食後すぐに寝ることは身体にとってメリットもデメリットも存在する?
食後すぐに寝ることに、どのような印象をお持ちでしょうか?ネットや知人などの周囲の声では、デメリットを聞くこともあればメリットを聞くこともあり、良いのか悪いのか分かりづらいのが一般的な印象です。
実際のところ、食後すぐに寝ることにはメリットもデメリットもあるのですが、メリットがある状況とデメリットとなってしまう状況では「寝る」状態に違いがあります。
食後は眠たくなってしまうため、睡魔に従って寝てしまうこともあると思いますが、眠たくなる理由をまずは説明した上で、メリットとデメリットについて詳しく説明していきます。
食後に眠たくなる理由
食後に眠たくなる理由は、急激な血糖値の変動によるものです。食事の際に、野菜から食べる、咀嚼の回数を多くするなどといった方法を一度は耳にしたことがあると思いますが、それらは血糖値の急激な変動を抑えるのに効果があります。
その他にも、昼食後の眠気を避けたい方は積極的に食事の内容を見直すことも重要です。精白米を玄米、うどんを蕎麦に変えるといったように、血糖値の上昇が緩やかなものに代えることで、意外と簡単に対策することが可能です。
食後すぐに寝ることのメリットと注意点
食後はどうしても眠くなってしまうことが多いので、睡魔に従って寝てしまえば非常に心地よいのですが、実は危険な点も多いです。
「食後すぐに寝るとメリットがある」といった声は、基本的には深い眠りのことは指さず、仮眠や目を瞑って横になる程度の状態を指します。
主に、脳がすっきりとリフレッシュできたような感覚を得たり、ダイエット効果が見られたりすることがあります。しかし、注意点も多く、食後すぐに眠ればこのような効果が必ず期待できるといったわけではありません。
代表的なメリット二つに加え、注意しなければいけない点について細かく説明していきます。
脳がスッキリする
食後すぐの睡眠には脳をスッキリさせる効果があると言われています。実際のところ、食後すぐの「仮眠」であることが重要なため、寝る時間としては10分から30分程度です。
昼間に食事を摂り、ぐっすりと眠ってしまった場合、食後すぐに寝ることによるデメリットが発生してしまうので、昼食後の数十分程度の仮眠であれば、脳がスッキリする効果を得られるということを覚えておきましょう。
ダイエット効果が見られる
食後すぐに寝ることによってダイエット効果が見られるといった声が意外と多いのですが、周囲に浸透している情報には誤りがあります。正確には、食後すぐに「寝る」のではなく「横になる」のが正解です。
食後にすぐ横になることによって、消化に集中することができるようになります。また、ノルアドレナリンといった脂肪の代謝を促してくれるホルモンを分泌しやすい状態を作ってくれるため、食後ゆっくりと横になることは非常に効果的と言えるでしょう。
しかし、深い眠りに入ってしまった場合、ノルアドレナリンの分泌は大幅に減少してしまうので、眠りに入ってしまった場合にはダイエットとは逆効果になります。
深い眠りに入ってはいけない
食後すぐに寝ることで、脳がリフレッシュされる、ダイエット効果が見られる、といったメリットについて解説しましたが、双方「寝る」のニュアンスは皆さんが理解されているものと少し違っていたと思います。
仮眠のように短時間の睡眠や、ただ単に横になって休憩するといった状態が、食後すぐに良い効果をもたらすために必要な「寝る」といった表現の正しい状態です。
食後に深い眠りに入ってしまうことは圧倒的にデメリットの方が多く、メリットを鵜呑みにしてしまっている場合、全く別のデメリットを発生させてしまうことになります。
食後すぐに寝ることのデメリット
食後すぐに寝ることによって得られるメリットと、その際の注意点を説明してきましたが、ここからはデメリットを解説していきます。
上記でも説明した通り、食後すぐの短時間の仮眠や、軽く横になるといった状態であれば、メリットが多く考えられます。ですが、食後ぐっすりと寝てしまった場合には、病気を含め、太りやすい体質を作るなどデメリットが非常に多いです。
なぜ食後すぐに寝ることが体に悪いのか、その理解に欠かせない消化についても軽く触れながらデメリットについて説明していきます。
消化と睡眠の関係性
食事は、咀嚼し飲み込んだら終了するのではありません。お腹の中に届けられてから、「消化」が始まります。
消化をすることによって、体内に栄養が届けられ、不要なものは排泄物になります。
つまり、食後とは体にとって、「消化中」であるということです。
消化中に睡眠をしてしまうことによって、体が消化に集中できず、消化もしたいのに睡眠もしたいといったどっちつかずの状態を発生させてしまいます。その結果、消化不良、睡眠の質の低下の両方を招きます。
