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睡眠時無呼吸症候群の治療・治し方

【眠れているか心配?】睡眠時無呼吸症候群の検査についてご紹介

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法について


睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に起こるため、自分では気づきにくいです。治療をせずに放置していると、心筋梗塞や脳梗塞など深刻な病気を発症する可能性があります。そのため、できるだけ早く検査を受け、必要ならば治療を始めなければなりません。睡眠時無呼吸症候群は病気であるため、検査や治療には健康保険が適用されます。

睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック

少しでも疑いを持っている方は、医療機関に検査を受けに行く前に、以下の睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックをしてみましょう。寝ている間の状態のことも含まれているため、家族に協力してもらってください。

・睡眠中に、いびきや呼吸が止まっていると指摘されたことがある。
・日中に眠くなることがある。
・起床時に、疲れが残っていたり、頭が重いと感じたりすることがある。
・肥満傾向がある。
引用:「北里大学北里研究所病院」

上記の質問にひとつでも当てはまるものがあったら、睡眠時無呼吸症候群が疑われるため、出来るだけ早く医療機関に相談してください。

一般的な検査の流れ


睡眠時無呼吸症候群の検査は、以下のような流れで行われます。

  • 1. 睡眠時無呼吸症候群を扱っている医療機関を見つける
  • 2. 問診・睡眠尺度評価
  • 3. 自宅で簡易検査
  • 4. 入院して精密検査
  • 5. 診断

以下で少し詳しくそれぞれの検査を説明いたします。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の専門科のある医療機関を探す

まず睡眠時無呼吸症候群の検査をしてもらえる医療機関を探す必要があります。睡眠時無呼吸症候群を扱っている診療科は、内科、呼吸器内科、循環器科、耳鼻咽喉科、歯科などです。近くにあるクリニックのホームページを検索して、睡眠時無呼吸症候群の検査を行っているか確認してください。自分で見つけることができなかった場合は、普段通っているクリニックの先生に相談してみましょう。

問診・睡眠尺度評価

問診では、既往歴や就寝中の様子、日中の眠気などの症状を聞かれます。就寝中のいびきや無呼吸は自分ではわからないので、家族など就寝中の様子がわかる人に付き添ってもらってください。

問診のあと、日中の眠気を評価するエスワープ眠気尺度(ESS)という質問表に答えさせられることがあります。
8つの質問に答えた合計点で日中の眠気を評価します。合計点が11点以上で病的な状態と判断されて、睡眠時無呼吸症候群の疑いが強いと評価されます。
スコア

  • 0:眠ってしまうことはない
  • 1:時々眠ってしまう
  • 2:頻繁に眠ってしまう
  • 3:ほぼいつも眠ってしまう

質問

  • 1. 座って読書中
  • 2. テレビを見ているとき
  • 3. 人の大勢いる場所(会議や劇場など)で座っているとき
  • 4. 他の人の運転する車に、休息なしで1時間以上乗っているとき
  • 5. 午後に、横になって休息をとっているとき
  • 6. 座って人と話しているとき
  • 7. 飲酒をせずに昼食後、静かに座っているとき
  • 8. 自分で車を運転中に、渋滞や信号で数分間、止まっているとき

睡眠時無呼吸症候群を発症していても、日中に眠気を感じない人もいるため、11点以下なら睡眠時無呼吸症候群でないといえるわけではありません。就寝中に、いつもいびきをかく人、呼吸が頻繁にとまる人は睡眠時無呼吸症候群の可能性はあります。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されると、睡眠中の検査を受けることになります。

検査の種類


睡眠時無呼吸症候群の検査は、自宅で行える簡易検査と医療機関に1泊入院して行う精密検査に分けられます。

簡易検査

自宅で受けられる簡易検査には、酸素飽和度や脈拍数を調べる検査や呼吸状態や気道の閉塞状況も調べられる検査があります。簡易検査で使用する機器は、貸し出してくれるので安心してください。

スクリーニング検査

自宅でパルスオキシメーターを指先に装着して、睡眠中の脈拍数と血中の酸素飽和度を測定します。パルスオキシメーターを使い血液中の酸素濃度を測定することで、睡眠中に正常に酸素が取り込まれているかを確認するのです。

