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睡眠時無呼吸症候群の治療・治し方

【本当に治るの?】睡眠時無呼吸症候群の手術について

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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放置は危険! 睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群“SAS”は、肥満状態にある人によく見られる病気です。それほど珍しい病気ではなく、有病率は男性で9パーセント、女性で3パーセントとなっています。つまり男性のうちの11人に1人程度が、女性のうちの33人に1人程度が、この睡眠時無呼吸症候群を患っているということになります。

睡眠時無呼吸症候群の概要

睡眠時無呼吸症候群は、眠っているときに低呼吸の状態になったり、呼吸が止まったりする状態のことをいいます。眠っているときに起きるものであるため、極めて自覚症状に乏しいのが睡眠時無呼吸症候群の恐ろしいところです。
ただ、睡眠時無呼吸症候群は大きないびきを伴うことが多いため、同居家族(特に同じ寝室で眠る配偶者)がいる場合は、その家族の訴えによって発覚することも多いといえます。逆に一人暮らしの人の場合は、睡眠時無呼吸症候群を患っていてもそれに気づきにくく、対応が遅れることも多いといえます。

なお、上でも述べたように肥満状態の人に多い病気なのですが、やせ型の人であってもかかるリスクはゼロではありません。

睡眠時無呼吸症候群の重症度を測る指標

睡眠時無呼吸症候群は、重症度により以下のように分けられます、

軽症 5 ≦ AHI <15
中等症 15 ≦ AHI < 30
重症 30 ≦ AHI

引用:TEIJIN「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の定義・重症度分類」内「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; 2-3. 」

なお「AHI」とは、睡眠時無呼吸症候群の特徴である「無呼吸」と「低呼吸」を合わせた値をいいます。つまりAHIの値が多ければ多いほど重症の状態である、ということです。
ちなみに低呼吸状態にあるか否かは、動脈血酸素飽和度(酸素と結合したヘモグロビンが、動脈血中の総ヘモグロビンの何割を占めるかを示す指標)が3パーセント~4パーセント以上下がった状態、あるいは目が覚めてしまう状態であるかどうかで判断されます。

睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、命まで危険になる

睡眠時無呼吸症候群は、それ自体を原因として窒息死に至ることはありません。その上、自覚症状がほとんどないこともあり治療に踏み切ろうとする積極性を持てない人もいるのですが、睡眠時無呼吸症候群は放置しておくと死亡リスクが非常に高くなる症状でもあります。

睡眠時無呼吸症候群を患っている人は、患っていない人に比べて、心疾患や脳疾患を起こす確率が非常に高くなります。確率は2倍以上にもなるため、決して放置しておけないものなのです。
また、睡眠時無呼吸症候群の状態にある場合、熟睡ができません。このため日中も強い眠気に襲われて、交通事故などの被害者になったり、時には加害者になったりする恐れもあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法の種類

放置しておくことでさまざまなリスクを引き起こす睡眠時無呼吸症候群ですが、現在は研究が進んでいることから、有用な解決策が出されています。
睡眠時無呼吸症候群の解決策について見ていきましょう。

生活習慣の改善や、肥満の解消

睡眠時無呼吸症候群を患っている人のうち、60パーセント~70パーセントは肥満状態にあるといわれています。つまり肥満は、睡眠時無呼吸症候群のもっとも大きなリスク要因なのです。
よって、肥満状態を改善するために、運動や適切なカロリーコントロールを行っていくことで、睡眠時無呼吸症候群の症状も改善することが期待できます。

なお睡眠時無呼吸症候群は、喫煙や飲酒によって悪化します。禁煙・禁酒が一番望ましいのですが、難しい場合は節煙・節酒するだけでも効果があります。
また睡眠時無呼吸症候群はストレスによっても悪化するので、ストレスコントロールを上手に行うことで重症化を抑えられます。

