睡眠時間は確保しているのに、朝がつらいのはなぜ?
「毎日8時間、しっかり寝ているのに朝起きられない」「起きてもしばらくボーっとしてしまう」
このように、朝のつらさを訴える人は少なくありません。
実は寝起きをよくするためには、睡眠時間よりも睡眠の質が重要です。たとえ8時間の睡眠時間を確保していても、眠りが浅いと疲れが取れません。逆に、6時間の睡眠でも熟睡できていれば、朝は気持ちよく起きられます。
睡眠時間は十分なのに、朝がつらい場合は、睡眠の質に問題がないか探ってみましょう。睡眠の質が向上すれば、短時間の睡眠時間でも満足できるようになりますよ。
理想の睡眠とは?質の良い睡眠を追求するための3つの要素
そもそも質の良い睡眠とは、どのようなものでしょうか?ここでは、睡眠の質を左右する3つの要素について解説します。
寝つきが良い
ベッドや布団に入り、目をつむっても、なかなか眠れなくて困った経験はありませんか?眠りにつくまで時間がかかる状態は、寝つきが悪いといえます。
寝つきをよくするためには、睡眠環境や心身の状態を整えましょう。寝室の環境に問題があったり、頭の中がイライラや心配ごとでいっぱいだったりすると、なかなか寝つけませんよね。
寝室は適度な暗さと静かさがポイント。暗すぎず明るすぎず、静かで落ち着いた寝室なら、心もリラックスできるでしょう。
また、眠り始めの90分が快眠のカギを握るといわれています。寝つきの良さは、眠り始め90分間の質につながります。リラックスできる環境を追求し、問題があれば改善しましょう。脳がリラックスできれば、寝つきが良くなります。
眠りが深い
良質な睡眠には、眠りの深さも重要です。
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。脳が活発に働いているレム睡眠に対し、ノンレム睡眠では脳の活動や筋肉の緊張も低下しています。
眠りの深さに関係するのは、ノンレム睡眠です。深いノンレム睡眠が十分に取れないと、脳や身体が休まらないため、疲れが取れません。
目覚めが良い
朝スッキリと目覚め、エネルギッシュな状態で新しい一日を迎えたいですよね。良い目覚めには、睡眠時間と起きるタイミングが関係しています。
適切な睡眠時間には個人差はありますが、一般的に7~8時間が必要といわれています。多忙な現代ですが、充分な睡眠時間が確保できるように時間の使い方を工夫してみましょう。
また、脳が活動しているレム睡眠のタイミングで起きると、気持ちよく目覚められます。レム睡眠とノンレム睡眠は、90分のサイクルで繰り返されています。レム睡眠中の起床を目標とし、逆算して就寝する時間を決めるのもおすすめです。
快眠を妨げている要因とは?
快眠には、3つの要素が関係していると解説しました。3つの要素がひとつでも欠けると快眠できず、寝起きが悪くなります。
ここからは、なぜ快眠できないのか、そのおもな要因を紹介します。
不規則な生活リズム
寝る時間・起きる時間がバラバラな生活だと、体内時計がくるってしまいます。できれば毎日同じ時間にベッドに入り、同じ時間に起床しましょう。
よくあるNG習慣として、週末の寝だめが有名です。平日の寝不足を解消しようと、週末に昼まで寝た経験のある人も多いのではないでしょうか。また、録画していたドラマを週末にまとめて見る、夜更かし習慣の人もいるでしょう。
しかし、寝だめや夜更かしは生活リズムが崩れる原因です。なるべく週末も平日と同じリズムで過ごしましょう。どうしても日中に眠気を感じる場合は、短時間の昼寝でやり過ごすと、リズムの崩れを防げます。
就寝環境
住み慣れた自宅でも、寝室の環境が快眠に適しているとは限りません。以下のような問題点がないか、一度、客観的な目線でチェックしてみましょう。
- ・ご近所から聞こえるテレビの音、話し声が気になる
- ・照明器具がまぶしい
- ・枕が高い
- ・掛け布団が重い
- ・シーツやカバーの肌ざわりが気になる
- ・寝返りが打ちにくい
このような要因により、実は日常的にストレスを感じている可能性があります。照明器具やカーテン、枕やマットレスを交換するだけでも、小さなストレスは解消されます。劇的に眠りの質が上がる可能性があるため、少しずつ改善してみましょう。
ストレス
仕事や育児、人間関係などでストレスを抱えている人は、眠りが浅くなる傾向があります。ストレスを感じると、アドレナリンというホルモンが分泌されるからです。
アドレナリンには、心拍数や血圧を上げる作用があります。アドレナリンの分泌はやがておさまりますが、その後はコルチゾールというホルモンが分泌されます。
コルチゾールもまた、ストレスを感じたときに活性化するホルモンです。コルチゾールは睡眠に必要なホルモンであるセロトニンやメラトニンの分泌を阻害します。
そのためストレスを抱えすぎた状態では、睡眠ホルモンの分泌が減ってしまいます。結果、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして、熟睡できません。
ブルーライトによる影響
スマホやタブレットから発せられているブルーライトは、睡眠に悪影響を及ぼします。
ブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制します。メラトニンとは、眠気を誘う役割をもつ睡眠ホルモンのひとつです。そのため、ブルーライトでメラトニンが抑制されると、寝つきが悪くなります。
またブルーライトは、脳内の覚醒中枢を刺激したり、レム睡眠の割合を減少したりする傾向があるといわれています。心身の回復のためにも、寝る前のスマホやタブレット、パソコンの使い方を見直しましょう。