動脈血酸素飽和度は、95%以上が正常で90%を下回ると正常に酸素が取り込まれていない状態とわかります。睡眠中に動脈血酸素飽和度が90%を何度も下回っていた場合は、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性が高いと考えられます。

無呼吸によって酸素の低下が起こると、酸素を取り入れようとして心臓が活発に働き心拍数の上昇が観測されます。脈拍数を測定することで、睡眠中にどのぐらい体に負担がかかっているのかがわかるのです。

簡易型アプノモニター検査

簡易型アプノモニターは、睡眠中に呼吸の流れや空気が気道を通る音、いびきの音、動脈血酸素飽和度を測定する機器です。
就寝前に、鼻孔と喉ぼとけの下と指先にセンサーを付けます。記録器具は持ち運びできるサイズのため、夜中にトイレに行きたくなったときもセンサーを取り外す必要はありません。
記録されたデータから就寝中の呼吸を分析して、睡眠時無呼吸症候群の可能性を診断します。

簡易検査と精密検査の違い

簡易検査は、睡眠時無呼吸症候群の診断に使うために、睡眠中の呼吸状態や動脈血酸素飽和度など測定します。無呼吸や低呼吸の原因や睡眠の質などについてはわかりません。
また、患者が自分自身で機器を装着しているため、正確なデータが取れないことがあります。そのため、簡易検査は複数回行うことも珍しくありません。

簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の可能性が高い場合は、睡眠の質やタイプ、不整脈の有無などを知ることができる精密検査を行います。

簡易検査による睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断

簡易検査の結果は、無呼吸・低呼吸の1時間当たりの数(AHI)で表されます。
アプノモニターの診断基準を以下の表にまとめました。AHI4回以下が正常です。

AHI 診断
4回以下 正常
5~20回 経過観察もしくは精密検査(自覚症状有)
20~40回 精密検査
40回以上 CAPA療法適応

AHIが5~20回の方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いはありますが、治療の必要がない軽症の方も多く含まれています。しかし、自覚症状がある方は精密検査を受けることが推奨されています。AHIが40回以上で呼吸障害の原因となる他の病気がなく、睡眠中の大きないびきや無呼吸、あえぎ、高血圧がある方は睡眠時無呼吸症候群と診断され、治療を開始することになります。

ポリソムノグラフィ(PSG)検査

簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと判断された方は、ポリソムノグラフィ(PSG)検査を受けます。PSGを受けるためには、事前予約が必要です。
PSGは入院して行う検査ですが、多忙な方も受けられるように、夜入院して検査を受けて朝退院できるようなスケジュールが組まれている医療機関もあります。

PSGは、睡眠の質や覚醒時間、睡眠中の呼吸状態、いびきの程度、就寝体位などを知るためにさまざまなセンサーを装着して就寝する検査です。

PSGの主な検査項目は以下の通りです。

  • ・血中酸素飽和度
  • ・空気の流れ
  • ・胸部・腹部の換気運動
  • ・筋電図
  • ・眼球運動
  • ・脳波
  • ・心電図
  • ・心拍数
  • ・いびきの音
  • ・睡眠時の姿勢 など

PSGによる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度

PSGによる睡眠時無呼吸症候群の重症度を以下の表にまとめました。

AHI 重症度
5未満 正常
5以上15未満 軽症
15以上30未満 中等症
30以上 重症

AHIが15以上もしくは5以上15未満の場合でもいびきや夜間の頻尿、日中の眠気、貴重時の頭痛などの自覚症状があるときは睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療


睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に合ったものを受けることが重要です。
主な治療法は以下の5つになります。

