮眠室を利用するときのルール決めが重要
社員の健康維持や業務の効率化、生産性の向上を図るため、仮眠制度を作るときに重要なのは、ルール決めです。
以下のルール内容を参考に、それぞれの企業に合った仮眠ルールを作って社員に周知しましょう。
- ・1回の使用時間を決める
- ・仮眠室が使える時間帯を決める
- ・予約制にする
- ・アラームや音楽は周りに配慮して音量に注意する
- ・枕やクッションは各自持参する
上記のルールは、実際に就業中の仮眠を推奨している企業のルールを参考にしたものです。
なぜルール決めが必要なのか、どのような効果があるのか詳しく解説します。
1回の使用時間を決める
仮眠室を使用する時間を決めておくと、特定の社員が独占して他の人が使えない・仮眠が長いなどのトラブルが回避できます。
仮眠は、15~20分程度が望ましいと言われていることから、休むための準備時間等を考えても1人につき30分~1時間程度で割り振っている企業が多いです。
使用時間を決めておけば、仕事に支障なく仮眠室が利用できるでしょう。
仮眠室が使える時間帯を決める
会社が開いている時間中常に仮眠室も使える状態にしておくよりも、利用可能な時間を設定しておくとメリハリのある仮眠室の使い方ができます。
企業によっては、使用していない時間帯の会議室を仮眠室にしたり、個室の仮眠室は利用可能時間まで施錠したりなどの対策をしています。
時間帯は、お昼から夕方にかけて利用可能としている企業が多いです。
予約制にする
事前に予約しておくと、仮眠室が確保でき確実に利用できるため、社員にとっては利用しやすい制度です。
仮眠室の利用時間が決まっているので、仕事が中途半端にならないように仮眠に合わせて調整することもできます。
また、他の社員と利用が重なることがないため、仮眠に集中できるのもメリットと言えるでしょう。
アラームや音楽は周りに配慮して音量に注意する
仮眠室が複数人で利用する大部屋制の場合、周りの利用者に配慮が必要です。
仮眠を取る時間は人それぞれであるため、アラームや寝るときに聞く音楽などの音量は控えめにしなくてはなりません。
また、周りが気になって慣れないうちは仮眠できないことも考えられます。
枕やクッションは各自持参する
枕やクッションは、直接肌に触れるものであり、衛生管理の都合により各自で持参するようにルールを決めておくことがあります。
自分が仮眠に必要だと思うものは、会社に持ち込まなくてはならないこともあるでしょう。
なかには「荷物を持ち込むのが面倒」と思う人もいるかもしれません。
仮眠室を導入するときに注意するポイント2選
今度は仮眠室の導入を検討している会社向けに、導入するときに注意するポイントを以下の2点に分けて紹介します。
- ・作業スペースと仮眠室を分ける
- ・仮眠室を利用する際のルール作りを徹底する
以下に詳しく解説します。
作業スペースと仮眠室を分ける
作業するスペースと、仮眠のためのスペースを分けるために、仮眠室を別に用意するのがベストです。
作業する音が聞こえると仮眠の妨げになるのを防ぐためと、反対に寝ている様子が作業している人に伝わらないようにするためです。
会社のスペース上、新たに別室を設けるのが難しい場合は、遮音性の高い素材のパネルなどで個室を作るなど、作業する人と休憩する人の空間が同じにならないよう配慮をしましょう。
仮眠室を利用する際のルール作りを徹底する
仮眠室を利用する際のルールを作り、社員に周知徹底しなければなりません。
仮眠室の使用方法を曖昧にしておくと、特定の社員が独占したり、仮眠室が利用しにくい雰囲気になったりするからです。
例えば、以下のようなルール作りをしてみてはいかがでしょうか。
- ・1回あたりの利用時間や1日の上限回数を決める
- ・アラームはバイブレーションを使うこと
- ・音楽はイヤホンを使用し、外に音が漏れないようにする
- ・仮眠室の掃除は各部署持ち回りで行う(掃除方法も決めておくとよい)
上記のような細かいところまでルールを作り、全社員に知ってもらったうえで仮眠室の運用を開始しましょう。
そもそも昼食後に眠気を感じるのはどうして?
昼食後に眠気を感じるのは、血糖値の急下降が原因です。
昼食後は、急激に上昇した血糖値を下げようとインスリンが多く分泌されます。この際、血糖値が急下降したときに眠気を感じると言われています。
食事の摂り方によって、食後の眠気は軽減されることもあるため、以下を参考に昼食の食べ方に注意してみましょう。
- ・野菜から食べる
- ・糖質は控えめにする
- ・満腹まで食べず腹八分目にする
- ・ゆっくりよく噛んで食べる
上記の食べ方を意識すると、血糖値の上昇が緩やかになるのに伴い、下降も緩やかになります。
空腹時のひとくち目から糖質を食べたり、よく噛まずに早食いしたりしてしまうと、血糖値の急下降につながるため、血糖値の変動を大きくしないよう意識して食事を楽しみましょう。
仮眠室の利用方法次第でメリットにもデメリットにもなる
仮眠室は、上手に使えば午後の仕事の効率がよくなり、本来残業になりそうだった仕事も定時で終わらせることが可能になるかもしれません。
一方で寝すぎてしまうと時間が取られ、身体に倦怠感が残ることで仕事の効率が悪くなる危険性があります。
仮眠時間の厳守をはじめ、仮眠室の使い方を会社で統一して活用できるようなシステム作りが重要です。
まとめ
会社に仮眠室を設置するメリット・デメリットについて紹介しました。
午後の短時間の仮眠は、疲労回復効果があり、業務の効率化が図れることから、日本でも導入している会社が増えています。
仮眠時間は15~20分で効果が得られるため、厳守するようにしましょう。
なかには、仮眠を必要としない人がいる可能性もあり、従業員によって需要が異なるため、企業ごとに従業員の声を聞いて最適な仮眠室を導入しましょう。
よくある質問
Q.会社に仮眠室って必要ですか?
A.効率的な業務のためには、必要だと言えます。
仮眠の取り方によっては、昼食後の眠気や倦怠感を改善し、午後の作業効率の向上が図れると言われています。効果的な仮眠の取り方については「【短期集中】短時間睡眠の効果と取り入れ方について」
で詳しく解説していますので、ご参照ください。
Q.仮眠室を導入するにあたり、どのようなルールを作ればよいですか?
A.全従業員が気軽に利用できる点と、全員が利用方法を理解し統一してルールが守れるような点に配慮した内容がよいです。
例えば、1人あたりの利用時間、事前の予約制、仮眠室が利用できる時間帯、仮眠室の掃除方法など、細かくルールを決めるとよいでしょう。全従業員が気持ちよく利用できる仮眠室が作れるかを考えて、ルール作りをしていきましょう。