不健康な生活習慣
そのほかにも、快眠を邪魔する生活習慣はたくさんあります。とくに寝る前の過ごし方には、注意が必要です。
- ・寝る直前の食事
- ・喫煙
- ・飲酒
- ・カフェインの摂取
寝る前に満腹まで食べると、消化のために胃腸が活発に働きます。身体がリラックスできないため、なかなか寝つけません。寝る2~3時間前には夕食を終え、お腹を休ませてあげましょう。
寝る前の喫煙や飲酒、カフェインの摂取も同様です。脳や身体を興奮させ、眠りを妨げます。健康のためにも、生活習慣の見直しは欠かせないでしょう。
快眠の敵を一掃!要因別の解決策5選
寝起きをよくするためには、快眠できない要因に合わせた対策が必要です。自分の問題点がどこにあるか確認したうえで、最適な解決策を試しましょう。
ここでは快眠したい人におすすめの方法を5つ、紹介します。
規則正しい生活リズムのためにできること
不規則な生活リズムを送っている自覚のある人は、以下の3つを試してみましょう。
- ・寝る時間、起きる時間の固定
- ・やらないことを決める
- ・朝晩のルーティン化
毎日同じ時間に寝て起きるのは、規則正しい生活リズムの基本です。まずは起きる時間の固定から挑戦し、徐々に寝る時間も固定しましょう。
また、やらないことを決め、それを守る努力も重要です。寝る前の喫煙や飲酒、スマホタイムを控えるだけで、寝つきが劇的に良くなります。そもそも睡眠時間が足りていない人は、ダラダラスマホをやめたり、テレビ鑑賞の時間を削ったりする必要があります。
そして、寝る前の過ごし方や朝起きてからの過ごし方を、ルーティン化しましょう。夜はリラックスする時間、朝は身体を目覚めさせる時間を確保します。身体が慣れてくると、自然な眠りや目覚めを運んでくれるでしょう。
寝室大改造計画
寝室や寝具に小さなストレスを感じている人は、睡眠環境を見直してみましょう。
先述したように、就寝環境も快眠に欠かせない要因のひとつです。マットレスや枕の硬さは適切か、照明器具は明るすぎないかなど、客観的な目線でチェックしてください。
街灯の光が窓から入り、寝つきを妨げているなら、遮光カーテンがおすすめです。外部からの光をシャットダウンしてくれるので、スッと眠りにつけます。
カーテンは少しすき間を開けておくと、朝の日光で自然と目が覚めます。朝起きたら太陽の光を浴びて、セロトニンを刺激しましょう。体内時計もリセットされるため、いいことずくめです。
リラックスして寝つきをうながす方法
ベッドに入ると、なぜかソワソワしてしまう人、悩み事が頭の中でループしてしまう人はいませんか?
寝る前のリラックスタイムも、寝つきや眠りの深さに関係するポイントです。シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯につかって、心と身体をリラックスさせてあげましょう。
入浴で身体の深層体温を上げておくと、体温が下がるタイミングで眠くなります。入浴のタイミングとしては、寝る2時間くらい前がおすすめです。寝る直前の入浴は興奮してしまい、逆に眠りを妨げます。
スマホに負けない!スクリーンタイムの導入
寝る前のスマホチェックが習慣になっている人は、スクリーンタイムの設定がおすすめです。
くり返しになりますが、寝る前のブルーライトは快眠の敵です。寝る1時間前からは、スマホやタブレットの使用を控えましょう。
スマホを使わないよう心がけていても、何かの通知がくれば、ついつい開いてしまうものです。できれば寝室に持ち込まず、別室に置いて距離を取りましょう。「仕事の都合上、常に連絡が取れるようにする必要がある」「災害時の速報や避難情報が心配」という人は、スクリーンタイムの設定をおすすめします。
バランスの良い食事と適度な運動
偏った食事や運動不足は、睡眠の質を低下させます。睡眠ホルモンの分泌に必要な栄養素であるトリプトファンや、ストレスに対抗してくれるビタミン類、GABAなどを多く含む食材を積極的に食べましょう。
夕食は寝る2~3時間前に終えるのが理想的です。量は軽めにし、胃腸に負担をかけ過ぎないのもポイント。朝食・昼食とのバランスを取りながら、上手に必要な栄養素を摂取します。
また、軽い運動を習慣にして、適度な疲れを与えましょう。寝る前におすすめのストレッチについてはコチラの記事でも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
寝起きをよくするためには、睡眠時間よりも睡眠の質が重要です。睡眠の質を向上させるため、快眠に必要な3つの要素を追求しましょう。寝つきを良くし、深い眠りを取れれば、朝も気持ちよく起きられます。
具体的には、生活リズムやストレス、寝る前の習慣などを改善することで、睡眠の質は劇的に良くなります。記事内で紹介した解決策や改善方法を実践し、自然な目覚めや快適な寝起きを手に入れてくださいね。
よくある質問
Q.たくさん寝たはずなのに、日中眠くなるのはどうして?
A.睡眠時間を確保していても、日中の眠気がひどいなら、睡眠の質に問題がある可能性があります。生活習慣や就寝環境を改善して、良質な睡眠を手に入れましょう。深い睡眠のための改善方法については「レム睡眠とは?夢・時間との関係性や深い睡眠を取るための改善方法を解説」 で解説しています。
Q.寝起きをよくするために、今日からできることは?
A.規則正しい生活習慣を心がけましょう。毎日同じ時間に布団に入り、同じ時間に起きると、自然と体内のリズムが整います。睡眠の質が向上すると、朝の寝起きもよくなります。