投薬治療

睡眠時無呼吸症候群の解決策として、「薬」が使われることもあります。
睡眠時無呼吸症候群に使われる薬は多岐に富んでおり、点鼻スプレーなどの外用薬もあれば、睡眠薬などの経口摂取薬もあります。また、薬の種類も非常に豊富です。

ただ、睡眠時無呼吸症候群であっても深い眠りをもたらしてくれるはずの睡眠薬のなかには、逆に症状を悪化させてしまうものもあります。このため、睡眠時無呼吸症候群の人が睡眠薬を服用する場合は、独断で薬を選ぶのではなく、必ず医師の診断を受けてからにしましょう。また、すでに常用している睡眠薬がある場合は、診断の際医師に見せておきましょう。

器具の装着

睡眠時無呼吸症候群の解決策のなかでもっとも有名なのが、「CPAPを使った治療」です。CPAPは口~鼻につける機械であり、圧力をかけた空気を鼻から送り込み、呼吸をしやすくするためのものです。
CPAPは睡眠時無呼吸症候群の改善に極めて有効なものであるため、現在は睡眠時無呼吸症候群に対して治療方法の柱となっています。

また、CPAP以外の器具として、「マウスピース」などが挙げられます。マウスピースは顎を前につきださせることができるものであり、口呼吸を抑制し、鼻呼吸を促す役割を持っています。
なお、現在はCPAPもマウスピースも原則として保険診療の対象となります(※一部例外はあります)。

手術

現在は、睡眠時無呼吸症候群の治療といえばCPAPを使ったものだと認識されるようになりつつありますが、睡眠時無呼吸症候群の解決策として「手術」があります。

睡眠時無呼吸症候群の手術は大きく分けて2つです。

  • ・口蓋垂軟口蓋咽頭形成術……“UPPP”とも呼ばれます。日本人の医師によって1978年に始められたもので、非常に長い歴史があります。いわゆる「のどちんこ」を含む軟口蓋を切除し、口と鼻の粘膜を縫い合わせることで、気道を確保するという手術です。
  • ・レーザー手術……口蓋垂軟口蓋咽頭形成術よりも後に発案された手術です。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術に比べて痛みが少なく、いびきも軽減できると考えられています。「効果があると断定するのは、現段階では時期尚早ではないか」とする医師もいないわけではありませんが、積極的にこの手術を推奨するクリニックもあります。

他の治療方法についてはコチラの記事でもまとめていますので、是非チェックしてみてください。

手術による解決が必要になる場合~手術を受ける場合のメリットも合わせて紹介

すでに述べた通り、睡眠時無呼吸症候群には数多くの治療方法があります。また、睡眠時無呼吸症候群の場合は「手術はより重度の人が状況を改善するために行うものであり、投薬治療やCPAPでの治療で効果が見られなかった人であっても、睡眠時無呼吸症候群の手術を受ければ状況が改善する」と担保されるものではありません。

そのため、手術に踏み切るかどうかは、医師と患者さんの間でしっかりと意見の取り交わしをしなければなりません。
ただ、以上を踏まえたうえで、手術が睡眠時無呼吸症候群の解決方法として選択されることもあります。
その状況とは主に、

  • ・子どもの睡眠時無呼吸症候群
  • ・扁桃腺肥大などによる睡眠時無呼吸症候群

です。
ひとつずつ見ていきましょう。

子どもの睡眠時無呼吸症候群

子どもでも肥満になることはありますが、睡眠時無呼吸症候群がもっとも多い世代は30代以降、いわゆる「中年太り」が問題になってくる年齢です。小さな子どもが睡眠時無呼吸症候群に悩まされている場合、体型などによるものではなく、アデノイド(喉と鼻の間に存在するリンパ組織のこと)・扁桃肥大を原因とすることが多いといえます。

この場合は、睡眠時無呼吸症候群の有効的な解決策である「生活習慣の改善」に取り組んで成功したとしても、劇的な効果は見込めません。
そのため、子どもの睡眠時無呼吸症候群の場合は、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術などの手術が治療方法の選択肢に上がってきます。