  • ・生活習慣の改善
  • ・CPAP療法
  • ・マウスピース療法
  • ・投薬治療
  • ・外科手術

それぞれの治療法を簡単にご説明します。

それぞれについて詳しくは下記の記事でも、解説しているので是非チェックしてみてください。

生活習慣の改善

肥満の方は、減量が治療になります。軽症の方なら減量するだけで、症状が改善する可能性があります。他の治療法と並行して行いましょう。

食生活の改善と有酸素運動がおすすめです。
お菓子やジュース、パン、お米など糖質が多く含まれている食べ物の量を減らしましょう。定期的に水泳や早歩きなどの有酸素運動を行い、脂肪を燃焼させましょう。最低でも週2回運動する習慣をつけてください。

また、横向きの姿勢で寝る習慣もつけることがおすすめです。仰向けに寝ると、舌根や軟口蓋が落ち込みやすくなり呼吸がしにくくなってしまうからです。大量にアルコールを飲んで寝ることも控えましょう。飲み過ぎるとのどの筋肉の緊張が低下し、上気道が狭くなりやすくなってしまうためです。

CPAP療法

CPAP療法は、鼻に装着したマスクから圧力をかけた空気を送り込むことで、上気道が狭くなることを防止する治療法です。鼻から空気を送り込むため、慢性鼻炎や花粉症などで鼻が詰まっている方は、まず鼻詰まりを改善する治療を受ける必要があります。

マウスピース療法

マウスピース療法は、就寝時に下あごを前方に移動させて気道を広げ呼吸を改善させる治療法です。軽症から中等症の患者に用いられる治療法で、マウスピースは歯科医院で健康保険を利用して作成できます。
マウスピースについてはコチラの記事でも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

投薬治療

鼻詰まり改善や呼吸を調整するために投薬治療をすることがあります。鼻詰まりを改善する薬として抗アレルギー薬や点鼻ステロイド薬など、呼吸を調整する薬としてはアセタゾラミドなどが使われています。

外科手術

睡眠時無呼吸症候群の原因が、骨格や扁桃腺肥大などの場合は、外科手術を行うことがあります。睡眠時無呼吸症候群の治療として行われる主な外科手術をご紹介します。

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術は、口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除して、気道を広げる治療法です。切除するため傷が治るまでは痛みを感じますが、多くの睡眠時無呼吸症候群の方に改善が認められたという報告があります。

また、最近ではレーザーで口蓋垂や軟口蓋周辺を照射し、引き締めることで気道を広げ睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する治療法も行われています。この方法なら、切除しないため出血がなく、痛みを抑えることが可能です。

扁桃・アデノイド除去手術

扁桃肥大やアデノイドが原因で睡眠時無呼吸症候群が発症している場合、こられを取り除くことで気道が広がり症状の改善が期待できます。

上下顎同時前進術

顎が小さいため気道が狭くなってしまっている場合、上下の顎を前進させることで気道を広げることができます。上の顎を前進させると軟口蓋の後ろの気道が広がり、下の顎を前進させると舌の後方部分の気道が広くなります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群の検査方法や診断、治療法などについてご紹介しました。就寝中に現れる症状のため、自分では気づきにくく放置している方が多いです。しかし、治療をせずに放置しておくと、心筋梗塞や脳梗塞など深刻な病気を引き起こす可能性があります。
そのため、家族に話を聞き睡眠時無呼吸症候群の疑いを持った方は、できるだけ早く医療機関に行き検査を受けましょう。検査には健康保険が利用でき、センサーを装着して就寝するだけなので心配する必要はありません。

よくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるには何科に行けばよいのですか?

A.睡眠時無呼吸症候群の検査を扱っている診療科は、内科や呼吸器内科、循環器科、耳鼻咽喉科、歯科などがあります。ご紹介した診療科で必ず扱っているわけではないので、ホームページなどで確認してください。また、近くに睡眠時無呼吸症候群を扱っている医療機関が見つからないときは、普段通院しているクリニックの先生に相談してみましょう。

Q.睡眠時無呼吸症候群はなにで判断される?

A.睡眠時無呼吸症候群は、就寝時のいびきや無呼吸・低呼吸、日中の眠気、検査によるAHIの数(5回以上)で判断されます。自分でチェックする方法としては、さまざまなセルフチェックがあります。セルフチェックで少しでも睡眠時無呼吸症候群の疑いを持った方は、医療機関に行って検査を受けるようにしましょう。

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