睡眠だけでなく、食後すぐの運動が体に悪いと言われているのにも同じ現象が当てはまります。体内で食事を消化する運動と、体を目一杯動かす運動で違うエネルギーを使うことになり、体は激しく動きながらの消化を求められてしまうため、消化不良を招きます。
消化することに専念させてあげるために、体を休めてあげるのが大切です。深い眠りに入らずに、軽く横になる程度が最も効果的です。仮眠であれば、深い眠りに入ることができないため、問題ないと言われています。
食後すぐに寝ることで発症率を高める症状
食後すぐに寝ることによって発症する確率を高めてしまう病気や症状は多く、逆流性食道炎や肥満体質への影響が代表的です。
その他にも、発症と同時に命に関わる脳梗塞や心筋梗塞の発症率を高めることから、食後すぐに寝る行為はできる限り避けた方が良いと考えられます。
なぜこれらの病気の発症率を高めてしまうのか、それぞれ詳しく説明していきます。
逆流性食道炎
食後すぐに寝ることによって、逆流性食道炎を発症させる確率を上昇させてしまいます。原因は重力の影響で胃酸が食道から胃へ送られにくくなるためです。
食堂に胃酸が長く留まってしまうことによって逆流性食道炎につながるため、食後すぐに眠ることは危険と考えられます。
肥満
食後すぐに寝ることで太ると言われていますが、この場合は夕食後のことを指します。
夕食後は膵臓からのインスリン分泌が活発になりやすい時間帯です。インスリンには脂肪を脂肪細胞に蓄積するといった作用があるため、インスリンの分泌が活発になっているタイミングで寝ることによって脂肪細胞の合成を高めてしまうことになります。
夕食後最低2時間、可能であれば4時間ほど経過すれば、インスリンの分泌が低下するため、食後にしっかりと時間を置いてから寝るようにしましょう。
糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞
食後すぐに寝ることによって、睡眠の質を低下させることになります。睡眠の質が悪い状態が続くと、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病を発症させる確率を大幅に上昇させてしまい、命の危険が発生します。
食後すぐに寝ることは肥満につながるといったことが代表的に言われていますが、最も危険なのは睡眠の質を下げることによって発症率を高めてしまうこれらの病気です。
食事から睡眠までは最低2時間から4時間確保するのが理想
食事からすぐに寝てはいけないことを説明してきましたが、具体的な時間で言えば、最低でも2時間の経過を必要とします。
体質や体型によって個人差はあるものの最低で2時間ですので、十分危険性を回避しようと考えた場合、3時間から4時間は夕食から時間を置いて寝るように計画を立てて食事を摂りましょう。
生活リズムが合わない場合は食事の内容を変えることで対応できる
仕事や家庭の都合で夕食の時間が遅れ、どうしても食後すぐに眠らなければ翌日の疲労が心配という方もいます。そのような場合、血糖値の上昇を抑える食事をとることで、リスクを回避することが可能です。
記事の序盤でも少し触れましたが、野菜から食べる、咀嚼の回数を増やすといった方法は最もシンプルですが血糖値の上昇を防ぐのに大きな効果があります。
その他にも、食事そのものの量を減らして消化を楽にしたり、蕎麦やパスタなどの血糖値が上がりにくい炭水化物を使ったりすることで、通常の食事よりも血糖値の上昇を抑えることが可能です。
まとめ
食後すぐに寝ることによって期待できるのは、メリットかデメリットかということについて解説しましたが、良し悪しが見られる場面における「寝る」の状態に違いがあります。
簡潔に言うと、10分から30分程度の仮眠や、食後ゆっくりと横になることは脳の回復やダイエット効果を期待することができますが、食後ぐっすりと熟睡してしまった場合には、肥満を進め、病気の発症率を高めてしまいます。
昼食後の仮眠は仕事や生活にとってプラスの作用をもたらしますが、夕食後すぐに眠ることは体にとって悪影響が多いため、短時間の昼寝は積極的に行い、夜は食事後にしっかりと3時間前後の時間を空けられるように工夫することが大切です。
よくある質問
Q.食後すぐに寝たら太るって本当?
A.食後すぐに眠ることによって、脂肪を溜め込みやすくしてしまいます。しかし、食後15分前後寝ることや、横になって休憩するなどの行為はダイエット効果が期待できるため、積極的に取り入れても問題ありません。
Q.食後すぐに寝てもいい食事の方法ってある?
A.血糖値が上昇しにくい炭水化物(蕎麦やパスタ)を摂取する、という方法があります。 また、咀嚼の回数を増やし、野菜から先に食べることで消化を促進させるのも有効です。他にも単純に食事量を減らすことで、消化の負担を減らせます。