扁桃腺の肥大などがみられる場合や、ほかの治療方法では対応できなかった場合

上記では「子どもの睡眠時無呼吸症候群の場合は、アデノイド・扁桃肥大が原因となることが多い」とお伝えしましたが、大人であっても悩まされることもあります。このような場合も、やはり「手術」という選択肢が取られることがあります。
また、「ほかの治療方法を試していたが効き目がなかった」という人の場合も、手術を行うことがあります。

「手術をすれば治る」は本当か? 睡眠時無呼吸症候群における手術のデメリット

手術は睡眠時無呼吸症候群の解消方法として手術を行うことはありますが、すでに述べた通り、その効き目や適合範囲は極めて限定的です。手術にはデメリットが存在するという点は、睡眠時無呼吸症候群の治療の第一の選択肢に「手術」が挙がらない理由でもあります。
具体的なデメリットを確認しましょう。

CPAPよりも効果が低いことが多い

睡眠時無呼吸症候群の場合、手術をしても十分な効果を得ることができない場合もあります。
細かい数字はクリニックによって異なりますが、手術によって睡眠時無呼吸症候群が治る確率は決して高くはなく、改善率は50パーセント程度にとどまるとする見方が一般的です。しかもこれは、「手術を受けて成功して、睡眠時無呼吸症候群からまったく無縁の生活になった」という人の割合ではありません。この「50パーセント」というのは、「無呼吸の回数が半分になった人」の割合であって、「完治した人」の割合ではないのです。

痛い思いをして施術に踏み切ったとしても、完治率は決して高くはないのです。

入院を必要とすることもある

睡眠時無呼吸症候群の手術では、入院をしなければならなくなるケースもあります。また、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術の場合は、全身麻酔を受けてからの施術となるので、不安に思う人もより多いことと思われます。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術に代わって近年注目を受けるようになったレーザーによる治療は、基本的には日帰りが可能です。また、施術時間も非常に短いというメリットもあります。

なお、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術にしてもレーザーによる手術にしても、体の一部を切るという方法を取ります。そのため入院を伴わない手術であっても、回復には時間がかかりますし、麻酔が切れれば痛みも出ます。この点も合わせて覚悟しておくべきでしょう。

再発の可能性も否定しきれない

成功率がそもそも高いと言いがたい睡眠時無呼吸症候群の手術の注意点は、ほかにもあります。それが、「そもそも、たとえ成功したとしても手術によって睡眠時無呼吸症候群が再発してしまう可能性もある」という点です。
たとえば、睡眠時無呼吸症候群の手術を受けて症状が改善したとしても、肥満状態が続いたり、また肥満状態になったりした場合は、再度睡眠時無呼吸症候群に悩まされる可能性もあります。

たしかに「手術」という選択肢は、睡眠時無呼吸症候群を改善する手段のうちのひとつです。しかしさまざまなデメリットがあるため、手術という選択肢を取ることには慎重になる医師も多いといえます。

まとめ

このように、睡眠時無呼吸症候群の対策として「手術」があります。決して万能とはいえない対処方法ではありますが、それでも、一部の人にとっては有益な手段となりえます。
最後に、睡眠時無呼吸症候群の手術に関するよくある質問について回答していきます。

よくある質問

Q.手術の場合の費用の目安は?

A.3,5000円程度
入院を挟むか挟まないかで金額も変わってきますが、睡眠時無呼吸症候群の手術自体に必要な金額は、おおむね35,000円前後だと考えられています。 ちなみに、睡眠時無呼吸症候群の治療方法は一部の治療を除き保険診療の範囲内であるため、手術ももちろん保険の恩恵に預かることができます。

Q.再発した場合、再度の手術はできる?

A.原則として可能
「手術を受けたのはいいけれど、結局その後に太ってまた症状が見られるようになった」などの場合は、追加で再手術を受けることも可能です。なお再手術を希望する場合は、医師とよく話し合ってください。

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